2016.02.24 | ニュース

皮膚がカサカサになる「乾癬」は「がん」とも関係している?

100万人以上の解析から

from JAMA dermatology

皮膚がカサカサになる「乾癬」は「がん」とも関係している?の写真

乾癬は皮膚に慢性の炎症が起きる病気で、赤くカサカサした発疹が特徴です。慢性の炎症はさまざまな臓器の病気に影響します。乾癬がある人で、がんの危険性に違いがあるかが検討されました。

◆イギリス100万人のデータを解析

研究班は、イギリスの診療データベースを使って、2002年から2014年にかけて計100万人を超える対象者のデータを得ました。18歳から89歳で乾癬がある人198,366人と、乾癬がない人937,716人を対象としました。

 

◆乾癬があると悪性リンパ腫、皮膚がん、肺がんが多い

次の結果が得られました。

乾癬がある群全体、軽度の乾癬がある群、重度の乾癬がある群の順に、新規発生の悪性リンパ腫の調整ハザード比は1.34(95%信頼区間1.18-1.51)、1.31(95%信頼区間1.15-1.49)、1.89(95%信頼区間1.25-2.86)であり、悪性黒色腫以外の皮膚がんについては1.12(95%信頼区間1.07-1.16)、1.09(95%信頼区間、1.05-1.13)、1.61(95%信頼区間1.42-1.84)、肺がんについては1.15(95%信頼区間、1.03-1.27)、1.12(95%信頼区間、1.01-1.25)、1.62(95%信頼区間1.16-2.28)だった。

乾癬がない人に比べて、重度の乾癬があった人では悪性リンパ腫の発生が1.89倍、悪性黒色腫(メラノーマ)を除く皮膚がんが1.61倍、肺がんが1.62倍と、いずれも多くなっていました。軽度の乾癬があった人でもわずかにがんが多い結果が見られました。

 

乾癬があるとなぜがんが多いのか、その原因までは特定されていません。しかし、特に違いがあるがんの種類が指摘されたことで、長期間の治療の中で気を付けるべき点を選ぶ役に立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The Risk of Cancer in Patients With Psoriasis: A Population-Based Cohort Study in the Health Improvement Network.

JAMA Dermatol. 2015 Dec 16. [Epub ahead of print]

[PMID: 26676102]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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