[医師監修・作成]大腸がんの検査方法:血液検査、内視鏡、CTなどでわかること | MEDLEY(メドレー)
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大腸がん
大腸の粘膜にできるがん。国内のがん患者数がもっと多く、死亡者数も女性において原因の1位
20人の医師がチェック 291回の改訂 最終更新: 2022.10.19

大腸がんの検査方法:血液検査、内視鏡、CTなどでわかること

大腸がんの検査は、便潜血検査のほかにも直腸指診、注腸造影検査、大腸内視鏡検査などがあります。大腸内視鏡を使って組織を切り取り病理検査をするのが最も確実です。CT検査やMRI検査を含めた大腸がんの検査の目的と注意点を説明します。

1. 大腸がんの検査は何歳から?

大腸がんが発生しやすい年齢は50歳以上です。40代で大腸がんができる人もある程度いるので、40歳から50歳の間から定期的に大腸がんの検診を受け始めることで、大腸がんを早期発見できる可能性があります。

2. 大腸がんの便潜血検査は信頼できる?

大腸がんの検診で標準的に使われている便潜血検査は、症状のない人に隠れたがんを見つけ出す検査(スクリーニング)として非常に優れています。詳しくは「大腸がんの検診で何がわかるの?検査や費用について知っておきたいこと」で説明しています。

大腸がんの便潜血検査とは?

便潜血検査は、便の中に血液が含まれているかどうかを見る検査です。大腸がんの組織はもろいため、便が通る際の刺激で出血しやすくなります。便潜血検査は、そうした「大腸がんの多くは便に血が混じる」という特徴を利用した検査です。検査自体は、専用の検査キットを使います。この専用キットは自宅で使用することも可能です。便の表面をこすってキットに含まれている容器に保管し、医療機関に提出すると一定の期間を経て検査結果が出ます。

便潜血が陽性であった場合と陰性であった場合にどう判断すればよいのでしょうか?

■便潜血陽性と返ってきた場合

便潜血が陽性であれば本当に大腸がんがあるのでしょうか。便の中に血液が混じる病気は、痔核など大腸がん以外にも多数あります。そのため、便の中に血液が混じっても、必ずしも大腸がんではありません。

10,000人に1人の割合で大腸がんが隠れているグループに対して便潜血検査を行った場合の陽性的中率は実は0.12%程度です。つまり、便潜血検査の結果が陽性であっても、大腸がんが存在する確率は非常に低いです。また、大腸がんがある割合が100人に1人であっても、便潜血検査の陽性的中率は11%程度です。

詳しくは、「大腸がんの検診で何がわかるの?検査や費用について知っておきたいこと」のページを見てください。

40歳以上で便潜血が陽性であれば大腸カメラ下部消化管内視鏡)の検査を行うことになります。

■便潜血陰性と返ってきた場合

便潜血が陰性であった場合は非常に高確率で大腸がんは否定できると考えて良いです。しかし、結局は症状や年齢などから総合的に判断する必要があります。

あらゆる検査は、あらかじめ検査結果がどうであったらこう解釈すると決めてから行わなければなりません。それを決めずに検査を行うということは、スキージャンプで着地点を決めずにとりあえず飛んでみるようなものです。どういった着地をするかを決めずにジャンプすると何が起こるかわかりません。検査してみたけれども結局何のために検査をしたのかわからないようなことは避けなければなりません。

検査を行うことだけでは不十分で、検査を解釈してこそ検査をやった価値が生まれます。検査結果を解釈するということは、実は経験を積んだ医師でも難しいものです。そのため、自己診断は避けて、検査結果の説明をよく聞いておいてください。

便潜血検査は痔で陽性になる?

便潜血検査は大腸の出血を目印に大腸がんを見つける検査なので、がんではない原因で出血があるときは、痔などで陽性の結果が出ることもありえます。

大腸がんの検査は生理でもできる?

生理のときは出血していますので、便検査を行うと便の中に血液が混じります。痔の場合と同じく、便潜血陽性となった原因が大腸がんによるものなのか生理によるものなのかの判断がなかなかつきませんので、生理中の検査は極力避けたほうが良いでしょう。

あらかじめ決められた検診日に生理になってしまった、あるいは生理になりそうな人は、検査する自治体や医療機関に相談してみてください。

3. 大腸がんの血液検査は信頼できる?

大腸がんの血液検査として、「腫瘍マーカー」と呼ばれるCEAやCA19-9という検査項目がありますが、大腸がんの診断の決め手にはなりません。

がんがない人で血液検査が異常値になることも、がんがある人で血液検査が異常値にならないこともかなり多く、血液検査だけで大腸がんを診断することはできません。腫瘍マーカーの測定値はほかの検査結果と総合して解釈されます。

4. 大腸がんの精密検査とは?

便潜血検査で陽性の結果が出た場合、精密検査を勧められます。精密検査は図のような順序で進みます。

画像:大腸がんの検査の順序の図。便潜血検査で陽性なら精密検査に進み、大腸がんが見つかれば治療に進む。

「患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014」を参考に作成

検診で陽性でも、「ほかの人に比べれば大腸がんの疑いが強い」というだけで、ほとんどの人は大腸がんではありません。怖がりすぎないで精密検査を受けましょう。

大腸がんの精密検査で行われる主な診察と検査は次の3つです。

  • 直腸指診
  • 注腸造影検査
  • 下部消化管内視鏡検査

それぞれの方法について説明していきます。

5. 大腸がんの精密検査:直腸指診

大腸がんの精密検査ではまず、直腸指診(ちょくちょうししん)という診察があります。直腸指診はお医者さんが手袋をはめて肛門から指を入れ、触って調べるというものです。直腸指診により直腸の中にポリープやがんがないかを確認します。

直腸は肛門から近いところにあります。大腸がんがあれば、異常に盛り上がっていたり硬いしこりになっていたりする様子を指で見つけられることがあります。

6. 大腸がんの精密検査:注腸造影検査

注腸造影検査は、肛門からバリウムなどの造影剤を流し入れてレントゲン写真(X線写真)を撮り、大腸の形を調べる検査です。

造影剤はレントゲン写真では白く写ります。大腸に造影剤を流し入れてレントゲン写真を撮ることで、造影剤が大腸の形に写り、大腸の内側の形がわかります。

注腸造影検査では、大腸がんがあって大腸の内側に飛び出している様子や、大腸が狭くなっている様子が見られます。

造影剤がうまく大腸の中に行き渡るように、下剤を使って前もって大腸の中を空っぽにしておくことが必要です。

7. 大腸がんの精密検査:下部消化管内視鏡検査

内視鏡検査」は耳にしたことがある方も多いかもしれません。胃カメラは胃の内視鏡検査です。下部消化管内視鏡検査でも胃カメラに似たカメラ(内視鏡)を使います。「大腸カメラ」と呼んでいる病院もあります。

肛門から内視鏡を入れることで、大腸の中を映像で観察することができます。注腸造影検査と同様に、事前に腸の中を空っぽにしておく必要があります。

内視鏡で観察すると、大腸がんやポリープなどの異常があるか、あればどんな特徴かが詳しくわかります。見つかったものが良性のポリープか悪性腫瘍(がん)であるか、見た目でわかる場合もありますが、区別しにくいことも多いです。

内視鏡は見えている位置に小さい道具を送り込むことができます。大腸がんの検査としては、大腸がんかどうか疑わしい場所の組織を取り出すこともできます。

8. 大腸がんの精密検査:病理検査(組織診、生検)

検査で異常と疑わしいものが見つかったとき、大腸がんかどうかを判断するために重要な検査が、組織(腫瘍などの体の一部)を取り出して顕微鏡で観察する生検」という検査です。組織を観察するので組織診と言ったり、広い意味の言葉で病理検査と言ったりします。

内視鏡や画像検査では、見えているものが大腸がんなのかポリープなのか、ある程度見当はつけられても決められない場合が多いです。生検を行うことで、がんかそうではないかがかなり確実になります。大腸がんだった場合にはどの程度進行しているのかもわかります。

9. 画像検査は大腸がんのステージ・治療法を決めるうえで参考になる

ここまで説明した検査は、主に「大腸がんであるかどうか」を確認するための検査方法でした。

大腸がんの精密検査として、ほかにCT検査やMRI検査などの画像検査も行われます。画像検査は大腸がんの進行の度合いや治療法を決めるために重要になることがあります。

大腸がんの「ステージ」とは?

大腸がんがどの程度進行しているかは「ステージ」という言葉で表現されます。ステージ0が最も早期の大腸がん、ステージIVが最も進行した大腸がんです。

詳しくは「大腸がんのステージとは?」で説明しています。

10. 大腸がんの胸部CT検査・腹部CT検査

CT検査はレントゲン検査(X線写真撮影)よりも得られる情報量の多い検査です。より詳細に体内の臓器や異変のある部位の大きさや形を調べることができます。

大腸がんの検査でCTを使うときは、大腸の周りだけではなく、大腸がんが転移しやすい肝臓や肺も撮影して調べることがあります。

検査室に入ると病衣に着替えて、撮影装置の中に横になります。10分程度で検査は終わります。

CT検査では放射線であるX線を使います。CT検査で放射線を浴びるのは体の一部に限られること、使う放射線の量が1-10mGy(ミリグレイ)程度とごく少ないことから、CT検査によって放射線の影響が出ることは通常ないと考えられています(レントゲン検査で使う放射線はさらに微量です)。しかし、何度も撮影すると繰り返し被曝することとなり、人体への影響が一層危ぶまれます。とはいえ、CT検査が原因で人体に障害が出たというはっきりとした証拠は見つかっていません。

CT検査を用いる時は造影剤というものを血管に入れて検査することがあります。造影剤を用いると画像がより鮮明になります。しかし、まれに造影剤アレルギーを引き起こすので、造影剤を点滴した後に体調が悪くなった場合は、近くにいる医療従事者に症状をすぐ伝えてください。特に皮膚のかゆみや吐き気、意識が遠のく感じは危険です。また、腎臓の機能が落ちたりすることがあるので、造影剤を使用したあとは点滴をしたり多めに水を飲んだりして腎機能低下を予防します。

11. 大腸がんのMRI検査

同じ大腸がんの画像検査でも、MRI検査にはCT検査よりも長い時間がかかります。その間、検査装置からとてもうるさい音が出るのですが、狭い装置の中でじっとしていなければいけません。閉所恐怖症の方は医師に相談してください。

MRI検査による悪影響はある?

MRI検査には放射線ではなく磁気が使われているので、放射線被曝はありません。一方、ペースメーカーなどの金属を使った医療器具が身体の中に入っている人は、磁気の影響を受ける恐れのためMRI検査を使えない場合があります。

12. 大腸がんの腹部超音波検査

超音波(エコー)検査の目的は、CT検査と同様、大腸がんの位置や周囲の臓器との位置関係を調べることです。お腹を出してジェルを塗り、検査装置(プローブと言います)を当てると、当てたところの様子が画面に写ります。ジェルを塗る際に少しヒヤッとします。

13. 大腸がんにPET、カプセル内視鏡の検査は必要?

大腸がんの検査には他にも、PET(陽電子断層撮影)やカプセル内視鏡の検査がありますが、必須の検査ではありません。お医者さんからPETやカプセル内視鏡を勧められたら、説明をよく聞いたうえで検査を受けましょう。

14. 大腸がんの検査はどの診療科で受けられる?

病院で大腸がんの検査を行っている診療科は消化器内科消化器外科などです。このサイトで大腸がんの検査に関連した診療科がある病院を検索できます。ただし、検索で見つかるすべての病院が大腸がんの検査を行っているとは限りません。病院によって、その診療科で大腸がんを専門に診ているかなどが違います。また、この情報は常に最新とは限りませんので、詳しくは各医療機関にお問い合わせください。