2016.03.21 | ニュース

毛穴が化膿、「化膿性汗腺炎」がある人は心筋梗塞・脳卒中が多く短命かもしれない

デンマーク3万5千人のデータから

from JAMA dermatology

毛穴が化膿、「化膿性汗腺炎」がある人は心筋梗塞・脳卒中が多く短命かもしれないの写真

化膿性汗腺炎は、毛穴の周りに細菌が感染した状態で、多くの人に起こり、治療しなければ長期間続きやすくなります。長期的な影響があるか調べた結果、死亡率などと統計的な関連が見られたことが報告されました。

◆化膿性汗腺炎は病気に影響するか?

研究班は、デンマーク全国の調査データの解析を行いました。35,368人を対象として、そのうち化膿性汗腺炎の診断を受けた人と、そうでない人を比較して、死亡率や心筋梗塞などの頻度に違いがあるかを調べました。

心筋梗塞や脳卒中など、血管の変化と関係が深い病気の原因には、炎症反応が関わっていると考えられています。歯周炎や乾癬などにより炎症が持続することが心筋梗塞や脳卒中の頻度に影響するという観点から、多くの研究が行われています。

 

◆化膿性汗腺炎があった人は死亡率が高い

次の結果が得られました。

調整発症率比(年齢、性別、社会経済的状態、喫煙、併存症、服薬で調整)は、心筋梗塞に対して1.57(95%信頼区間1.14-2.17)、虚血性脳卒中に対して1.33(1.01-1.76)、心血管関連死に対して1.95(1.42-2.67)、MACEに対して1.53(1.27-1.86)、全死因死亡に対して1.35(1.15-1.59)だった。

化膿性汗腺炎の診断を受けた人では、心筋梗塞の発生、脳梗塞の発生がいずれも多く、死亡率も高いと見られました。

 

ここで統計的な関連が見られたことが、本当に化膿性汗腺炎による影響として説明されるかは、さまざまな角度から考える必要があります。また、化膿性汗腺炎を治療すれば死亡率を抑えることができるかを知るには別の研究が必要です。

化膿性汗腺炎によってどのような影響があるかは、今後の研究の中でも論点とされるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Risk of Major Adverse Cardiovascular Events and All-Cause Mortality in Patients With Hidradenitis Suppurativa.

JAMA Dermatol. 2016 Feb 17. [Epub ahead of print]

[PMID: 26885728]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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