2018.05.16 | ニュース

乾癬の薬ほか、新薬5製品はどんな薬?

添付文書記載の臨床試験を中心に

乾癬の薬ほか、新薬5製品はどんな薬?の写真

3月23日に、厚生労働省が新薬16製品を承認しました。そのうちトレムフィア、ラパリムス、タフィンラー、メキニスト、レンビマの特徴などを紹介します。

トレムフィアとは?

グセルクマブ(商品名トレムフィア®)は、 乾癬(尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症)の治療薬です。光線療法などの既存治療で効果不十分な場合に使います。作用のしくみから抗IL-23抗体に分類されます。

臨床試験で、中等度以上の皮膚症状がある患者(局面型皮疹を有する乾癬患者で、関節症性乾癬の患者を含む)を対象に、グセルクマブと偽薬の注射を比較して効果が試されました。

治療開始から16週後に、皮膚症状に一定基準以上の改善(PASI 90またはIGA 0/1)があった人の割合が比較されました。PASI 90相当の改善があった割合は、偽薬のグループ(64人)では0でしたが、グセルクマブ(1回あたりの用量100mg)を使用したグループでは69.8%(63人中44人)となりました。IGA 0/1相当の改善があった割合は、偽薬のグループでは7.8%(64人中5人)でしたが、グセルクマブ100mgのグループでは88.9%(63人中56人)でした。どちらの基準でも、グセルクマブ100mgのグループのほうが偽薬のグループよりも高い割合で改善が得られました

副作用について集計したデータでは、27.1%の人に何らかの副作用が現れました。主な副作用は注射した場所の赤み、上気道感染などでした。

 

ラパリムスとは?

シロリムスは、商品名「ラパリムス®錠1mg」として従来リンパ脈管筋腫症に使われていましたが、新しく「結節性硬化症に伴う皮膚病変」を効能・効果とする製品の「ラパリムス®ゲル0.2%」が承認されました。

結節性硬化症は、遺伝によりてんかんなどを現す病気で、皮膚にも血管線維腫という変化を伴うことがあります。シロリムスのゲル剤は、塗って使うことで血管線維腫に対する効果を現します。

臨床試験では、シロリムスを塗ったグループと偽薬を塗ったグループを比較した結果、血管線維腫の改善度が「著明改善」または「改善」となった人がシロリムスで60%(30人中18人)、偽薬で0(32人中)となるなど、シロリムスが改善度で偽薬に勝っていました

副作用についてのデータでは70.3%の人に何らかの副作用が現れていました。主な副作用は、皮膚乾燥、塗った場所の刺激感、にきび、かゆみなどでした。

 

タフィンラー、メキニストとは?

ダブラフェニブ(商品名タフィンラー®)とトラメチニブ(商品名メキニスト®)は、2剤を一緒に使うことで効果を現すがん治療薬です。従来、皮膚がんの一種に対して使われていましたが、新たに「BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能・効果が追加されました。非小細胞肺癌とは肺がんのうち小細胞がんと呼ばれるタイプ以外のものを指します。BRAF遺伝子変異はがんの遺伝子検査で調べることができます。

臨床試験では、ダブラフェニブとトラメチニブを使ったあと、がんが小さくなる効果を調べました。以前にがん治療薬を使ったことのない人の中では、34人中33人(97.1%)で標的とした場所のがんが小さくなり、6人(17.6%)で標的とした場所のがんが消失しました。半数の人が治療開始から24.6か月以上生存しました。

何らかの副作用が89.2%の人に現れました。主な副作用は発熱、吐き気、嘔吐、皮膚乾燥などでした。

 

レンビマとは?

レンバチニブ(商品名レンビマ®)は、がん治療薬です。以前から甲状腺がんに対して使われていますが、新たに「切除不能な肝細胞癌」の効能・効果が追加されました。

臨床試験では、以前に全身の抗がん剤治療を使ったことのない人を対象として、既存の治療薬のソラフェニブとレンバチニブが比較されました。生存率でレンバチニブがソラフェニブより劣らないことが指標とされ、データ集計の時点までにレンバチニブのグループは478人中351人(73.4%)、ソラフェニブのグループは476人中350人(73.5%)が死亡し、統計的にレンバチニブがソラフェニブに劣らない結果となりました

何らかの副作用が93.9%の人に現れました。主な副作用は、高血圧、下痢、手掌・足底発赤知覚不全症候群、食欲減退、タンパク尿、疲労、発声障害などでした。

 

なお、レンビマ®には1カプセルで4mgの製品と10mgの製品がありますが、肝細胞がんに対する効能・効果は4mgの製品に対してのみ承認されています。

 

まとめ

3月23日に承認された新薬16製品のうち5製品を紹介しました。ほかの製品については別の記事で紹介しています。 

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新しく作られた薬剤や、以前と違った用途にも使えるようになった薬剤により、治療の選択肢が広がります。臨床試験のデータを参考に、ほかの治療とメリットやデメリットを比べることで、自分に合った治療になるかどうかを考えることができます。

執筆者

MEDLEY編集部

参考文献

トレムフィア皮下注100mgシリンジ 添付文書、ラパリムスゲル0.2% 添付文書、タフィンラーカプセル50mg/タフィンラーカプセル75mg インタビューフォーム、メキニスト錠0.5mg/メキニスト錠2mg インタビューフォーム、レンビマカプセル4mg/レンビマカプセル10mg インタビューフォーム

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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