【2026年(令和8年)刷新版】要指導、第1類、第2類?で何が違う?ガスター10®︎、リアップ®︎など「OTC医薬品」のリスク分類について詳しく解説
コマーシャルなどでよく耳にする「OTC医薬品」。いわゆる「市販されている薬」をあらわす言葉として使われていますが、そもそも「OTC」とはどのような意味をもつのでしょうか? 今回はこの「OTC医薬品」とそのリスク分類(区分)を中心に解説していきます。
1. OTC医薬品とは?
薬(医薬品)には、主に医療機関の受診を必要とする処方薬(医療用医薬品)と受診なしで薬局や薬店(ドラッグストアなど)で購入できる市販薬が存在します。ちなみに市販薬は、ほかに大衆薬、家庭薬などの色々な名称で呼ばれることもあります。これら色々な市販薬の呼び方を変更・統一した名称が「OTC医薬品」であり、OTCとは「Over The Counter」の略で、カウンター越しに薬を販売することに由来します。なお、一般に「OTC医薬品」とは、後述する「要指導医薬品」と「一般用医薬品」を合わせたものになります。
表:法令上の医薬品分類に関して
| 医薬品 | ||||||
| 薬局医薬品 | 要指導医薬品※2 | 一般用医薬品 | ||||
| 医療用医薬品 | 薬局製造販売医薬品※1 | 第1類医薬品 | 第2類医薬品※3 | 第3類医薬品 | ||
※1:一般に「薬局製剤」とも呼ばれ、薬局開設者が当該薬局における設備及び器具をもって製造し、当該薬局において直接消費者に販売し、又は授与する医薬品であって、厚生労働大臣の指定する有効成分以外の有効成分を含有しない医薬品のこと
※2:要指導医薬品には後述する「特定要指導医薬品」が含まれる
※3:第2類医薬品には後述する「指定第2類医薬品」が含まれる
2. 要指導・第1類・第2類・第3類の違いとは?~OTC医薬品のリスク分類~
先ほどの表にもあったように、医薬品は薬局医薬品とOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品)に分かれます。薬局医薬品のうち、医療用医薬品(いわゆる処方薬)は、主に医療機関への受診を経て、医師の処方のもと出される薬です(なお、薬局医薬品には薬局製造販売医薬品といって医療機関への受診なしで購入できるものも含まれます)。
一方、OTC医薬品は患者自身(場合によっては家族など)が症状を考察し、薬局や薬店(ドラッグストアなど)で「くすりの専門家」に相談などをした上で購入する薬となります。ひとえにOTC医薬品といっても薬の成分や身体への効果などによってリスク分類(区分)がされており、販売方法や薬局などでの取り扱い、対応する「くすりの専門家」などが異なってきます。以下に挙げたのはリスク毎に分けられた医薬品名称と規定内容などの要点をまとめたものです(なお、本記事に登場する薬剤に関して、株式会社メドレーは特定の製薬企業やその関係団体との利害関係はありません)。
要指導医薬品(情報提供を行う「くすりの専門家」:薬剤師)
OTC医薬品としては初めて市場に登場した薬などが最初に区分される医薬品分類になります。その取り扱いなどに関して十分な注意を要するため、販売にあたっては薬剤師が需要者(購入希望者)本人からの情報を収集するとともに書面などによる当該医薬品に関する説明(情報提供)を行うことが原則です。以前は特定販売といってインターネットなどを介した販売が認められていませんでしたが、2026年5月より、一部※4を除き、"通常の要指導医薬品"であれば、特定販売が認められることになりました(なお、特定販売を行うには、薬局などの所在地を所轄する保健所へその旨を申請し許可を受ける必要があります)。
また、要指導医薬品は店舗での保管方法などに関しても細かい規定があり、購入希望者がすぐには手が届かない場所へ陳列しなくてはならない(情報提供場所のカウンターの後ろの棚や鍵をかけたガラスケース内などに陳列するのが一般的です)、販売記録の作成・保存の義務があるなど、OTC医薬品の中でも特に厳格なものになっています。厚生労働省の指定等の趣旨では一般用医薬品とは異なる「医療用医薬品に準じたカテゴリーの医薬品」となり、冒頭にあった"最初に市場に登場した薬"のほか、医療用医薬品からOTC医薬品へ移行して間もないためOTC医薬品としてのリスクが確定していない薬や劇薬などがこれに該当します。
※4:特定販売ができない要指導医薬品に関して
要指導医薬品には「特定要指導医薬品」と呼ばれる区分があり、こちらに関しては薬剤師による対面販売が義務付られており、特定販売はできません。
要指導医薬品は通常、発売後に行われる安全性に関する調査の結果、一般用医薬品に区分が変更されていくのが一般的ですが、この「特定要指導医薬品」は安全性に関する調査の結果に関わらず、対面指導の必要性が継続する限り、区分変更が行われず「特定要指導医薬品」に指定され続けるという点が通常の要指導医薬品と異なります。緊急避妊薬であるノボノルゲストレル
第1類医薬品(情報提供を行う「くすりの専門家」:薬剤師)
一般用医薬品の3段階のリスク分類の中でも特にリスクが高いとされる成分を含む区分であり、その副作用などにより日常生活に支障を来す程度の健康被害が生じるおそれがあるもののうち、特に注意が必要であり保健衛生上のリスクも特に高い成分などを含む医薬品になります。薬剤師の説明を聞かずに購入することがないように、すぐには手の届かない場所に陳列しなくてはならない、などの規定があります。また、店頭で販売する場合には情報提供場所において対面でかつ書面などによる情報提供が原則として必要であり、販売記録の作成・保存なども義務付けられています。保健所へ届出を行い許可を受けた薬局などでは、特定販売(インターネットなどを介した販売)も可能です。コマーシャルなどでもよくみかけるガスター10®︎をはじめとする胃薬のH2ブロッカー(H2受容体拮抗薬)やリアップシリーズに代表されるミノキシジル外用塗布薬などがこの第1類医薬品に区分されます。
第2類医薬品(情報提供を行う「くすりの専門家」:薬剤師又は登録販売者)
その副作用などにより日常生活に支障を来す程度の健康被害が生じるおそれがあり、保健衛生上のリスクが比較的高い成分を含む医薬品になります。薬剤師や登録販売者からの情報提供や販売記録の作成・保存は努力義務となっています(ただし、後述する「指定濫用防止医薬品」などに関しては販売記録などが必要となる場合があります)。なお、第2類医薬品に関しても許可を受けた薬局などでは特定販売(インターネットなどを介した販売)が可能です。
第2類医薬品には、解熱
第2類医薬品の中でも特に注意すべき成分(小児や妊婦が禁忌とされる成分や相互作用や習慣性・依存性がある成分などで厚生労働大臣が指定した成分)を含む医薬品に関しては「指定第2類医薬品」という区分が適用されます(先ほど、例に挙げた、バファリンAやノーシンなどもこの区分です)。この区分に該当する薬は、通常の第2類医薬品よりも厳格な管理などが必要であり、その違いは含有成分だけでなく「医薬品の直接の容器・被包の2の数字を「丸」や「四角」で囲った表記(表示例:第②類医薬品)とする」や「情報提供場所から半径7m以内の範囲に陳列する」などの規定が加わります。なお、この「指定第2類医薬品」の成分には昨今、主に若年者を中心として社会的に大きな問題となっている薬物濫用(乱用)の対象となっているもの※5も含まれ、管理・販売方法などをより厳格化する方向で法改正が行われています。
※5:濫用等のおそれのある医薬品に関して
薬物濫用(近年、問題となっている過剰摂取(いわゆるオーバードーズ:OD)を含む)などのおそれがあるものとして厚生労働大臣が指定するもので、一般に「濫用等のおそれのある医薬品」と呼ばれています。具体的には、エフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、ブロモバレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン(及びこれらの水和物や塩類)を含む医薬品がこれに該当します(令和5年厚生労働省告示第5号)。なお、今後は、昨今の濫用の実態などを鑑み、先に挙げたものにデキストロメトルファンとジフェンヒドラミン(及びこれらの水和物や塩類を含む)が追加され、名称も「指定濫用防止医薬品」となりました(令和8年5月施行)。なお、該当する成分を含む薬(ただし、外用剤を除く)であれば、要指導・一般用医薬品を問わずこの区分が適用され、仮に、該当する成分を含む要指導医薬品であれば、要指導の規定のほかに、この区分の規定が加わることになります。ちなみに、この「指定濫用防止医薬品」に該当する医薬品に対しては販売時に氏名及び年齢や購入状況などの確認、購入者の状況の確認及び濫用などにかかる情報提供などが必要となるほか、例えば、若年者(18歳未満)には複数・大容量製品は販売しない、などの濫用防止のための厳格な販売体制がとられます。
第3類医薬品(情報提供を行う「くすりの専門家」:薬剤師又は登録販売者)
第1類及び第2類医薬品に相当するもの以外の成分、すなわち、第1類及び第2類に比べると保健衛生上のリスクが比較的低い成分を含む一般用医薬品です(ただし、日常生活に支障を来たす程度ではないにせよ、副作用などにより身体の変調・不調が起こるおそれはあり注意は必要です)。情報提供に関しては、購入者からの相談があった場合には、ほかのリスク区分の薬同様、薬剤師や登録販売者による応答義務があり、販売記録の作成・保存は努力義務となっています。疲れ目(眼精疲労)用の目薬や消毒薬などが主に含まれる区分になります。ほかの一般用医薬品と同様、第3類医薬品も許可を受けた薬局などでは特定販売(インターネットなどを介した販売)が可能です。
3. スイッチOTCなどを活用したセルフメディケーションとは?
OTC医薬品をあらわす用語にはリスク分類(区分)のほか、「スイッチOTC」や「ダイレクトOTC」などといった呼び名があります。
スイッチOTCとは、医療用医薬品としての有効性、安全性などが評価され、薬局などで処方箋なしで購入できるように転用(スイッチ)された薬です。通常、スイッチ直後は要指導医薬品として発売され、一定の期間(原則、3年)を経て一般用医薬品(第1類、第2類、第3類のいずれか)に移行されます。例えば、花粉症(アレルギー性鼻炎)の治療薬であるロラタジン内服薬(主な商品名:クラリチン®︎EX)は、スイッチ当初は「要指導医薬品」に区分されていましたが、現在では第2類医薬品になっています。
ダイレクトOTCは、「医療用医薬品も含めて初めての有効成分を含有するOTC医薬品」です。すなわち、それまで国内において医療用医薬品としても発売されていなく、直接、OTC医薬品として登場した薬になります。主なダイレクトOTCとして、リアップシリーズ(主な商品名:リアップX5チャージ)、プレフェミン、アライなどがあります。
超高齢社会の到来、慢性疾患の患者数増加、医療費高騰・・・など、多くの課題を抱える日本では、特定健診や特定保健指導などの実施によるメタボリックシンドロームの予防、ジェネリック医薬品の推進による医療費削減など、さまざまな施策がとられています。詳しくは割愛しますが、日頃から自分自身で健康管理を行うことは、単に健康を維持するというだけでなく、健康寿命をのばしたり高騰する医療費の抑制などにも繋がるのではないか・・・とも考えられています。
近年では、国も積極的にセルフメディケーション(自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすることなど)を推進していて、現在では、風邪薬などの指定されたOTC医薬品であって、いくつかの条件を満たせば購入した代金に対しても医療控除(医療費控除の特例、いわゆる「セルフメディケーション税制」)が受けられるようにもなりました。
薬局や薬店(ドラッグストアなど)では、薬剤師や登録販売者といった「くすりの専門家」が、日々、薬や健康の相談に応じています。今だけでなく、この先の体調を見据えて、OTC医薬品を活用した健康管理などを「くすりの専門家」に相談してみてはいかがでしょうか。
執筆者
1. 医薬品販売制度の変遷,厚生労働省 医薬・生活衛生局 総務課(令和5年2月22日)
2. 指定濫用防止医薬品の指定について,厚生労働省医薬局医薬安全対策課(令和8年1月23日)
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。