はいがん(げんぱつせいはいがん)
肺がん(原発性肺がん)
肺にできたがん。がんの中で、男性の死因の第1位。
29人の医師がチェック 227回の改訂 最終更新: 2018.07.12

肺がんの治療方法は?

肺がんの治療は、手術・抗がん剤化学療法)・放射線療法を3本の軸として行っていきます。これ以外にも緩和ケアは自分の望ましい生活を送る上で重要になります。

このページでは、どうやって肺がんの治療を決定するのか説明していきます。

1. 肺がんの治療方法はどうやって選ぶ?

肺がんの治療法はいろいろありますが、自分自身に合ったものを選択する必要があります。治療選択はどういったことが根拠になって決まるのでしょうか。

肺がんの治療方法はステージで決まる?

肺がんの治療方法はステージと呼ばれるがんの進行度によって決まります。手術が最も治療成績が良いことが分かっていますので、出来るだけ手術で治療することになります。しかし、がんが進行している場合は手術を受けることはできません。また、どんなにがんが初期であっても全身の状態が悪い人は手術を受けることはできません。つまり、ステージと同様に全身状態の評価も非常に重要です。

また、肺小細胞がんは非常に進行の早いがんですので、小細胞以外の肺がん(腺がん、扁平上皮がんなど)と治療方法が異なります。

小細胞がんの治療方法は?

肺小細胞がんは肺腺がんや肺扁平上皮がんに比べて化学療法や放射線療法が効きやすいです。しかし、それでもがんを完治させるには手術のほうが優れています。

そのため肺小細胞がんの治療では、手術が可能であれば手術を行い、手術が難しければ化学療法(抗がん剤)や放射線療法を行います。

■肺小細胞がんの手術

肺小細胞がんの中でも初期のもの(ステージⅠ)のみ手術を行うことができます。肺小細胞がんに対する手術をしたときは、どんなに初期であっても手術後に化学療法を行うことが多いです。

肺小細胞がんは進行が速く、目に見えないがん細胞が体内のどこかにひそんでいることが多いです。そのため、目に見えるがんを手術で切除しても完全には取り切れていないことがあるので、手術後に化学療法を行うことになります。

しかし、そもそも肺小細胞がんは初期の段階では症状がないことがほとんどですので、見つかったときには手術ができない状態ということは少なくありません。手術ができなかった場合の治療について説明していきましょう。

■肺小細胞がんの化学療法

手術ができない場合に有力な治療となるのは化学療法です。小細胞がんの治療に使える抗がん剤は肺腺がんの治療薬よりもだいぶ少ないため、選択肢は狭くなります。

以下が主に使用される抗がん剤です。

  • シスプラチン+イリノテカン(CDDP+CPT-11)
  • シスプラチン+エトポシド(CDDP+VP-16)
  • カルボプラチン+エトポシド(CBDCA+VP-16)
  • アムルビシン(AMR)
  • ノギテカン(NGT)
  • イリノテカン(CPT-11)

これ以外にも、場合によってはカルボプラチン+イリノテカン、シスプラチン+エトポシド+イリノテカンといった抗がん剤の組み合わせを使用することもあります。

■肺小細胞がんの放射線療法

肺小細胞がんに対して放射線療法は有効です。

特に手術のできない人に対しては、全身状態が良ければ化学療法に重ねて放射線療法を行うことが多いです。

また、肺小細胞がんでは予防的全脳照射という治療が行われることがあります。

以上で簡単に肺小細胞がんの特徴と治療法について説明しました。肺小細胞がんとは?というページでより詳しい説明をしていますので参考にして下さい。

非小細胞がんの治療方法は?

肺小細胞がん以外の肺がんのことを非小細胞がんと言います。非小細胞がんの治療は小細胞がんのそれと多少異なります。非小細胞がんではステージⅢAまで手術を行うことがあります。治療法が違う理由のひとつは、非小細胞がんには抗がん剤や放射線療法があまり有効でないことです。もうひとつの理由は、非小細胞がんの進行が小細胞がんほど早くないことから、ある程度進行した非小細胞がんでも手術で取り切れる可能性があることです。

肺がんのステージごとに治療方法が変わってきます。ステージの詳細に関しては、肺がんのステージとは?のページを参考にしてください。

■ステージⅠの非小細胞性肺がんの治療

ステージⅠの肺がんは手術でがんを取りきることが基本です。とは言え、手術は身体への負担が大きいです。そこで身体の負担を軽くする目的に、肺を切る大きさを小さくする縮小手術(区域切除術、部分切除術)が行われることがあります。特にステージⅠの中でもより初期のステージⅠAでは肺葉切除術や部分切除術を行うことがあります。

非小細胞がんの場合はステージⅠBの場合(ステージⅠAの一部も)は手術の後にUFTという抗がん薬を2年間飲み続けるケースが多いです。体力がないなどの事情があって手術ができない場合は、ステージⅠBであれば放射線療法で根治を目指すことが多くなります。

■ステージⅡの非小細胞性肺がんの治療

ステージⅡの肺がんは手術が可能です。

手術を行った後には化学療法を行います。点滴のシスプラチン+ビノレルビンを用いることが多いです。化学療法は3−4週ごとに4回行います。

■ステージⅢの非小細胞肺がんの治療

ステージⅢでも最も治療成績が良いのは手術になります。ステージⅢの中でも進行しているⅢB,ⅢCは手術を行うことはできません。しかし、全身状態の良いⅢA期では手術を行うことになります。

ステージⅢの手術は少し特殊です。手術の前に化学療法と放射線療法を行う方が治療成績が良いです。術前化学放射線療法と言われる治療法です。術前化学放射線療法は、手術をする前にがんを小さくしてから切り取ることが狙いになります。

また、術前化学放射線療法を行わなかった場合は、可能な限り手術の後に化学療法(シスプラチン+ビノレルビン)を行うことになります。

手術の行えなかった場合は、化学療法を行います。場合によっては放射線療法を加えることもあります。

■ステージⅣの非小細胞肺がんの治療

ステージⅣの肺がんに対して手術を行うことはできません。また、症状を取る目的でなくがんを根絶する目的で放射線療法を行うこともできません。いずれも、治療することでかえって寿命を縮めてしまうことがわかっています。

ステージⅣの治療では抗がん剤を用います。

ここでは非常に簡単に説明してきました、がんの種類(小細胞がん扁平上皮がん腺がんなど)によって詳しく治療方法などを説明しているページがありますので参考にしてください。

肺がんに診療ガイドラインはある?

肺がん治療の指針となるガイドラインが存在します。2つのガイドラインがたびたび参照されていますのでご紹介します。

世界的にはNCCN(National Comprehensive Cancer Network、国際包括的ネットワーク)が出したがんのガイドラインである「Clinical Practice Guidelines in Oncology」がよく用いられています。NCCNのガイドラインは肺がんだけでなくほとんどのがんについて書かれています。25カ国の非常に多くのデータが集まったものであることで信憑性が高い一方で、日本人に特化した情報でない部分が欠点になります。

もう1つが、日本肺癌学会が出している「EBMの手法による肺癌診療ガイドライン」です。これは国内の抗がん剤の承認状況や治療成績を踏まえて、日本人に適した治療法を追求したものになっています。

ガイドラインは当然尊重されるべきもので、最もうまくいく確率の高いものが書かれていると考えて良いです。しかし、実際の臨床の現場ではさらに患者さん個人個人の状態を加味して治療方法がアレンジされるのも事実です。さらに、新薬の登場や新しい治験の結果によって治療方針はどんどんと変化するものです。もし自分の治療法がどういった位置づけのものなのかが気になる方は、一度主治医に話を聞いてみると良いでしょう。

2. 肺がんの手術はどんな手術?

肺がんで非常に有力な治療法が手術(外科的治療)になります。手術を受けられる状態であれば基本的には手術が推奨されますが、その手術の内容は状況によって異なります。

手術は身体への負担の大きい治療ですので、誰にでも行えるわけではありません。また、肺がんが進行している場合も、手術をすることで逆に状態が悪くなる場合もあります。手術を行えるかどうかは慎重に判断する必要があります。

手術について詳しくは肺がんの手術はどんな手術?のページの中で説明します。ここでは主な手術方法と、それぞれが選ばれる場合の例を簡単に説明します。

手術方法はどんなものがある?

肺がん治療で行われる手術方法は主に以下の4つになります。

  1. 片肺全摘術(肺摘除術)
  2. 葉切除術
  3. 区域切除術
  4. 部分切除術

手術方法を選ぶには、肺がんが体内でどの程度広がっているのかと、手術前の肺や心臓の状態から、バランスが良いものはどれかを考えます。

肺がんの手術では疑わしい部分を広めに切除することが重要です。その一方で、肺を切り取りすぎると手術後の肺活量が減ってしまい、息苦しさが残ったり人工呼吸器がないと生きていけなくなったりする可能性もあります。

思いもよらない出来事が起こらないように、手術前の肺や心臓の状態と肺を切除するべき量を考え合わせて、適切な手術法を推測します。

では、どういった場合にどの方法が選ばれるのでしょうか?手術の説明をする前に、肺について少し説明を加えます。

肺の構造

肺の構造

肺は左右に1つずつ存在していますが、さらにその中は「肺葉」というブロックに分かれています。右の肺には3つの肺葉があり、左の肺には2つの肺葉があります。肺葉の中にはさらに区域というブロックがあります。右肺には10区域があり、左肺には8区域があります。区域はさらに小さい亜区域に分けることができます。ちょうど何丁目何番地のようにどんどん小さなブロックに分かれていき、最終的には肺胞という最小単位になります。

つまり、以下のように肺は分割できるのです。

肺>肺葉>区域>亜区域>亜亜区域>…>肺胞

この分け方は、手術でどれぐらいの大きさを切除するかを決めるときの基準になります。たとえばひとつの区域を切除するのか、肺葉を切除するのかで手術の方式が変わります。

それでは、各々の手術の方式について詳しく説明していきましょう。

片肺全摘術(肺摘除術)

全肺切除術

片肺全摘術とは、手術で肺がんを切除するために、左右のどちらかの肺を全部切除することを指します。もちろん左右両側の肺を取り去ってしまうと呼吸が全くできなくなりますので、切除しないほうの肺は残します。

切り取る肺が大きければ大きいほど手術後の肺活量は減ります。片側の肺を全部切り取ることは非常に大きな負担になります。しかし、がんをしっかりと切除するためにはやむを得ないときに片肺全摘術が行われます。

片肺全摘術が行われるのは以下の場合です。

  • 2つ以上の肺葉にまたがってがんが存在する
  • 太い気管支にがんが顔を出している
  • 肺の周囲の血管や臓器にがんが及んでいる

これらの場合は片肺全摘を検討します。

片肺全摘術が可能になるには、肺から離れた臓器にがんが遠隔転移していないことが必須条件です。また、手術前の検査結果から手術後の肺の機能を予測して、手術を行えないという判断になることがあります。

がんが周囲の臓器に及んでいる場合は、がんが入り込んだ臓器を肺と一緒に切除することになるので非常に大きな手術になります。そのためすでに体力の落ちている患者さんが手術を受けることは難しいです。

肺葉切除術

肺葉切除術

これは最も標準的に行われている手術になります。がんが1つの肺葉の中に収まっており、肺以外の臓器に転移をしておらず、ごく付近のリンパ節にのみ転移が見られているときには、肺葉切除術を行うことができます。

とはいえ、肺葉切除術では片方の肺の半分くらいが切り取られてしまうので、元々肺の機能が落ちている人には受けることが難しい手術になります。

区域切除術・部分切除術(縮小手術)

区域切除術

区域切除術は、肺葉の中にある区域を切除する手術です。区域というのは肺葉よりも少し小さい単位です。区域切除術では肺機能の低下が少ないメリットがありますが、相当小さな肺がんでないと行えません。

通常の手術と違う内視鏡手術

肺がんの手術には、通常の手術(開胸手術)と内視鏡手術があります。

肺がんの内視鏡手術はVATS(Video-Assisted Thoracic Surgery、バッツ)とも呼ばれます。VATSは胸の数カ所に2cmくらいの穴を開けて、そこから内視鏡を入れて手術する方法です。胸を大きく切らなくて済みます。内視鏡手術には身体への負担を軽くするというメリットはありますが、必ずしも開胸手術が劣っているというわけではありません。

肺がんの手術で入院期間は?

肺がんの手術を行うには当然入院が必要になります。手術後にはドレーンと呼ばれる管が肺の周囲に入れられた状態になりますので、どんなに痛みに強くて息苦しさにも強い人でもすぐに退院という訳には行きません。

肺がんの手術ではおよそ平均で2週間程度の入院が必要になります。これはどの程度の肺を取るのかや体力がどのくらいあるのかによっても変わってきます。入院期間が短くなる場合として、以下のことがポイントになります。

  • 肺を切り取る量が少ない
  • 基礎体力が高い
  • 肺機能が高い
  • 禁煙

基礎体力や肺機能の高い人は手術のダメージを受けても早く回復します。そのため、手術前には呼吸器リハビリテーションを行って肺機能を高めるようにする方が良いです。呼吸器リハビリテーションについては肺がんの手術はどんな手術?のページの中で詳しく説明します。

また、ここで非常に重要なのは禁煙です。よく「もう吸えなくなるし手術前に最後の一服をしないとね。」とおっしゃる患者さんがいます。実はこれは手術後の自分の首を絞めているようなものです。

タバコの煙は有毒物質ですので、肺や気道(気管支や細気管支などの空気の通り道)に炎症を起こします。炎症が起こると有害物質を排除しようと身体が反応して痰が増えます。手術後に痰が多いと、とにかく苦しいですし、場合によっては気管挿管(人工呼吸器と肺を繋いで呼吸をサポートする)をしている状態から離脱できなくなります。息苦しいし身体を動かせないしといったことになり、なかなか手術後のリハビリテーションを行えません。当然入院期間も長くなりますし、心身ともに苦しい期間が続いてします。肺の手術を控えている方は、できるだけ早期から禁煙するようにした方が良いです。

3. 手術を受けられない状況ってなに?

今まで述べてきたように、全ての人が手術を受けられるわけではありません。手術をすると逆に命を縮めてしまう場合はもちろん手術ができません。

それでは、どういった場面で手術が難しくなるのでしょうか?

肺以外に遠隔転移のある場合

遠隔転移しやすい部位

肺以外の臓器にがん細胞が転移している場合は手術を受けることができません。もちろん例外はあるのですが、基本的に遠隔転移があれば手術は受けられないと考えてください。遠隔転移というのは肺がんが脳や骨などに転移することです。リンパ節転移は遠隔転移ではありません。リンパ節転移だけなら手術できる可能性があります。

手術後は体力が非常に落ちてしまいます。体力が落ちるとがんの成長を抑えようとする身体の力が落ちるため、手術で体内の全てのがんを取り除かないと、残ったがん細胞がどんどん大きくなってしまい、結局のところ命を縮めてしまうことになります。

リンパ節転移が遠いところにまで達している場合

リンパ節転移

リンパ節転移が狭い範囲にとどまっていれば、手術でがんと一緒にリンパ節を取ることができます。しかし、リンパ節転移が広範囲に及んだ場合は手術ができません。

ここで、リンパ節転移と遠隔転移とは少し性質が異なることを説明します。

脳や骨への遠隔転移は、がん細胞が血流に乗って流れていくことで起こります。血流を介して転移することを血行性転移と言います。血管は全ての臓器につながっています。血液は心臓から全ての臓器に向かって勢いよく流れています。そのため、がん細胞が血流に乗ると遠くの臓器まで速いスピードで流れ着いてしまいます。

対して、リンパ節転移はがん細胞がリンパ液に乗ることで起こります。リンパ液の流れには心臓のようなポンプがありません。リンパ液は臓器の間をゆっくりと流れています。このため、がん細胞がリンパ液に乗ったときは、いきなり遠いリンパ節に転移することがなく、隣のリンパ節へと順々に広がっていきます。

肺がんのある部位からだいぶ離れたところのリンパ節にがん細胞が見つかった場合は、がん細胞が広範囲に転移していると判断します。つまり、肺がんの周りから遠くの場所まで、間にあるリンパ節のすべてに順々に転移してきた可能性が高いと考えられます。

血行性転移のある場合と同じく、リンパ節転移が広範囲に及んでいる場合に手術をすると、命を縮めてしまう可能性が高いです。

手術後に残る肺が非常に少ない場合

肺がんの手術では肺を切り取るため、手術後の肺活量が減ってしまいます。そのため、手術後に息切れが続いたり、場合によっては人工呼吸器がないと生活できない状態になってしまったりします。

また、肺がんの患者さんにはタバコなどの影響ですでに肺の状態が悪い人も多く、手術前の肺の状態をきちんと評価してから手術に臨む必要があります。

数字で言うと、手術後の呼吸機能検査における予測1秒量(FEV1.0)が800ml以下となる人は、手術後に呼吸の状態が悪くなる可能性が非常に高いので、手術を受けることは難しいと判断されます。

腫瘍が周囲の臓器に及んでいて一緒に切除できない場合

肺がんが周囲の臓器にへばりついている(浸潤している)状態になると、肺と併せて周囲の臓器も手術で切り取ることになります。周囲の臓器を一緒に切り取ることができる状態であれば手術は可能ですが、切り取ることができない状態であれば肺の手術も行うことはできません。

体力のない場合

手術は身体に大きな負担ががかかります。そのため、元々体力のない人は手術を受けることで状態が悪くなってしまい、最悪の場合は手術によって命を落としてしまいます。そういった事態を避けるために、体力を簡易的かつ客観的に評価するパフォーマンスステータス(Performance Status、PS)という方法があります。パフォーマンスステータスなどを使って、手術を行えるかどうかが判断されます。

PS 身体の状態
0 全く問題なく日常生活ができる
1 軽度の症状があり激しい活動は難しいが、歩行可能で、軽作業や座って行う作業はできる
2 歩行可で身のまわりのことは行えるが時に軽度の介助が要る。日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 身のまわりのことを限られた範囲しか行えない。日中の50%以上をベッドで過ごす
4 自分の身のまわりのことは全くできず、完全にベッドで過ごす

4. 肺がんに使う抗がん剤はどんな薬?

肺がんの治療には多くの場合抗がん剤が欠かせません。一口に抗がん剤といっても様々な種類があります。肺がんの治療の中でもたくさんの種類の抗がん剤から選んで適材適所で使っていきます。また、抗がん剤の副作用に対処するなどの目的で、ほかの薬も組み合わせて使うことになります。

薬の種類ごとの説明は非常に長くなるので「肺がんの抗がん剤治療にはどんな薬を使う?」のページをご覧ください。

ここでは全体のあらましを簡単に説明します。

抗がん剤の種類

肺がんで使われる主な抗がん剤は以下のように大きく2つに分類できます

■細胞傷害性抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)

  • プラチナ製剤
    • シスプラチン(商品名:ランダ®、ブリプラチン®など)
    • カルボプラチン(商品名:パラプラチン®など)
    • ネダプラチン(商品名:アクプラ®)
  • トポイソメラーゼ阻害薬
    • エトポシド(商品名:ペプシド®、ラステット®など)
    • イリノテカン(商品名:カンプト®、トポテシン®など)
    • ノギテカン(商品名:ハイカムチン®)
  • 微小管阻害薬
    • パクリタキセル(商品名:タキソール®など)
    • ナブパクリタキセル(商品名:アブラキサン®)
    • ドセタキセル(商品名:タキソテール®、ワンタキテール®など)
    • ビノレルビン(商品名:ナベルビン®、ロゼウス®)
  • 代謝拮抗薬
    • ゲムシタビン(商品名:ジェムザール®など)
    • テガフール・ギメラシル・オテラシル配合剤(S-1)(商品名:ティーエスワン®など)
    • ペメトレキセド(商品名:アリムタ®)
  • 抗がん性抗生物質
    • アムルビシン(商品名:カルセド®)

■分子標的薬

  • 抗VEGF抗体
    • ベバシズマブ(商品名アバスチン®)
  • 抗VEGFR-2抗体
    • ラムシルマブ(商品名サイラムザ®)
  • EGFR-TKI
    • ゲフィチニブ(商品名:イレッサ®)
    • エルロチニブ(商品名:タルセバ®)
    • アファチニブ(商品名:ジオトリフ®)
    • オシメルチニブ(商品名:タグリッソ®)
  • ALK阻害薬
    • クリゾチニブ(商品名:ザーコリ®)
    • アレクチニブ(商品名:アレセンサ®)
    • セリチニブ(商品名:ジカディア®)
  • 免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体
    • ニボルマブ(商品名:オプジーボ®)
    • ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ®)

それぞれ違ったしくみでがんを治療します。

細胞傷害性抗がん剤はその名の通り、がん細胞を殺す働きをあらわす薬です。細胞傷害性抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常な細胞(特に増殖が活発な細胞)にも影響を及ぼすため、骨髄抑制、粘膜障害、脱毛などの副作用があらわれる場合があります。

一方、分子標的薬はがん細胞の増殖などに関わる特定分子を狙い撃ちにすることで抗腫瘍効果をあらわす薬です。選択的にがん細胞に作用するため、細胞傷害性抗がん剤でみられる骨髄抑制、粘膜障害、脱毛などの副作用は比較的あらわれにくいとされています。その一方で、分子標的薬特有の副作用があらわれる場合があります。

肺がんの抗がん剤治療に入院は必要?

肺がんの治療をする場合は入院になることが多いです。

入院にはデメリットがあるため、必要なときだけにするべきです。

  • 入院することで体力が落ちる
  • 入院することで耐性菌など治療しにくい細菌に感染する

次のような場合は、入院して抗がん剤治療をする必要があります。

  • 抗がん剤の点滴を連日投与する場合
  • 副作用の強く出る抗がん剤を投与する場合
  • 初めての抗がん剤を投与する場合

最近は副作用の出にくい分子標的薬が多く出てきています。分子標的薬はほとんどが飲み薬ですので、外来で治療を受ける場面も多くなってきており、いかに自分らしい生活を自宅で過ごすかということが重要になってきています。

5. 肺がんの治療で使う抗がん剤以外の薬は?

抗がん剤による化学療法では、副作用を予防または軽減するために、抗がん剤以外の薬を併用し、抗がん剤による体への負担をできる限り減らす方法がとられています。

例として、肺がんの治療で使うペメトレキセド(PEM)(商品名:アリムタ®)という薬には通常、葉酸やビタミンB12といったビタミン剤が併用されます。

また、インフュージョンリアクションと総称される副作用を起こしやすいとされる抗がん薬を使うときは、解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬などを抗がん薬の前に投与する前投与が行われています。

吐き気に使う薬は?

抗がん剤治療の間には、がん自体の症状や抗がん剤の副作用として吐き気・嘔吐が現れる場合があります。吐き気に対しては吐き気を抑える薬が使われ、多くの場合で対策ができるようになっています。

アプレピタント(イメンド®)及びホスアプレピタントメグルミン(プロイメンド®)などの薬が治療に使われています。また、ステロイド5-HT3受容体拮抗薬を用いることもあります。

日常の生活においても配慮が必要です。例えば吐き気があるときの対処として、室内の換気を行う、氷など冷たいものを口に含んでみる、などが有効の場合もあります。逆に芳香の強い花や香水などは吐き気を助長する可能性があります。

がん化学療法に使う漢方薬とは?

抗がん剤にはさまざまな副作用があります。副作用の予防法・対処法として、漢方薬は重要な手段のひとつになります。

口内炎や下痢に対する半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)、食欲不振への六君子湯(リックンシトウ)、しびれ(末梢神経障害)への牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)などが使われています。

6. 肺がんに放射線療法は効く?

肺がんに対する治療の中でも放射線療法は重要です。手術と違って身体を切らずに治療できるこの方法は用い方次第では極めて有力になります。

放射線には当たった細胞を死滅させる力があります。しかし、放射線は直進する性質があるため、狙った細胞だけ死滅させることが難しいという欠点があります。つまり、放射線の通り道にあたる前後の細胞にもどうしても放射線が当たってしまうのです。

その欠点を解消するために、サイバーナイフ治療という方法が出現しました。サイバーナイフ治療は360度のいろいろな角度から放射線を当てることで、狙った部位以外の細胞に当たる放射線を分散させることができます。分散することで狙った部位以外の細胞に与えるダメージを最小限にすることができます。

放射線治療

しかし、サイバーナイフ治療は動くものを狙うことが苦手です。肺は呼吸によって動くため、以前はサイバーナイフ治療の対象外となっていました。近年は工夫が凝らされて、肺の呼吸による動きに同期してサイバーナイフ治療ができるようになってきています。

実際に何をやるのかというと、放射線療法を行う前に気管支内視鏡検査を行いゴールドマーカーと呼ばれる数mmの金属の粒を肺の中に留置します。ゴールドマーカーが3個ほどあれば肺の動きを3次元にトレースして、がんが多少動いても安定して放射線をあてることができるようになります。また、肺の中でもあまり動かない部位にがんがある場合は、ゴールドマーカーを留置しなくてもサイバーナイフ治療をすることが可能なことがあります。

放射線療法の副作用は?

放射線には副作用があります。日本は歴史的にも放射線という言葉にネガティブなイメージが存在しますが、治療に使う分にはやり方を間違わなければあまり副作用が出ないようにすることができます。

それでは一体どんな副作用が出るのでしょうか?

放射線療法の副作用は、大きくわけて早期障害と晩期障害になります。おおよその目安は、放射線療法を行ってから数ヶ月までを早期障害とし、数ヶ月以降を晩期障害としています。実際にどういった副作用が出るのか説明します。

早期障害ではどんなことが起こる?

放射線療法をしてから数ヶ月までに起こった副作用を早期障害と言います。放射線療法を行うと放射線の治療を受けた部位だけでなく全身にも副作用が起こります。

倦怠感

放射線療法を受けてから数時間から数日で身体の怠さ(倦怠感)を感じることがあります。これに眠気やぼーっとするといった症状が加わることがあります。

■食欲低下

放射線療法を受けてから数時間から数日で、食欲の低下を感じることがあります。これに加えて吐き気(悪心)を伴うこともあります。

■血球減少(白血球減少、貧血血小板減少)

放射線療法を受けて数日から数週間で、白血球や赤血球、血小板が減少することがあります。骨盤や脊椎に対して放射線療法を行うことで、血球を作っている骨髄の機能が低下してしまうことが原因です。

広い範囲の骨髄を治療した場合には輸血が必要になることがありますが、頻度は高くありません。

■皮膚の炎症

繰り返し放射線療法を行うと、放射線が当たっている部位の表皮に炎症が起こってきます。

皮膚が赤くなったり、痛みやかゆみが出たり、ひどいときはめくれてしまいます。放射線療法を中止すると皮膚の症状も治ってきますが、皮膚に症状のある間は刺激を避けるように気をつけてください。症状がある部位に保湿クリームなどを使う場合も、一度主治医に相談した方が良いです。

また、皮膚にある毛穴(毛嚢)にも炎症が及ぶと、脱毛したり発汗量が減ったりすることもあります。

■胸の奥の違和感、痛み

放射線を肺にあてると、どうしても食道にもあたってしまうことで炎症が起こります。食道に炎症が起こると食べ物が引っかかる感じやしみる感じ、痛みが出てきます。

食道炎がひどいと放射線療法を中止しなくてはならなくなりますので、粘膜を保護する薬を使っていきます。また、刺激物は避けるべきです。辛いものや熱いものを極力とらないことと、禁酒や禁煙が重要になります。

■咳、息切れ

肺がんに対する放射線療法では、どうしても肺がんの周囲にある正常な肺にも放射線があたってしまいます。放射線のあたった肺は大なり小なり炎症を起こします。そのため、肺炎に代表的な症状である、咳や息切れが起こることがあります。

晩期障害でどんなことが起こる?

放射線療法をしてから数ヶ月以降に起こった副作用が晩期障害です。晩期障害の原因は、細胞が持っている遺伝子が損傷することで、細胞の機能がだんだんと維持できなくなることが主になります。

肺がんの放射線療法で注意するべき晩期障害は肺の線維化です。肺が放射線の影響で炎症を持った後に肺が硬くなってしまう状態を線維化と言います。肺の線維化は早期障害としても起こるのですが、晩期障害の線維化のほうが症状が強くなります。

線維化した肺はうまく呼吸ができなくなり、強い息切れが生じます。場合によっては酸素を機械から吸入しないと生活できない状態になることもあります。

肺線維症は浴びた放射線の量が多いほど起こりやすいことが分かっています。そのため出来るだけ正常の肺に放射線があたる量を下げる工夫がされています。特に、肺の中で放射線のあたる部分が肺全体の40%を超えないようにする必要があると考えられています。

また、通常は放射線のあたった部分に線維化が起こるのですが、まれに放射線のあたってない部位にも線維化が起こることがあるので注意が必要です。

早期障害と晩期障害の違い

早期障害と晩期障害は症状の強さと持続性が違います。早期障害は、治療が終わると症状が回復する可能性が高いです。晩期障害は治療が終わっても症状が回復することは難しいです。また、晩期症状の方が強い症状が出ることが多いです。

【早期障害と晩期障害】

  早期障害 晩期障害
症状の強さ 比較的軽い 重いものが多い
症状の持続性 治療をやめたら回復する 治療をやめてもなかなか治らない

肺がんの骨転移の治療は放射線?

骨転移しやすい部位

肺がんが骨に転移している場合は、原則として手術を受けることはできません。また、化学療法や放射線療法を用いてもがんを完治させることは難しい状況です。それでも骨転移を治療する価値はあります。

特に、痛みが出ていたりしびれが出ていたりする場合や、骨破壊が進んで骨折して神経を圧迫しそうな場合には、積極的に放射線療法を行います。また、ゾレドロン酸(ゾメタ®)やデノスマブ(ランマーク®)という薬を注射して、骨を丈夫にしていきます。

肺がんの放射線療法に入院は必要?

放射線療法をするときは、普通は通院で行います。1回で終わる方法もあれば、副作用を減らすために何回かに分けて照射する方法もあります。放射線療法を開始する前に、何回に分けるかを説明されるはずです。

1回の治療で実際に放射線を浴びている時間は数分です。位置を確認したりする時間を含めても20分ほどです。そのため、何か副作用が出て治療が必要な場合以外は、入院する必要はありません。

入院が必要となるのは以下の場合です。

  • 放射線療法の副作用が強い
  • 化学療法と併用している

全身の状態を見ながら入院するべきかどうかを判断されます。

7. 肺がんは手術・抗がん剤・放射線療法以外で治療できる?

がんの治療において手術(外科的治療)・抗がん剤(化学療法)・放射線療法が3大療法と呼ばれています。これらの3つが最も治療の成績が良いからそう呼ばれています。今後新たに有効な治療法が出てくれば4大治療法と呼ばれるようになるかもしれませんが、現段階ではこの3つと同等の効果のある治療法は存在しません。

この3つの治療法以外に、温熱療法、免疫療法(ニボルマブやペムブロリズマブを除く)、サプリメント(アガリスクなど)、大量ビタミンC静注療法、血液クレンジング療法などを行っている施設が存在しますが、その効果は医学的な見地において立証されていません。また法外な高料金を請求されることも多く、人の「わらをもすがりたい思い」につけ込むようなものも少なくないです。そうしたものは基本的に自費治療(国が認めていないので保険が効かない治療)ですので、治療を受ける前に効果と副作用と費用に関してしっかりと確認する必要があります。

ただし、3大治療法以外にも重要な治療法があります。それは緩和治療です。

緩和治療は痛みや身体のしんどさを和らげる治療ですが、がんを根治する治療ではありません。そのため、一部にあまり重要視されていない風潮もありますが、非常に有力な治療です。

がんは初期段階ではあまり症状が出ません。進行するとともに症状が強くなってきます。がんの症状は痛みや倦怠感、吐き気などで、日常生活を障害してきます。生活を妨げる症状を和らげて、自分らしい通常の生活を送れるようにサポートするのが緩和治療です。

日本では、「もう手の施しようがないから緩和治療を行うんだ」とか「緩和治療を行うともうすぐ死ぬんだ」といった偏見が一部にありますが、むしろ緩和治療は化学療法をサポートしたり、快適な生活を送れるようにサポートしたりする前向きな治療法と言えます。

緩和治療のことを詳しく知りたい方は「緩和医療って末期がんに対して行う治療じゃないの?」のページをご覧になってください。

8. 再発した肺がんの治療法は?

肺がんは再発することがあります。再発しても治療法がないとは限りません。治療することでがんを根治あるいは制御できる場合があります。

手術した後に再発したがんが小さくリンパ節転移も遠隔転移も見られない場合は手術を検討することがあります。とは言え、最初の手術のときよりも全身状態が悪化していたり、肺活量が減っていたりすることがほとんどであるため、手術が可能かどうかは慎重に判断する必要があります。

手術ができない場合には、再発に対する治療法に放射線療法や化学療法が選択されます。

前回治療で抗がん剤を使っている場合は、もう一度同じ抗がん剤を用いても効果が低いため違うものを選んで使用します。しかし、肺小細胞がんの場合は少し違ってきます。肺小細胞がんの再発では、治療が終了してから90日以上経ってから再発した場合は、前回使用した抗がん剤を使って良いことになっています。

これには主に2つの理由があります。

  • 肺小細胞がんに使用できる抗がん剤は少ない
  • 肺小細胞がんに対して抗がん剤が非常によく効く

実際に再発した肺小細胞がんに同じ抗がん剤を投与してみても、肺がんが縮小することはたびたび目にします。

9. 肺がんの治療にはどんな病院がいい?

肺がんに限らず、治療を受けるときにはいい病院で受けたいと思うのが普通です。しかし、いい病院といっても漠然としていて、何を基準にすればいいかははっきりとしていません。

一体どんな病院が良い病院になるのでしょうか。

良い病院の条件

良い病院に絶対的な条件はありません。どんなに最先端の治療をやっていても自分の体に合わなければ良い治療とは全く言えません。どんなに有名病院でも、必ずしも最適な治療をしているとは限りません。

医療の中でも特にがん治療の領域は治療成功率も低く、治療をやってみないと結果が分からないという不確かな世界であることが、良い病院の判断を難しくさせています。つまり、これをすれば治るだろうというものがあれば、それをしっかりと行う病院がいい病院になります。しかし、Aという治療法でもBという治療法でもあまり治療成績が変わらないのであれば、判断が難しいということです。もちろん、明らかに良くない治療をする病院は選択肢にも挙がりませんが、通常の治療をしている限りはなかなか優劣がつけ難いのは事実です。

実際に肺がんの治療を受けることを想像してみてください。治療する上で、どういったことがあると嬉しいでしょうか。

  • 色々な治療ができる
  • 治療をする上でストレスが少ない
  • 通院がしやすい
  • 信頼できる医者がいる

上のようなことが浮かんでくるかもしれません。良い病院の条件を述べていきましょう。

色々な治療ができる

肺がんの状況は時間とともに変化します。手術から緩和治療まで色々な治療が必要になる場面が出てきます。そのいずれにも対応できる病院は安心できます。もちろんすべてを行える病院は限られていますが、できない治療はどこか他の病院に頼んでくれるような病院にかからないと、治療法を考える前から選択肢が減ってしまいます。

治療をする上でストレスが少ない

治療する上でストレスを感じるような状況では、何のために治療しているのかわからなくなってきます。病院がきれいであるとか、病院が有名であるとかでストレスが少なくなる人もいると思いますが、どれだけ人間味のある医療者がいるのかといったことが最も大きい要素ではないでしょうか。「挨拶ができる」とか「気を遣って声をかけてくれる」とか、そういった当たり前のことができる病院は本当の意味で良い病院となるでしょう。

通院がしやすい

病院が近所にあることは非常に大切です。がんの治療は身体への負担が大きく治療が進むに連れて段々と身体がしんどくなってきます。通院しやすい病院は身体の負担を最低限にしてくれますので、大事にするべきです。また、急に体調が悪くなった場合にも、かかりつけの病院が近いとすぐに運んでもらえて便利です。

信頼できる医者がいる

医者を信頼できるためには、医者が上手に人間関係を構築する能力を持っていることも大切ですが、人間同士の相性の問題もあります。担当医の人柄が自分に合わないと思ったら、我慢せずに担当医を変えるか病院を変える方法もあります。一期一会という言葉は大切ですが、肺がんの治療においては自分にとって最善の医者を探すために、以下で説明する方法を使って病院を変えることは問題ないです。ただ、医者を探すためにあまりに長い時間を費やしてしまうと、肝心な治療に入るタイミングが遅れてしまうので注意してください。

以上の4つの条件を全て満たすような病院はまず存在しません。そこで、患者さん自身が何を優先したいのかを考えると良いでしょう。自宅の近くの病院の利便性を最優先にする人もいれば、医者との関係性を重要視する人もいるでしょう。自分にとって何がもっとも大事なのかを考えてみてください。

セカンドオピニオンとは?

近年、セカンドオピニオンという言葉をよく聞きます。これは何のことでしょうか?

セカンドオピニオンとは主治医以外に治療について意見を聞くシステムのことです。これはより正しい治療を選択する上で有用な手段です。

肺がんの治療において判断が難しい場面に直面することがあります。三人寄れば文殊の知恵というように、多くの人が考えることは重要です。

セカンドオピニオンを希望すると、今診ている主治医に対して気まずいという意見をよく耳にします。しかしそんなことはありません。セカンドオピニオンは患者さんのまっとうな権利ですし、最適な治療を探して悩んでいる主治医にとってもありがたい話であったりします。他の医者の話も聞いてみたいと思われたら遠慮なくセカンドオピニオンを求めるべきです。セカンドオピニオンを聞くには紹介状が必要になるので、勝手にほかの医師に相談するのではなく、いまの主治医に「セカンドオピニオンがほしい」と相談してください。

紹介状とは?

セカンドオピニオンを受けに行ったり、他の病院に移ったりする際に紹介状を書いてもらうことになります。紹介状のことを正しくは診療情報提供書と言います。

診療情報提供書の中には、今までの経過や肺がんの状況に加えて、血液データや画像データが盛り込まれます。作成には病院の規定する料金(3000-5000円くらいのことが多い)がかかりますが、特にセカンドオピニオンでは必要な書類になります。

紹介状なしでいろいろな病院にかかっても、経過や検査結果の大切な情報がなければ正しい判断はできません。最初に行った病院に不満を感じたりして「病院を変えたい」と思ったときこそ、きちんと紹介状を書いてもらうことが大切になります。

10. 肺がんの治療中に生活で気を付けることは?

肺がんの治療を行うと、治療の影響やがんの影響からいつものように日常生活を送ることが難しくなってしまう場合があります。

ここでは肺がん治療中における生活の注意点について説明していきます。

症状が悪化した場合

肺がんは最初はほとんど症状が出ませんが、進行すると症状が強くなってきます。吐き気やふらつき、息切れなどが強くなると、日々の生活に支障をきたします。

■吐き気が強くなった場合

吐き気が強い場合は食事をとれなくなります。食事をとれなくなるとますます体調が悪化しますので、なんとか対策を練る必要があります。下の食生活の項で詳しく触れていますので、そちらを参考にしてください。

■ふらつきが強くなった場合

ふらつきが強くなった場合は、転倒に気をつける必要があります。屋内をバリアフリーにしたり、階段周囲や風呂場の周囲にマットを敷いたりして、骨折しないように配慮する必要があります。また、筋力が低下しないように、肺がんの治療にあたる前から体を動かす習慣をつけておくことも重要です。

■息切れが強くなった場合

息切れが強くなると、生活で動ける範囲が狭まってきます。すると心肺機能が落ちてしまい、さらに生活の範囲が狭くなるといった悪循環にはまりこんでしまいます。この場合も、肺がんの治療にあたる前から体を動かして心肺機能を高めておくことが重要です。とは言え、息苦しさが強くて動けないほどの場合は、在宅酸素療法を行って酸欠になるのを防ぐ必要があります。

感染症

肺がん患者は感染症に気をつけなくてはなりません。感染症にかかりやすいことが分かっているからです。どうして感染症にかかりやすいのでしょうか?

  • がんがあると免疫力が下がる
  • がんの治療(特に化学療法)をすると免疫が抑えられてしまう
  • 肺がんが肺の構造を変形させるので、異物が入ってきても体外にうまく出せない

以上のことから感染症になりやすいことが分かっています。特に肺炎になると長引いてしまうことが分かっていますので、咳や痰と言った症状には注意してください。突然咳や痰が強くなったり、ずっと続くようなことがあれば、一度医療機関にかかって調べてもらった方が良いです。

感染症にならないように、日頃から手洗いとうがいを習慣にしておくことが重要です。また、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンを使って感染を予防することも有効です。肺がん治療中に、理由なく熱が出たり、咳や痰、下痢などといった症状が出てきた場合は、主治医に相談した方が良いです。

食生活について

肺がん患者の食事は、体力維持や治療の効果を高めるためにとても大切です。栄養状態が低下してしまうと、治療の進行を妨げるだけでなく合併症にかかってしまう危険もあります。しかし、手術や抗がん剤、放射線療法からくる副作用による様々な症状の影響で、きちんと食事を摂れない患者も少なくないです。

症状別に食事の取り方の工夫をまとめます。

■食欲不振

治療の副作用により食欲が落ちることがありますが、食べにくいときは状態に合わせて消化しやすい食事をとると良いです。また、食べることが義務になってしまうとかえって苦痛に感じてしまうため、気分がいいときに食べたいものや好きなものを食べる心持ちが大切です。

◆食欲不振にオススメの食品

  • 餅、おはぎ:エネルギーになりやすく、消化に良い
  • 汁もの:手軽にたくさんの食品が摂れる
  • カレーライス、麺類、酢の物:香辛料や濃い味付けで食欲増進
  • プリン、茶碗蒸し、豆腐、山芋など:タンパク質が豊富でのどごしも良い

◆工夫のポイント

  • 食事は品数を多くし、少量ずつ小さな食器に盛り付ける
  • 味付けは好みに合わせて少し濃いめにし、主食は酢飯にしたり一口大のおにぎり等にする
  • 食べたいと思ったときにすぐに食べられるように、好きなものを手元に用意しておく

■吐き気・嘔吐

 栄養状態の低下や脱水症状を起こすことがあるため、症状に合せて少しでも食事ができるよう工夫が必要。

◆吐き気・嘔吐にオススメの食品

冷たいものやあっさりしたものなど、口当たりが良く飲み込みやすいもの。

  • 水分の多い果物や野菜(スイカ、みかん、りんご、なし、トマトなど)
  • プリン
  • シャーベット
  • ゼリー
  • 卵豆腐
  • 冷や麦などの冷たい麺類

※脱水対策でスポーツドリンクの利用も良い。

◆工夫のポイント

  • 嘔吐のタイミングを把握して、食べられるときに少しずつ食べる
  • 生活環境のにおいに配慮する(タバコ、化粧品、汗などを避ける)
  • 食べられないときは水分だけでも補給する。スポーツドリンクも有用

口内炎

治療中の患者に口内炎ができると、食事が億劫になってしまいます。辛いものや酸味の強いもの、硬く乾燥しているものなど、刺激が強い食品を避けた方が良いです。

口内炎にオススメの食品

  • おかゆ
  • 牛乳
  • バナナ
  • アイスクリーム
  • 冷奴
  • プリン
  • ゼリー

◆工夫のポイント

(1)食事が摂れる場合

  • 熱いものは避け、人肌程度に冷ましてから食べると刺激が少なくなる
  • 塩分や酸味、香辛料を多く含む刺激の強い食べ物や、硬く乾燥しているものは控える。
  • 軟らかく煮込んだり、とろみをつけたり、裏ごしをするなどして口当たりを良くする
  • 味付けは薄くする
  • 食材は細かく刻んだりミキサーにかけるなどして噛みやすく、飲み込みやすくする
  • 流しこめる料理はストローを使用し、口の中に広がらないよう工夫する

(2)痛みであまり食事が摂れない場合

  • 荒れた口内にしみにくい濃厚流動食(バランス栄養飲料)や栄養補助食品を利用する
  • 点滴をしたり、経管栄養(胃や腸の中に管を挿入して栄養剤を注入し、栄養状態を保つ、あるいはよくするための方法)を利用する。※主治医や栄養士に要相談

■味覚障害

治療の影響で、何を食べても味がしなかったり、砂を食べているような感覚になったりして、味覚が変化することがあります。原因として、抗がん剤や放射線の影響で味を感じる味蕾(みらい)細胞の再生に不可欠な栄養素(亜鉛、鉄分、ビタミンB12)が吸収されにくくなり、減少してしまうことなどが考えられています。また、唾液が少なくなり口の中が乾いていると味を感じづらくなります。

◆味覚障害にオススメの食品

味蕾細胞の再生に必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です

  • 亜鉛が多い食品:牡蠣、豚レバー、牛もも肉、豆腐、納豆、黒ごま、ひじき等
  • 鉄分が多い食品:小松菜、ほうれん草、豚レバー、しじみ、ひじき等
  • ビタミンB12が多い食品:さんま、しじみ、あさり、牛レバー等

肉類から金属味がするようになって食べられなくなった場合は、別の食品(チーズ、ヨーグルト、牛乳、大豆・大豆製品など)でタンパク質を摂るようにするのも大切です。

◆工夫のポイント

(1)味を強く感じる場合

  • 強く感じる味を避け、自分に合う味付けを試してみる
  • 食べる直前に自分で味付けできるようにする
  • 肉・魚等はアク抜き・臭み取りを行う

(2)味を感じにくい場合

  • 味付けをハッキリさせる(濃いめに付ける、香辛料・香味野菜を使う等)
  • 塩分を控えたり、だしを効かせたり、ごまやゆずなど香りを添えたりする
  • 料理の温度を人肌程度にする

(3)食品の乾燥、ざらつきが気になる場合

  • あんかけにする、汁物と一緒に食べるなどをして食べ物に水分を補う

(4)苦味を強く感じやすい時

  • 金属製の食具(箸やスプーン等)は苦味を感じる場合があるため、プラスチック製や木製のものを利用する

※肺がんの患者が手術をする時に特に気をつけたいこと

肺がんの手術を受けると、長時間体を動かさないでいることで血行が悪くなり、血のかたまりが血管内にできやすくなります。特に動脈硬化が進んでいる人は血管が狭くなっており、血のかたまりがさらにできやすいため、脳梗塞心筋梗塞を起こしやすくなります。脳梗塞や肺梗塞心筋梗塞は起こることはまれですが、まれとは言え後遺症を残したり、命に関わることもある重大な合併症です。日頃より、脂質や糖質の多い食事や不規則な食生活を節制しましょう。そうすることで、手術の合併症が起こる確率は下がります。

11. 肺がんの治療にかかる費用は?

肺がんの治療にかかる費用は、治療法によって大きく違いますが、自己負担額30万円から40万円ほどが目安になります。ただし、高額療養費制度が適用されて一部が払い戻される場合があります。

手術と術後化学療法を行った場合の例

肺がんの疑いで入院して検査を受け、手術可能な肺がんと診断されてただちに手術が行われたのち、術後化学療法(抗がん剤治療)を加えた場合の例を計算します。治療開始までの検査などにかかる費用は別のページで紹介しています。

入院や治療にかかる費用は診療報酬として決められています。薬の値段にあたる薬価も同様です。検査や診察をするごとに、行われた項目に対して決められた点数が加えられます。1点が10円として計算されます。そのうち小学校入学後70歳未満の人では3割、すなわち診療報酬1点あたり3円が自己負担となります。

例として以下の項目に当てはまったとします。

  • 入院9日間に対して:18,369点+10,170円(65,277円)
    • 一般病棟入院基本料(1日につき) 1,591点(9日)
    • 加算 14日以内の期間1日あたり 450点(9日)
    • 食事療養費標準負担額 1食当たり 360円(27食)
    • 食堂加算 1日当たり 50円(9日)
  • 手術に対して:76,649点(229,947円)
    • 悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 72,640点
    • 保存血液輸血(200mLごとに) 1回目 450点
      • 2回目以降 350点
    • 薬剤料 照射解凍赤血球液(400ml) 3209点
  • 手術前・手術後のリハビリテーションに対して:2,250点(6,750円)
    • 呼吸器リハビリテーション料(Ⅰ)(1単位) 175点
    • 早期加算 30点
    • 初期加算 45点

以上で自己負担額の合計が 301,974円です。最終的に窓口で支払う際には10円単位に四捨五入されます。

実際にはこのほかにも必要に応じて検査や投薬が行われ、その分に費用がかかります。また、病院によってさまざまな要素が考慮され、一見同じような検査や治療に対しても診療報酬点数が変わります。

手術不能で化学療法を行った場合の例

手術以外の治療の例も挙げます。検査の結果手術できないと診断され、外来で化学療法と放射線療法が行われ、以下の項目に当てはまったとします。

  • 化学療法に対して:30日で 19,170点( 57,510円)
    • ティーエスワン 678点×28日として18,984点
    • 処方料 42点
    • 調剤料 入院中の患者以外の患者に対して投薬を行った場合 内服薬、浸煎薬及び屯服薬(1回の処方に係る調剤につき) 9点
    • 特定疾患処方管理加算 65点
    • 抗悪性腫瘍剤処方管理加算 70点
  • 放射線療法に対して:10,700点(32,100円)
    • 放射線治療管理料(分布図の作成1回につき) 1門照射、対向2門照射又は外部照射を行った場合 2,700点
    • 直線加速器による放射線治療(一連につき) 8,000点

上の自己負担額の合計が89,610円です。上のほかにも、手術不能な肺がんがある場合、治療を必要とする症状などは人によってさまざまな現れかたが考えられます。それぞれに対して費用がかかります。

治療にかかった費用が戻ってくる「高額療養費制度」とは?

肺がんの治療のように、高額の医療費の負担を軽くする制度があります。高額療養費制度が代表的です。

高額療養費制度は、医療費の自己負担額が所得に応じてある基準を超えたとき、基準を上回る分があとで払い戻される制度です。払い戻しを受け取れるまでに数か月かかります。

たとえば70歳未満で標準報酬月額が28万円から50万円の人では、1か月の自己負担限度額が80,100円+(総医療費-267,000円)×1%と決められています(2016年10月時点)。

総医療費の3割が自己負担額なので、自己負担額が80,100円を超えると(すなわち、総医療費が267,000円を超えると)払い戻しの対象になります。

自己負担限度額は所得によって35,400円から252,600円+(総医療費-842,000円)×1%まで幅があります。

ほかにも自治体などが助成制度を持っている場合があります。

どのような制度の対象になるか、医療機関の相談窓口などで相談してください。

12. 末期肺がんで「治療できない」と言われたら?

末期がんで治療できないと言われることがあります。これには、治療することで身体の負担が強すぎるということと、治療しても改善の見込みが乏しいということの2つが背景にあります。とは言え、正確には治療できないという表現は正しくなく、がんを積極的に治すような治療はできないという意味になります。

末期肺がんとは?

肺がんの末期とはどういった状態でしょうか?

末期肺がんに明確な定義はありません。決してステージ4の肺がんが末期というわけではありません。(詳しくは「肺がんのステージとは?」の「ステージ4の肺がんは末期?」という章を参考にしてください。)末期かどうかは身体の状態と肺がんの進行度の両方が関係して決まると考えて良いです。

肺がんの末期になると、がんの影響で体力は落ちていますし、治療を行ってもがんの進行をコントロールできません。そのため、抗がん剤で治療してもかえって状況が悪くなってしまいます。

末期肺がんの治療は何を良くするの?

末期がんは抗がん剤などで治療しても良くならないですが、全く治療しないということはありません。このときに有力なのが緩和治療です。

がんが進行して末期に至ると、だるさや息苦しさや食欲の低下といった症状が強くなり、日常生活が苛まれます。いつもどおりの生活を送れないストレスは心身に悪影響ですので、症状を和らげる治療を行います。これを緩和治療と言います。

日本では緩和治療を「何も治療できないときに行うもの」として考えがちですが、決してそういったことはありません。初期の肺がんであろうと症状があれば、症状を和らげるために行うべき治療です。

緩和治療の目標はがんを患いながらも自分らしく生活することになります。痛みやだるさなどを和らげながら、いつもどおりの生活を送れるようにしていきます。治療方法について詳しく知りたい方は、緩和医療って末期がんに対して行う治療じゃないの?のページを参考にしてください。

13. 肺がんの新薬・最新治療はどこで使える?

肺がんの治療薬は日進月歩です。特に分子標的薬と呼ばれる治療薬はどんどん新しいものが出てきています。

新薬を使うにはどうしたら良いか?

厚生労働省が認可した新しい薬はどの病院でも使うことができます。別に大学病院やがんセンターと言ったがんの治療を多くやっている病院に行かなくては使用できないということはありません。しかし、薬にはどういった人に使えるのかという基準(適応)がありますので、基準を満たしている必要があります。かなり専門的な判断が必要になりますので、病院にかかって、担当医と相談するのが良いでしょう。

治験とは何か?

治験という言葉は耳にはするけれどもあまり詳しく知らない人がほとんどかもしれません。実際にはどんなことを行うものなのでしょう。

特に治療の難しい病気に対しては、より良い治療法を見つけるために臨床試験が行われています。その中でも、薬や医療機器を使用するために、厚生労働省が認可するかどうかを決める試験が治験になります。これは言わば人体への効果と影響を見る試験ですので、非常に厳密な決め事があります。特に、倫理的な側面への配慮は綿密になされています。

治験を受けるにあたって、必ず治験の概要の説明がなされます。以下が説明される内容の中でも主なものになります。

  • 治験の目的
  • 検査や治療のスケジュール
  • 治験に関わる期間
  • 期待されている利益
  • 起こりうる不利益
  • 費用
  • プライバシー保護に関して
  • 治験データの活用に関して

これらに納得した場合のみ治験に参加することになります。治験の途中でも自分の意志で治験から離脱することが可能です。

治験は誰でも参加できるわけではありません。身体の状態やがんの状況などに関して、参加基準が厳密に定められています。参加基準を満たさない人は、どんなに希望しても治験に参加することはできません。

また、治験の中でも種類が分かれています。第1相(フェーズ1)試験から第4相(フェーズ4)試験までの4種類があります。第4相試験は薬剤が承認された後に行われるものです。投与量の適正性や薬剤の安全性を確認するために行われます。市販後調査というのもおおむね同じです。

第1相試験から第3相試験までは表のような違いがあります。

【薬が承認されるまでの治験の種類】

  各々の特徴
第1相試験 薬の安全性と吸収され排泄されていく流れを調べる
第2相試験 薬の安全性、投与間隔、投与期間、投与量などを調べる
第3相試験 実際に治療に用いる投与方法における効果と安全性を見る

治験のメリットとデメリット

治験にかかる費用に関しては、たいていの場合は薬を認可してもらいたい製薬会社が大半あるいは全額を負担しますので、経済的なメリットがあります。しかし、人体へのデータがほとんどない薬を使いますので、何が起こるかわからないというデメリットもあります。

以下にメリット・デメリットをまとめます。

  • メリット
    • 通常ならまだ使うことのできない新しい薬を使うことができる
    • 費用は格安である
    • 副作用が出た場合も治療費は製薬会社に負担してもらえることが多い
  • デメリット
    • どんな副作用が出るかわからない
    • 治療効果が全く出ないこともある
    • 決められたスケジュールをこなさなければならない
    • 他に持病のある場合は、その治療薬を中止しなければならないことがある

これらをしっかりと把握した上で治験に望む必要があります。治験は夢の万能薬を使う治療ではありません。飛び抜けて成績の良い新薬はめったに現れません。たいていの新薬では、治療成績は良くても予想がつく程度の範囲に収まります。新薬の期待だけではなく、未知の副作用が出る危険性や、新薬が従来の薬より効かない可能性も考えに入れてください。それらを鑑みた上で判断することが望ましいです。

治験に参加するにはどこに行けばよいか?

治験はどの病院でもやっているというわけではありません。治験をやっている病院に行かなくては参加することはできません。

ただ、どこでどんな治験をやっているのかに関しては、普通の生活をしている限り情報すら入ってきません。そこで治験に参加したい人が登録しておくデータベースがあります。そこに登録するか、主治医に「治験があれば参加したい」という旨を伝えておくと良いでしょう。

いずれにしても、治験には厳格な参加基準があるため参加できるタイミングは多くはありません。また、すごく良い効果を期待するのは難しく、ともすれば重大な副作用を被る可能性もあるということは承知してください。