ひふがん
皮膚がん
皮膚に生じるがんの総称
6人の医師がチェック 162回の改訂 最終更新: 2023.09.11

皮膚がんの基礎知識

POINT 皮膚がんとは

皮膚にできた悪性腫瘍の総称です。代表的なものとして「基底細胞がん」や「有棘細胞がん」、「悪性黒色腫」があります。腫瘍のタイプによって症状は異なりますが、一般的には痛みやしこり、出血が多いです。組織診(がんが疑われる部分を取り出して顕微鏡で確認する検査)によって診断が確定されます。手術や放射線、抗がん剤によって治療し、腫瘍の種類やステージ、患者さんの身体の状態によって効果が最も高い方法が選ばれます。皮膚がんが心配な人は皮膚科を受診してください。

皮膚がんについて

  • 皮膚に生じるがんの総称
  • 年間24,000人ほどが罹患して、年間1,700人ほどが亡くなっている
    • 年間罹患者は男性約12,391人、女性11,688人(2018年)である
    • 年間死亡者は男性848人、女性854人(2019年)である
  • 皮膚がんの中でも起こる場所によって以下の種類がある
  • 主な皮膚がんの例
    • 有棘細胞がん
      • 表皮の中間の層にあたる有棘層を構成する細胞から発生するがん
    • 有棘細胞がん前駆症(有棘細胞がんに移行する可能性が高い病気)
      • ボーエン病:高齢者によくみられる境界のはっきりした数cmの褐色や紅色の斑点をもつ  
      • 日光角化症:黄褐色のかさぶたを伴う1-3cmの紅褐色局面をもち、皮膚がぼろぼろむける
      • 白板症:口や生殖器の周りにできる白くふやけたように見える局面をもつ
    • 基底細胞がん
      • 基底細胞(表皮と真皮の間で分裂して表皮細胞をつくる)に類似した細胞が増殖するがん
      • 最も多いタイプの皮膚がん
    • パジェット病
      • ときに痒みのある湿疹のような赤い斑が特徴
      • 乳房部パジェット病:乳頭や乳輪に生じる
      • 乳房外パジェット病:生殖器や肛門のまわり、ワキの下によくみられる
    • 血管肉腫
      • 血管の壁を構成する血管内皮細胞という細胞から発生するがん
      • 暗紫色の紫斑(出血斑)が徐々に拡大するのが特徴
      • 高齢者の頭部に発症することが多い
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皮膚がんの症状

  • 皮膚に腫瘍ができる
  • 部位や種類によって、痛みや出血など様々な症状が出現する
症状の詳細

皮膚がんの検査・診断

  • 視診:外見を丹念に観察する診察法
  • 組織診腫瘍良性か悪性か調べる
    • 腫瘍の一部を採取して顕微鏡で確認する
  • 画像診断:がんの広がりや転移の有無を調べる
検査・診断の詳細

皮膚がんの治療法

  • 手術で切除することが基本
  • 化学療法抗がん剤治療)を行う場合もある
治療法の詳細

皮膚がんに関連する治療薬

その他の抗がん性抗生物質

  • 細胞の増殖に必要なDNAの合成を阻害するなどにより抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAやRNAの合成が必要となる
    • 本剤はDNAに作用しDNAの複製を阻害するなどして抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は土壌などに含まれるカビなどの微生物由来の薬剤であり抗がん性抗生物質と呼ばれる
その他の抗がん性抗生物質についてもっと詳しく

分子標的薬(ニボルマブ〔ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体〕)

  • がん細胞を攻撃するリンパ球T細胞を回復・活性化させ、がん細胞に対する免疫反応を亢進させることで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 通常であれば、がん細胞は体内で異物とされリンパ球のT細胞によって攻撃を受けるが、がん細胞が作るPD-1リガンドという物質はリンパ球の活性化を阻害する
    • 本剤はPD-1リガンドによるリンパ球の活性化阻害作用を阻害することで、T細胞のがん細胞へ攻撃する作用を高める
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(ニボルマブ〔ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体〕)についてもっと詳しく

分子標的薬(BRAF阻害薬:ベムラフェニブなど)

  • 異常な細胞増殖の因子となる変異型BRAFというタンパク質キナーゼの活性を阻害し抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖のシグナル伝達における重要な因子にBRAFというタンパク質キナーゼがあり、このBRAFに変異がおこると細胞増殖が異常に亢進する
    • 悪性黒色腫などのがんではBRAF変異がみられる場合がある
    • 本剤は活性化変異型のBRAFキナーゼを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(BRAF阻害薬:ベムラフェニブなど)についてもっと詳しく

皮膚がんが含まれる病気

皮膚がんのタグ

皮膚がんに関わるからだの部位