乾癬の薬ほか、新薬5製品はどんな薬?

3月23日に、厚生労働省が新薬16製品を承認しました。そのうちトレムフィア、ラパリムス、タフィンラー、メキニスト、レンビマの特徴などを紹介します。
トレムフィアとは?
グセルクマブ(商品名トレムフィア®)は、 乾癬(尋常性乾癬、関節症性乾癬、
臨床試験で、中等度以上の皮膚
治療開始から16週後に、皮膚症状に一定基準以上の改善(PASI 90またはIGA 0/1)があった人の割合が比較されました。PASI 90相当の改善があった割合は、偽薬のグループ(64人)では0でしたが、グセルクマブ(1回あたりの用量100mg)を使用したグループでは69.8%(63人中44人)となりました。IGA 0/1相当の改善があった割合は、偽薬のグループでは7.8%(64人中5人)でしたが、グセルクマブ100mgのグループでは88.9%(63人中56人)でした。どちらの基準でも、グセルクマブ100mgのグループのほうが偽薬のグループよりも高い割合で改善が得られました。
副作用について集計したデータでは、27.1%の人に何らかの副作用が現れました。主な副作用は注射した場所の赤み、
ラパリムスとは?
シロリムスは、商品名「ラパリムス®錠1mg」として従来リンパ脈管筋腫症に使われていましたが、新しく「結節性硬化症に伴う皮膚
結節性硬化症は、遺伝によりてんかんなどを現す病気で、皮膚にも血管線維腫という変化を伴うことがあります。シロリムスのゲル剤は、塗って使うことで血管線維腫に対する効果を現します。
臨床試験では、シロリムスを塗ったグループと偽薬を塗ったグループを比較した結果、血管線維腫の改善度が「著明改善」または「改善」となった人がシロリムスで60%(30人中18人)、偽薬で0(32人中)となるなど、シロリムスが改善度で偽薬に勝っていました。
副作用についてのデータでは70.3%の人に何らかの副作用が現れていました。主な副作用は、皮膚乾燥、塗った場所の刺激感、にきび、かゆみなどでした。
タフィンラー、メキニストとは?
ダブラフェニブ(商品名タフィンラー®)とトラメチニブ(商品名メキニスト®)は、2剤を一緒に使うことで効果を現す
臨床試験では、ダブラフェニブとトラメチニブを使ったあと、がんが小さくなる効果を調べました。以前にがん治療薬を使ったことのない人の中では、34人中33人(97.1%)で標的とした場所のがんが小さくなり、6人(17.6%)で標的とした場所のがんが消失しました。半数の人が治療開始から24.6か月以上生存しました。
何らかの副作用が89.2%の人に現れました。主な副作用は発熱、吐き気、嘔吐、皮膚乾燥などでした。
レンビマとは?
レンバチニブ(商品名レンビマ®)は、がん治療薬です。以前から甲状腺がんに対して使われていますが、新たに「切除不能な肝細胞癌」の効能・効果が追加されました。
臨床試験では、以前に全身の
何らかの副作用が93.9%の人に現れました。主な副作用は、高血圧、下痢、手掌・足底
なお、レンビマ®には1カプセルで4mgの製品と10mgの製品がありますが、肝細胞がんに対する効能・効果は4mgの製品に対してのみ承認されています。
まとめ
3月23日に承認された新薬16製品のうち5製品を紹介しました。ほかの製品については別の記事で紹介しています。
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新しく作られた薬剤や、以前と違った用途にも使えるようになった薬剤により、治療の選択肢が広がります。臨床試験のデータを参考に、ほかの治療とメリットやデメリットを比べることで、自分に合った治療になるかどうかを考えることができます。
執筆者
トレムフィア皮下注100mgシリンジ 添付文書、ラパリムスゲル0.2% 添付文書、タフィンラーカプセル50mg/タフィンラーカプセル75mg インタビューフォーム、メキニスト錠0.5mg/メキニスト錠2mg インタビューフォーム、レンビマカプセル4mg/レンビマカプセル10mg インタビューフォーム
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。