だいちょうがん

大腸がん

大腸がんは、大腸の粘膜にできるがん。女性のがんによる死亡原因の1位

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20人の医師がチェック 144回の改訂 最終更新: 2017.08.10

大腸がんの基礎知識

POINT大腸がんとは

大腸がんは大腸の粘膜にがんができて、周囲の正常な細胞を壊しながら広がっていく病気です。大腸がんはできた部位によって結腸がんと直腸に分けられます。女性のがんによる死因の第1位で男性のがんによる死因の第3位になります。主な症状は下痢・便秘・血便・便が細くなるなどですが、進行すると体重の減少や食欲の低下などが起こります。 症状や身体診察に加えて、便潜血検査や血液検査や画像検査で大腸がんが疑われた場合に、大腸カメラを行って診断します。治療には手術・化学療法(抗がん剤治療)・放射線治療があり、病状に最も適した治療法が選択されます。大腸がんが心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。

大腸がんについて

  • 大腸の粘膜にがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるができて、周囲の正常な細胞を壊しながら広がっていく病気
  • 大腸がんを大きく分けると、結腸がんと直腸がんとになる
  • 明らかな原因は分かっていない
    • 大腸がんは欧米人に多いこと、日本人の大腸がんの患者数が昔より増えていることから、欧米風の肉類中心の食事や脂肪の多い食事が関係しているのではないかという考えもある
  • 大腸がんになる流れは主に2つのパターンがある
    • 腸ポリープが悪性に変わる
    • 粘膜からがんが直接発生する
  • がんによる死亡の原因として、女性では第1位、男性では肺がん胃がんについで3位
  • 傾向として、50代以降から発病する人が増える

大腸がんの症状

  • 大腸のどの部分にがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるができているかによって症状の出方が変わるので、必ず現れる症状はない
  • 代表的な症状(多くは便に関連した症状)
    • 血便主に大腸からの出血が原因で、赤い血液が付着した便が出ること。血液量が少ないと、検査をしない限り肉眼では分からないこともある(血の混じった便)
    • 下血食道から肛門までの消化管からの出血が原因で、血液成分を肛門から排泄すること(黒い便が出てくる)
    • 下痢と便秘の繰り返し
    • 便が細い
    • 便が残っている感じ(残便感)がする
    • お腹が張る(腹部膨満お腹が張った感じがすること。原因としては、便やガスが腸に溜まったり、腹水が溜まったりすることによる感)
    • 腹痛
    • 原因不明の体重減少(食事をしていても減っていく)
    • 貧血(動くと息が切れる)
  • 大腸がんができると血便が出ることが多い
    • 血便を起こす病気は他にもたくさんあるので、追加での検査が必要
  • がんの初期には症状がでないことがほとんどなので、健診の大腸カメラ肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできない下部消化管内視鏡検査肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできない)で初期のがんがみつかることも多い

大腸がんの検査・診断

  • 便検査
    • 大腸がんを見つけるために最も簡便な検査
    • 便に血液が混じっていないか調べる
    • わずかな血便主に大腸からの出血が原因で、赤い血液が付着した便が出ること。血液量が少ないと、検査をしない限り肉眼では分からないこともあるは目で見ても血液が混じっているかわからないので、検査することで早期に見つけることが可能
  • 血液検査:全身の状態や腫瘍マーカーがんになると高値を示す採血上の項目。がんによっては固有の腫瘍マーカーがあるので、採血検査によってがんがありそうかどうかを調べることができるなどを調べる
    • 大腸がんの腫瘍マーカーは、CEA、CA19-9、p53抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりするなど
  • 診断に必要な検査:大腸の中にがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるの疑いのある腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるがないかなど調べる
    • 大腸カメラ肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできない下部消化管内視鏡検査肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできない
      消化管口から肛門までの食物の通り道で、消化、吸収を行う管の総称。胃や腸などを含むの中を直接みることができるので最も正確に診断できる
      ・大腸がんが疑わしい病変病気が原因となって体に生じた、あるいは変化が起きた、その特定の部位のことを見つけたら、細胞を採取して顕微鏡検査(病理検査)で詳しく調べる
    • 下部消化管造影検査肛門から造影剤を注入して、X線(レントゲン)で大腸の状態を調べる検査
      造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすること剤(バリウム)を肛門から注入し放射線を使い大腸の形を観察する
  • 組織診病気を詳しく調べるために、体や病変の一部を切除して顕微鏡で調べる検査。例えば、腫瘍ががんか否かを調べる時などに行われる:大腸カメラの際に、がんの疑いのある腫瘍を切り取り、がん細胞の有無や悪性度悪性腫瘍(がん)の進行・転移・再発のしやすさを総合的に判断する指標を詳しく調べる
  • 画像検査:がんの大きさや広がり、転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いの有無などを詳しく調べる
    • 腹部超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、腹部の状態を調べる検査
    • 腹部CT検査X線(放射線)を用いて腹部の状態を調べる検査。肝臓や腸などの内蔵から骨や筋肉まで、様々な組織の状態を確認することができる
    • MRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査
  • さまざまな検査を行い、がんの深さやリンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるや他の臓器への転移があるかどうかを調べて、がんの進行度(ステージがん等の進行の程度を示す言葉。がんの場合、大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響する)を判断する

大腸がんの治療法

  • 治療の原則は、「がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるをできる限り取り除く」こと
  • 主な治療
    • 取り除く方法としては二つ
      内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるを使って取り除く
      ・手術で取り除く
    • 内視鏡を使う方が、体への負担が少ないが、初期のがんに限られる(初期というのは、がんが大腸の壁の浅いところにあったり、サイズが小さいもの、臓器にもリンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるにも転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いのないもの)
    • 内視鏡による治療が難しい場合、手術でがんを取り除く
    • 肛門に近い部分のがん(直腸がん)は、人工肛門を作る場合がある
    • 大腸がんが接している臓器(膀胱、子宮)に広がっている場合は広がった臓器ごと摘出(骨盤内臓全摘)する
    • 転移がある場合は手術を行うことは少なく化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称が行われることが多いが、肝臓や肺への転移で、転移の個数が少ない場合や経過で個数が増えてこない場合は、手術で肝臓や肺に転移をしたがんを取り除くことにで効果に期待ができる
    • 大腸がんのために大腸が詰まってしまった場合(腸閉塞)は緊急手術を行うこともある
    • 転移があっても、大腸がんが大きく腸が詰まる可能性がある場合は大腸がんを取り除く手術をする(根治する目的でなく、症状を緩和する目的の手術)
    • 化学療法による治療は、手術後に再発を抑えることを目的とする場合や転移をしていて手術で取りきれないような場合に行われる
    • 転移をしている場合、化学療法による治療でがんを完全に治すことは困難であるため、あくまでがんの進行を遅らせたり、一時的に小さくしたりする効果を期待して行われる。ただし、化学療法がよく効いて手術で切除ができるようになる場合もある。
  • 予後病気の長期的な経過や、回復の見込み
    • 5年生存率診断、治療開始から5年経過後に生存している患者の割合。命に関わるがんなどの病気で用いられることが多い数値は早期で見つかれば95%以上であるが、進行がんではこの数字は下がる

大腸がんに関連する治療薬

白金製剤(プラチナ製剤)

  • 細胞増殖に必要なDNAに結合することでDNA複製阻害やがん細胞の自滅を誘導し抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤はがん細胞のDNAと結合し、DNAの複製とがん細胞の自滅を誘導することで抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は薬剤の構造中に白金(プラチナ:Pt)を含むため白金製剤と呼ばれる
白金製剤(プラチナ製剤)についてもっと詳しく

NK1受容体拮抗薬

  • 抗がん薬による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬
    • 抗がん薬投与による悪心・嘔吐は延髄に嘔吐中枢に刺激が伝わりおこる
    • 脳のCTZや中枢神経に多く存在するNK1(ニューロキニン1)受容体が作用を受け嘔吐中枢に刺激が伝わる
    • 本剤はNK1受容体を阻害することで嘔吐中枢への刺激を抑える
  • 原則として、5-HT3受容体拮抗薬と併用して使用する
NK1受容体拮抗薬についてもっと詳しく

5-HT3受容体拮抗薬

  • 抗がん薬による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬
    • 抗がん薬投与による悪心・嘔吐は延髄にある嘔吐中枢に刺激が伝わりおこる
    • 脳のCTZや消化管には5-HT3受容体という伝達物質のセロトニンの作用により嘔吐中枢へ刺激を伝えるものがある
    • 本剤は5-HT3受容体拮抗作用により、嘔吐中枢への刺激を阻害する
5-HT3受容体拮抗薬についてもっと詳しく