はいがん(げんぱつせいはいがん)

肺がん(原発性肺がん)

肺にできたがん。がんの中で、男性の死因の第1位。

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29人の医師がチェック 220回の改訂 最終更新: 2017.10.03

肺がん(原発性肺がん)の基礎知識

POINT肺がん(原発性肺がん)とは

肺にできたがんのことを指します。肺以外の臓器にできたがんが肺に転移したものは指しません。肺がんはタバコの影響を強く受けるがんであることがわかっています。そのため喫煙習慣のある人や血痰の出るような人(特に40歳以上の人)は必ず検診を受けるようにして下さい。肺がんの初期には症状を自覚することは殆どありませんが、がんの進行とともに痰・血痰・咳・息切れ・倦怠感・体重減少などの症状が出てきます。 生活背景・症状・画像検査から肺がんを疑い、病変の組織を採取して細胞を調べることで診断します。肺がんの治療では手術・化学療法(抗がん剤治療)・放射線治療の3つが主なものになります。がんの進行度や全身状態を踏まえて最も適した治療法を選択します。肺がんが心配な人や治療したい人は、検診を受けたり呼吸器内科を受診したりして下さい。

肺がん(原発性肺がん)について

  • 気管支呼吸をする際の空気の通り道の一つ。口から吸い込んだ空気は、気管と気管支を通り、肺へ至るや肺の一部の細胞からできるがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある
    • がんで死亡する人の中で、男性では肺がんが死因の1位
    • 女性のがん患者の死亡数は大腸がんよりわずかに少なくて2位
  • たばこを吸うと肺がんが4-10倍程度起こりやすくなると言われている
    • たばこを吸わないから肺がんにならないということではない
  • 肺がんは主に性質の異なる4つのタイプに分類される
    • 肺腺がん
    • 肺扁平上皮がん
    • 肺大細胞がん
    • 肺小細胞がん
  • 小細胞がんは他の3つのがんと性質や治療法が異なるので、「小細胞がん」と「非小細胞がん」に分ける場合がある
    • 小細胞がんは増えるのが早く、他の肺がんよりも早く進行してしまうことが多い
    • その一方で、小細胞がんには化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称放射線療法主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法が他の肺がんよりも効きやすい
  • これらとは別に、他の部位のがんが転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いしてきたものもあるが、本項では転移性肺がん以外について解説する

肺がん(原発性肺がん)の症状

  • 主な症状
    • 肺がんの初期は、ほとんどの場合で症状が見られない
    • 肺がんは健診などで偶然見つかることがほとんどである
      肺がんを早期発見するためには定期的な健診を行うことが重要である
      ・特に喫煙習慣のある人や血痰血液が混じった痰。肺の病気で起こるの出るような人は肺がん検診を受けた方が良い
    • 肺がんが進むと、咳や血痰、息切れなどの症状が出やすくなる
      ・症状の出た時には肺がんがかなり進行した状況であることが多い

肺がん(原発性肺がん)の検査・診断

  • 細胞診病気を詳しく調べるために、病変のかけらである細胞を採取して、顕微鏡で調べる検査。腫瘍が、がんかどうかを調べる時などに行われる。より詳しく調べるのが組織診
    • 痰の中にがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある細胞があるかどうか調べる
  • 気管支鏡口もしくは鼻から、細い内視鏡(ファイバースコープ)を肺の気管支まで入れて、気管や気管支の内側の状態を調べる検査検査(がん細胞があるかどうかを調べるさらに精密な検査)
    • 気管支呼吸をする際の空気の通り道の一つ。口から吸い込んだ空気は、気管と気管支を通り、肺へ至る腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるの有無を調べる
    • 腫瘍の一部を切り取り組織診病気を詳しく調べるために、体や病変の一部を切除して顕微鏡で調べる検査。例えば、腫瘍ががんか否かを調べる時などに行われるを行うこともある
  • 胸腔肋骨の内側かつ肺の外側にある空間。より正確には、肋骨の内側と肺の外側に1枚ずつの胸膜があり、その間の空間を指す穿刺体の外から体の中の血管や内臓に注射針を刺すこと。検査のために身体の中の組織を吸い取ったり、治療のために薬物を注入したりする際に行われる
    • 胸水肺の周りに溜まった液体。心不全、胸膜炎などが原因で溜まる。胸水があると肺が広がりづらくなるために呼吸がしづらくなるがあった場合に行う
    • 胸水の中にがん細胞があるかどうかを調べる
  • 画像検査:肺がんを疑う影、リンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるの腫れの有無、胸水の有無などを調べる
    • 胸部レントゲン X線(放射線)によって撮影する画像検査の一種で、心臓や肺、骨などの状態を調べるために行われるX線X線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査写真)検査
    • 胸部CT検査X線(放射線)を用いて胸の中の状態を調べる検査。肺や肋骨などの状態を確認するために行われることが多い
    • 頭部MRI磁力(電磁波)を用いて、頭の中の状態を調べる検査。脳梗塞の診断などに用いられることが多い検査:がんが頭に転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いしていないかを調べる
    • PET検査放射線を発する物質(放射性物質)を体内に入れて、特定の臓器や腫瘍にそれが集まる性質を利用して病気の有無や位置を調べる検査:がんが全身に進行しているかを判定する
  • 血液検査
    • 腫瘍マーカーがんになると高値を示す採血上の項目。がんによっては固有の腫瘍マーカーがあるので、採血検査によってがんがありそうかどうかを調べることができるの程度などを調べる

肺がん(原発性肺がん)の治療法

  • 主な治療
    • 肺がんの治療は主に外科的療法(手術)、化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称抗癌剤悪性腫瘍(がん)に効果を発揮する薬剤。ただし、がん以外の良性疾患に用いられることもある)、放射線療法主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法の3つ
    • 治療法の選択は、基本的には肺がんのタイプと肺がんステージがん等の進行の程度を示す言葉。がんの場合、大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響する(進行具合)に基づく
    • 肺がんのステージは以下の点で決定
      ・大きさ、広がり
      リンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるへの転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いの広がり
      ・全身への転移の広がり
    • さらに年齢や全身の状態、患者と家族の希望を考慮して治療法が決定される
    • 化学療法には、従来の抗がん剤悪性腫瘍(がん)に効果を発揮する薬剤。ただし、がん以外の良性疾患に用いられることもあるに加え、分子標的薬が効果を発揮する場合もある
      ・肺腺がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるの約40%から50%に見られる特殊な遺伝子(EGFR遺伝子)変異をもつタイプの場合に用いられる治療薬がある
       ・ゲフィチニブ(イレッサ®)
       ・エルロチニブ(タルセバ®)
       ・アファチニブ(ジオトリフ®)
       ・オシメルチニブ(タグリッソ®)
      ・ALK融合遺伝子がある場合に用いられる治療薬がある(様々な報告があるが、肺腺がんの数%-10%程度と言われている。)
       ・クリゾチニブ(ザーコリ®)
       ・アレクチニブ(アレセンサ®)
       ・セリチニブ(ジカディア®)
      ・ROS-1融合遺伝子がある場合にもクリゾチニブ(ザーコリ®)が使用できる
  • 予後病気の長期的な経過や、回復の見込み(診断された時点から予想される余命)
    • 肺がんはがんの中でも予後が悪い方である
    • 5年生存率診断、治療開始から5年経過後に生存している患者の割合。命に関わるがんなどの病気で用いられることが多い数値は早期がんであれば80%以上であるが、がんが進行するにしたがって下がる
    • ステージ4(転移のある状態)では、治療を行っても1年生存率が50%程度である
    • ただし、予後は平均的な予測であるので自分に当てはまるかはわからない
      ・特に分子標的薬が使用できる場合や免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患チェックポイント阻害薬と呼ばれるタイプの抗がん剤がよく効いた場合には予後が大きく伸びる人も多い

肺がん(原発性肺がん)に関連する治療薬

分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔EGFR-TKI〕)

  • 上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ活性を選択的に阻害することでがん細胞の増殖を抑制する薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 非小細胞肺がんなどでは上皮成長因子が結合する受容体(EGFR)に変異がおき、細胞増殖の伝達因子となるチロシンキナーゼが常に活性化され、がん細胞が増殖を繰り返す
    • 本剤はEGFRチロシンキナーゼの活性を阻害することで、がん細胞の増殖を抑制する
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬〔EGFR-TKI〕)についてもっと詳しく

トポイソメラーゼ阻害薬

  • DNA複製に必要な酵素を阻害しがん細胞の細胞死を招くことで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を傷害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要でこの複製にはトポイソメラーゼという酵素が必要となる
    • 本剤はトポイソメラーゼを阻害し細胞死を招くことで抗腫瘍効果をあらわす
  • トポイソメラーゼにはI型とII型があり、薬剤によってそれぞれ作用する型が分かれる
トポイソメラーゼ阻害薬についてもっと詳しく

白金製剤(プラチナ製剤)

  • 細胞増殖に必要なDNAに結合することでDNA複製阻害やがん細胞の自滅を誘導し抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤はがん細胞のDNAと結合し、DNAの複製とがん細胞の自滅を誘導することで抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は薬剤の構造中に白金(プラチナ:Pt)を含むため白金製剤と呼ばれる
白金製剤(プラチナ製剤)についてもっと詳しく

肺がん(原発性肺がん)の経過と病院探しのポイント

肺がん(原発性肺がん)かなと感じている方

肺がんは喫煙している方に多く、初期には目立った症状が出にくい病気です。進行すると熱や咳、痰が出たり、肺炎を起こしたりして診断がつくことがあります。

ご自身が肺がんでないかと心配になった時、まずは近所のかかりつけの病院を受診しましょう。基本的な診察や血液検査を行った上で、必要があればそこから診療情報提供書前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。俗に「紹介状」と呼ばれているものを指す紹介状前の病院で行われた検査や治療、経過をまとめて、他の医療機関へ引き継ぐための資料。正式名称は「診療情報提供書」)をもらって地域の中核病院その地域の中心となる総合病院のことで、診療所やクリニックではできないような検査や治療を請け負う役割を担っているを受診することをお勧めします。肺がんを診断する上で普段の様子やその他の病気の有無、過去の病歴、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。呼吸器内科、呼吸器外科が専門の診療科です。

肺がんの診断は様々な検査で行います。画像検査で言えばレントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査胸部CTX線(放射線)を用いて胸の中の状態を調べる検査。肺や肋骨などの状態を確認するために行われることが多いが基本的な検査ですし、PET-CT放射線を発する物質(放射性物質)を体内に入れて、特定の臓器や腫瘍にそれが集まる性質を利用して病気の有無や位置を調べる検査気管支鏡口もしくは鼻から、細い内視鏡(ファイバースコープ)を肺の気管支まで入れて、気管や気管支の内側の状態を調べる検査を用いたり、胸や背中から針を刺して腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるの細胞を調べたりすることもあります(CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査ガイド下生検病気(病変)の一部を採取すること。また、それを顕微鏡で詳しく調べる検査のこと。病気の悪性度の確認や、他の検査では診断が難しい病気の診断のために行われる)。胸水肺の周りに溜まった液体。心不全、胸膜炎などが原因で溜まる。胸水があると肺が広がりづらくなるために呼吸がしづらくなるが溜まっている場合には胸腔肋骨の内側かつ肺の外側にある空間。より正確には、肋骨の内側と肺の外側に1枚ずつの胸膜があり、その間の空間を指す穿刺体の外から体の中の血管や内臓に注射針を刺すこと。検査のために身体の中の組織を吸い取ったり、治療のために薬物を注入したりする際に行われるといって、溜まっている胸水を抜き、そこから腫瘍細胞を検出します。血液検査(腫瘍マーカーがんになると高値を示す採血上の項目。がんによっては固有の腫瘍マーカーがあるので、採血検査によってがんがありそうかどうかを調べることができる)だけで肺がんの診断はできませんが、参考になる項目の一つです。

このように検査と診断は総合的に行われますので、精査詳しく検査をすること。精密検査の略に進む段階では呼吸器専門医か呼吸器外科専門医がいて、かつ、病院の規模としてベッド数が百床以上あるような、地域の中核病院が適切です。肺がんかどうかの検査と、肺がんだった場合にはそのステージがん等の進行の程度を示す言葉。がんの場合、大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響する(進行度)を調べる検査が行われます。

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肺がん(原発性肺がん)でお困りの方

肺がんには、大雑把に分けてIA, IB, IIA, IIB, IIIA, IIIB, IV等のステージがん等の進行の程度を示す言葉。がんの場合、大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響するがあります。また、小細胞がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあると呼ばれるタイプのがんと、非小細胞がんと呼ばれるタイプのがんがあります。それぞれのステージ、それぞれのがんで治療が変わってきます。

非常に大まかな目安としては、小細胞がんのステージIAとIB、そして非小細胞がんのステージIA、IB、IIA、IIB、そしてIIIAの一部については、手術を行うことがあります(がんの位置、大きさ、性状、ご本人の体力にもよります)。逆に言えば、これら以外のステージでは手術以外の治療が基本となります。

肺がんの手術が必要となる場合には、呼吸器外科専門医のいる施設が良いでしょう。手術以外の治療が必要となる場合には、呼吸器内科専門医や、放射線治療主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法専門医による治療を行います。

肺がんの治療のうち、体に負担のかかるようなものを望まない場合、そしてがんによる痛みや苦しさを取る治療だけを望む場合には、緩和ケア科のある病院や、ホスピスと呼ばれる施設(必ずしも病院とは限りません)へ入所するという選択肢もあります。しばしば誤解されがちな点ですが、緩和ケアは進行がんにしか行われないような治療ではありません。どんなに初期の肺がんであっても緩和ケアは行われます。それは、がんに対する心配や悩みを和らげることや、ドラッグストアで市販されているような痛み止めを内服するようなことも含めて、緩和ケアの一部だからです。

肺がんの手術については、ある程度の年間件数がある病院の方が術者が慣れていて望ましいと言えます。何件以上ならば良いと言うことは難しいのですが、地域内の病院で比較して手術件数が少なすぎないことは、病院を探す上で参考になる基準の一つです。

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