食道がんの症状:初期症状や食道がんと似た症状の病気など
食道がんの初期には
目次
1. 食道がんに初期症状はある?
初期の食道がんには症状がないことが多く、
出ることがある症状の例を挙げます。
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嚥下時通、灼熱感
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嚥下困難
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胸痛
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背部痛
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嗄声
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咳
以下でそれぞれの症状について説明しますが、まったく症状がない場合も多いという点に注意してください。また、いくつかの症状に当てはまったからといって食道がんとは限りません。ほかの原因も考えられます。
嚥下時痛(えんげじつう)、灼熱感(しゃくねつかん)
食道がんの初期の症状として、食べ物を飲み込んだ時にちくちくした痛みがあったり、熱いものを飲み込んだ時にしみるような感じを自覚することがあります。痛みを嚥下時痛、しみる感じを灼熱感といいます。はっきりしない違和感程度のこともあります。食道がん以外では食道の壁の
嚥下困難(えんげこんなん)
嚥下とは飲み込むことです。食道がんが大きくなると食道の中(内腔)が狭くなってきて食べ物の流れが悪くなります。食べ物を少し大きな形で飲み込んだ場合に嚥下困難を自覚することが多いです。食道がんが周りに浸潤して嚥下に関わる神経(反回神経)に影響することでも起きます。食道がん以外の病気では食道アカラシアや逆流性食道炎などを原因とすることがあります。
胸痛(きょうつう)
食道がんが進行すると食道の壁の外側方向に
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心臓や血管を原因とするもの
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肺などの呼吸をする臓器を原因とするもの
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胃や腸を原因とするもの
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その他
胸痛には急いで治療をしなければ命に危険が及ぶものも多くあります。また原因となる病気もさまざまな臓器に渡っています。胸痛は食道がんの症状の一つとして現れることがありますが、自己判断せずに医療機関を受診して原因を調べることが大事です。
背部痛(はいぶつう)
食道は背中側に位置します。食道がんが進行すると食道の外側方向に浸潤していきます。食道がんが
背部痛を症状として現す病気の例を挙げます。
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神経、骨、筋肉の病気
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腎臓や
尿管 の病気 -
胃や腸の病気
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血管の病気
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大動脈解離(だいどうみゃくかいり)
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背部痛の原因となる臓器や病気は様々です。背部痛は食道がんの症状の一つとして現れることがありますが、自己判断せずに医療機関を受診して原因を調べることが大事です。
嗄声(させい)
嗄声はかすれ声のことです。食道がんが進行すると反回神経という神経に浸潤することがあります。反回神経は発声に重要な役割を果たしています。反回神経にがんが浸潤することで声がかすれる嗄声の症状が現れます。
嗄声の原因となる反回神経麻痺は食道がん以外の病気が原因になることもあります。
声の変化は自分では気づきにくいことがあります。周りの人から指摘されることもあります。嗄声には大きな病気が隠れていることもあります。医療機関を受診して原因について調べることが大事です。
体重減少
食道がんが進行すると食事がのどにつかえたりして食事量が減少し、体重が減ることがあります。また、がんは一般にエネルギーを消費することなどによって体重減少を伴うことがあります。
咳(せき)
食道がんが
咳の原因となる病気は他にも多くあります。結核などに気付かないでいる人もいるので、咳が長引くときには医療機関を受診して相談することが大事です。
2. 食道がんが心配な人はどんな人?
食道がんになる人は多くはありません。「最新がん統計」によると、生涯で何らかのがんを経験する人は男性で62.7%、女性で46.6%です。食道がんは男性のうち2.2%、女性のうち0.4%が生涯に経験します。胃がん・肺がん・大腸がんなどのほうが数倍高い確率で発生します。
食道がんは年齢とともに発生する人が増えていきます。若年者に発生することは少ないです。その他には喫煙や飲酒が食道がんの発生と関係があるとされています。詳しくは「食道がんの原因は?」で解説していますので参考にしてください。
3. 食道がんの症状は何をチェックすればいい?
食道がんの初期には症状がないこともあります。そのため、症状に気を付けていても食道がんの早期発見は困難と言わざるをえません。食道がんが心配になったときも、出ることがある症状をひとつひとつチェックすることはあまり診断の助けになりません。
内視鏡で偶然発見されることもあります。しかし、食道がん発見を目的とした検診は一般的に勧められるとは言えません。何かの症状を感じたときに医療機関で相談することが、食道がん以外の病気を適切に治療するためにもまず大切です。
4. 咳・嘔吐・胸の痛みは食道がん?
食道がんの症状は多様です。また食道がんでしか出現しない症状はありません。咳、嘔吐、胸の痛みの原因は逆流性食道炎やマイコプラズマ肺炎が原因かもしれませんし、原因がみつからないこともあります。若い人では食道がんより他の病気が症状の原因になっている方が多いでしょう。自分で症状から原因を推定しても、治療ができなければあまり解決になりません。風邪の咳などであれば家で休むことで自然に治るかもしれませんが、
5. 食道がんが進行するとどんな症状が出る?
食道がんがかなり進行した場合に出る症状を説明します。ただし症状は必ずしも進行の度合いを示すものではありません。早期食道がんでも下記の症状が出ることがあります。症状はがんの進行を推定することの役には立ちますが、必ずしも症状と進行度が一致するとは限りません。進行度は画像診断などを使った評価で決めます。
喀血(かっけつ)
喀血は食道がん以外にも重い病気が原因で現れることがあります。喀血をきたした場合は直ちに医療機関を受診してください。
吐血(とけつ)
呼吸困難
食道がんが気管支などに浸潤すると呼吸困難を起こすことがあります。食道がんが気管支を塞いでしまうと呼吸が上手くできなくなります。呼吸困難には他の原因もありますが、呼吸が不十分な状態が続くと危険です。息をするのが苦しいなと思ったら医療機関に相談してみてください。
6. 食道がんと似た症状が出る病気は?
食道潰瘍(しょくどうかいよう)
食道の壁の一部がクレーターのようにえぐれることを食道潰瘍といいます。食道潰瘍は食べ物を飲み込む時に痛みやしみる症状がでることがあります。食道がんの症状と似ているところがあります。
食道潰瘍の原因には様々で、内視鏡検査を中心に診断をします。原因に合わせて抗菌薬、抗真菌薬、胃酸抑制剤などを使います。食道と胃の繋ぎ目に問題があるときには手術が提案されることもあります。
食道アカラシア
食道アカラシアの症状は、食べ物がつかえて飲み込めなくなる嚥下障害です。
食道から胃につながる場所にある筋肉が不適切に締まってしまい、食べ物が胃に進めなくなってしまいます。食べ物は食道に溜まるので食道が広がってしまいます。
食道アカラシアの症状は徐々に進行していきます。重症化した場合は液体の飲み込みもできなくなることがあります。食事量が減少するために体重減少の原因にもなります。
嚥下障害と体重減少は食道がんと似ている症状です。
また、食道アカラシアがある人は食道がんの発生する危険性が高くなることも知られています。
食道アカラシアの診断には食道
狭くなった食道を広げることが治療になります。内服治療(カルシウム拮抗薬)や手術のほか、風船のようなもので内視鏡的に食道を広げる方法もあります。風船を使う方法をバルーン拡張術とも言います。他には内視鏡的に筋層を切開する治療(POEM: pre-oral endoscopic myotomy)もあります。
逆流性食道炎
逆流性食道炎の主な症状は胸やけや胸痛、咳、かすれ声など食道がんの症状と共通するところがあります。
逆流性食道炎は胃液が逆流することを原因として起きる食道の炎症です。胃液は食道に逆流しないようになっています。食道と胃の繋ぎ目には逆流を防止するための筋肉があり繋ぎ目を巾着の様に締めます。逆流を防止する機能が上手く働かないことで逆流性食道炎が
診断には内視鏡を用います。
飲み薬で治療します。
逆流性食道炎が長期に続くと食道が狭くなることがあります。また、食道の壁が影響を受けてバレット食道という状態に変わることがあります。バレット食道からは食道がんができやすいことが知られています。
マロリー・ワイス症候群
マロリー・ワイス症候群は嘔吐のあとで血を吐く(吐血する)ことが特徴です。
マロリー・ワイス症候群とは、嘔吐をきっかけにして食道直下の胃が裂けて出血することです。飲み過ぎで嘔吐したときなどに起こります。
食道がんでも進行すると吐血が症状として現れることはあります。マロリー・ワイス症候群は重症化しないかぎり特に治療を必要としません。マロリー・ワイスは経過をみることで自然に軽快することが多いです。しかし自己診断せずに医療機関を受診して他の病気が隠れていないかを確かめておくことは大事です。
食道静脈瘤
食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)は吐血の原因になります。
食道静脈瘤は食道の静脈の一部が拡張したものです。肝硬変などが原因で食道静脈瘤ができます。
食道静脈瘤は出血しやすい状態になっています。食べ物が通過するだけで出血することもあります。食道静脈瘤が大きく裂けると大量の吐血の原因にもなります。出血した場合や出血の恐れが強いと思われた場合は、内視鏡治療が必要です。