ちょくちょうがん

直腸がん

直腸にできるがんのことで、大腸がんの一種。近年増加傾向にある

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10人の医師がチェック 140回の改訂 最終更新: 2017.08.16

直腸がんの基礎知識

POINT直腸がんとは

直腸がんは大腸がんの一種です。遺伝・喫煙・肥満・アルコールの過剰摂取・加工肉の摂取・赤肉(牛や羊など)の摂取などが原因になると考えられています。主な症状は下痢・便秘・血便・便が細くなるなどですが、進行すると体重の減少や食欲の低下などが起こります。 症状や身体診察に加えて、便潜血検査や血液検査や画像検査で大腸がんが疑われた場合に、大腸カメラを行って診断します。治療には手術・化学療法(抗がん剤治療)・放射線治療があり、病状に最も適した治療法が選択されます。直腸がんが心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。

直腸がんについて

  • 直腸にできるがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるのことで、大腸がんの一種
    • 大腸がんは大腸粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞に変化することで発症症状や病気が発生する、または発生し始めることする
    • 大腸がんは結腸がんと直腸がんの2つに分かれる
  • 大腸がんになる原因と考えられているもの
    • 遺伝性によるもの(家族性大腸腺腫症など)
    • 喫煙
    • 肥満
    • アルコールの過剰摂取
    • 牛・豚・羊の肉の摂取
    • 加工肉(ハム、ベーコン、ソーセージなど)の摂取

直腸がんの症状

  • 早期の段階では、ほとんど自覚症状がない
  • 初発初めて病気が生じた時のこと。あるいは初めて生じる症状のこと。特に「再発」と区別するために用いられる症状としては以下の様な便通障害が現われる
    • お腹が張る
    • 細い軟便
    • 排便時の痛み
    • 下痢と便秘を繰り返す
  • 進行すると以下の様な症状が現れる
    • 血便主に大腸からの出血が原因で、赤い血液が付着した便が出ること。血液量が少ないと、検査をしない限り肉眼では分からないこともある
    • 貧血
    • 腫瘤(しこり)
    • 腹痛

直腸がんの検査・診断

  • 便検査:便の中に混じった血液を検出する
  • 大腸カメラ肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできない下部消化管内視鏡検査肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできない):腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるの有無や大きさを調べる
  • 下部消化管造影検査肛門から造影剤を注入して、X線(レントゲン)で大腸の状態を調べる検査:バリウムを肛門から注入して、腫瘍の有無や大きさを調べる
  • 触診:肛門から直腸内に指を挿入し、直腸内の腫瘍(良性病気の中でも、相対的に経過が悪くないもの。多くの場合、腫瘍をつくる病気に対して、悪性腫瘍と対比させるために使われる用語ポリープや無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある)を直接調べる
  • 画像診断(腹部CTX線(放射線)を用いて腹部の状態を調べる検査。肝臓や腸などの内蔵から骨や筋肉まで、様々な組織の状態を確認することができるMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査)検査:直腸の腫瘍の大きさや位置、周囲のリンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるの様子を調べる
  • 血液検査:腫瘍マーカーがんになると高値を示す採血上の項目。がんによっては固有の腫瘍マーカーがあるので、採血検査によってがんがありそうかどうかを調べることができるを調べる

直腸がんの治療法

  • 治療方法は大腸がんに準ずる
    • 治療の原則は、「がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるをできる限り取り除く」こと
  • がんが初期であれば内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるを使ってがんを取り除く
    • 体への負担が少ないが、初期のがんに限られる
    • 初期というのは、がんが腸の壁の浅いところにあったり、サイズが小さいもの
  • 内視鏡による治療が難しい場合、手術をしてがんを取り除く
    • 直腸局所切除術:内部のがんだけを取り除く、最も負担が小さな手術
    • 低位前方切除術:がんと周囲の腸の一部を取り除き、腸同士を縫い合わせる
    • 直腸切断術:がんと周囲の腸の一部、筋肉の一部を取り除く
      ・人工肛門が必要となる
    • 骨盤内臓全摘除術:がんが周りの臓器に広がっている場合は周りの臓器ごと取り除く
    • 直腸がんのため、腸が詰まってしまった場合(腸閉塞)には緊急手術を行うこともある
    • がんを小さくしたり広がりを抑えるために手術前に化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称を行うこともある
  • 転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いがある場合は手術を行うことは少なく、化学療法が行われることが多い
    • 肝臓や肺へ転移することが多い
    • 肝臓や肺への転移で、転移の個数が少ない場合や個数が増えてこない場合は、手術で取り除くことも効果がある
  • 治療目的だけでなく痛みを和らげるため(緩和目的)に放射線治療主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法を行うこともある
  • 予防
    • 40歳を目安に一度は大腸内視鏡検査肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできないを受け、ポリープがある場合には定期的に内視鏡検査を受けることが重要

直腸がんに関連する治療薬

白金製剤(プラチナ製剤)

  • 細胞増殖に必要なDNAに結合することでDNA複製阻害やがん細胞の自滅を誘導し抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤はがん細胞のDNAと結合し、DNAの複製とがん細胞の自滅を誘導することで抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は薬剤の構造中に白金(プラチナ:Pt)を含むため白金製剤と呼ばれる
白金製剤(プラチナ製剤)についてもっと詳しく

分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)

  • がん細胞の増殖に関わる上皮成長因子受容体に結合することでこの受容体の働きを抑え、がん細胞の増殖抑制作用などをあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖のシグナル伝達で必要な上皮成長因子受容体(EGFR)というものがある
    • 本剤はがん細胞表面に存在するEGFRに結合することでこの受容体の働きを阻害し細胞増殖のシグナル伝達を遮断する
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクローナル抗体〕)についてもっと詳しく

分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)

  • がん細胞の増殖に必要なVEGFという物質の働きを阻害し血管新生を抑えることで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • がん細胞の増殖には、がんに栄養を送る血管の新生が必要となり血管内皮増殖因子(VEGF)という物質が血管内皮の増殖や血管新生に関与する
    • 本剤はVEGFに結合しVEGFの働きを阻害することで腫瘍組織の血管新生を抑制する作用をあらわす
  • 本剤は他の抗がん薬の効果を高める作用もあらわす
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクローナル抗体〕)についてもっと詳しく