のうこうそく

脳梗塞

脳の血管の一部が詰まり、血流が足りなくなった脳細胞が壊死すること。運動・感覚の麻痺などを起こし、後遺症による寝たきりや死亡にもつながる

病気に関連する診療科の病院を探す
21人の医師がチェック 264回の改訂 最終更新: 2017.12.06

脳梗塞の基礎知識

POINT脳梗塞とは

脳梗塞は脳の一部が詰まり、その先にある脳細胞に十分な血流がいかず脳細胞がダメージを受ける病気です。 診断を確定するために、頭部MRI検査・頭部CT検査・心電図・心臓超音波検査などを行います。治療は薬物治療とリハビリテーションを行います。また、再発を予防するために手術をすることもあります。脳梗塞は他の病気以上に一刻も早く治療を受けることが重要な病気であるため、片方の手足が動かしづらい・片方の手足がしびれる・喋りづらい・突然片方の視野が暗くなるといった症状がある場合は必ず医療機関にかかって下さい。その際は神経内科・脳外科にかかることをおすすめします。

脳梗塞について

  • 脳の血管の一部が詰まり、その先にある脳細胞に十分な血流が行かず、脳細胞がダメージをうけた状態
    • 血流が通わないと脳の細胞は酸素やエネルギーが足りなくなり、壊死ある部位の細胞が死んでしまうこと。多くの場合、血管が詰まったり、つぶれたりして、血液が流れなくなってしまうことが原因となるしてしまう
    • 一度死んでしまった脳細胞が蘇ることはない
  • 血管の詰まり方によって、脳梗塞は大きく3つのタイプに分類される
    • アテローム動脈の内側に、脂肪を多く含む細胞などが溜まってできたふくらみ。プラークともいう。アテロームが溜まることで動脈硬化が起こる血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多い性脳梗塞
      ・首や脳の比較的太い動脈にたまったアテロームのせいで、動脈が細くなったり詰まったりする
      動脈硬化全身に酸素と栄養を運ぶ動脈の壁が硬くなった状態。加齢の他に、喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが原因となるが原因の一つ
    • ラクナ梗塞血液が流れなくなることで、その部分の細胞が死んでしまうこと。心臓や脳に生じると、心筋梗塞、脳梗塞と呼ばれる
      ・脳の細い血管が詰まることによる、小さな脳梗塞
    • 心原性脳塞栓血液中を流された血栓などの異物が、細い場所で血管に詰まった状態。その先へ血流が流れにくくなってしまう
      ・心臓の中にできた血栓が脳の血管に運ばれ、血管が詰まってしまう
      心房細動という不整脈が原因
  • 脳卒中は、高齢者が寝たきりになってしまう主な原因である

脳梗塞の症状

  • ダメージを受けた脳の部分が、何の役割を担っていたかで症状は変わる
  • 主な症状
    • 片方の手足の動かしづらさ(麻痺神経の障害により、手足などに十分な力が入らない、感覚が鈍くなるなど、身体機能の一部が損なわれること
    • 片方の手足のしびれ(感覚障害)
    • しゃべりづらさ(舌がもつれる、言葉がでてこない)
    • ふらつき(歩きづらい、めまい)
    • 自分の体を認識できない(例えば、手が車椅子の車輪に巻き込まれていても気づかない)
    • 片側から呼びかけられても気づかない
  • 梗塞血液が流れなくなることで、その部分の細胞が死んでしまうこと。心臓や脳に生じると、心筋梗塞、脳梗塞と呼ばれるを起こしている脳の部分が大きいと、意識障害意識に異常が生じた状態の総称で、もうろうとした状態や、不適切な反応をする状態、一切の反応がない状態など多段階の症状が含まれるを起こす
    • 脳梗塞で失神脳への血流が一時的に足りなくなることによって、意識を失うことが起きることはまれ
  • 脳梗塞の前兆として一過性脳虚血発作がある

脳梗塞の検査・診断

  • 画像検査
    • 頭部MRI磁力(電磁波)を用いて、頭の中の状態を調べる検査。脳梗塞の診断などに用いられることが多い頭部CTX線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多い:脳梗塞を診断し、可能であれば脳梗塞のタイプ(原因)を調べる
      ・診断にはMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査が最も有効だが、その前段階としてCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査を撮影することも多い(脳出血でないことを確認するため)
    • 頚動脈超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、首の中にある頚動脈の状態を調べる検査:頚動脈狭窄症の有無を調べる
  • 心臓の検査
    • 心電図心臓から出ている弱い電気を感知して、心臓の状態を調べる検査ホルター心電図首からかけられるサイズの心電図計を丸一日間着用して、心臓の状態を調べる検査。通常の心電図検査よりも情報量が多い):心房細動の有無を調べる
    • 心臓超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、心臓の状態を調べる検査:心臓の中に血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多いがないかを調べる
  • 血液検査:脳梗塞の原因となるような別の異常(糖尿病脂質異常症など)がないか確かめる

脳梗塞の治療法

  • 脳梗塞が起こってから、出来るだけ早くに治療を開始することが重要
    • 基本は、薬による治療とリハビリテーション
  • 脳梗塞を発症症状や病気が発生する、または発生し始めることしてから4.5時間以内であれば、t-PAという血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多いを溶かす薬(血栓溶解薬)の使用が可能な場合がある
    • 原因や状況によっては手術やカテーテル治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法も検討される
  • 薬による治療
    • 抗血小板薬血小板が血栓を作る作用を抑えるための薬。脳梗塞などの予防に使用される抗凝固薬血液を固まりにくくする薬。不整脈に対して、血栓ができるのを予防する目的で用いられることが多い:血液を固まりにくくして、それ以上の悪化を予防する
    • 血栓溶解薬:血栓を溶かす
    • その他:脳保護薬(エダラボン)を使用することもある
  • リハビリテーション
    • 一度死んでしまった脳細胞は蘇らないため、リハビリテーションによって生きている部分の脳で、失われた機能を補うことを目指す
    • リハビリテーションはできる限り早くから開始することが望ましい
    • 治療が安定した場合には、早期にリハビリテーション病院急性期病院で治療を受けて病状が安定した後に、リハビリテーションを主体とした治療を行うための病院へ転院すべきこともある
  • 再発を予防するための治療について、以下に記す
  • カテーテル治療、手術
    • CAS(頚動脈ステント細い金属のワイヤーを編み込んだ、チューブ型の医療器材。カテーテルで血管の中に挿入し、血管が狭くなるのを予防する留置術)
      ・足の付け根の血管からカテーテルを入れて、首の血管を広げる治療
    • CEA(頚動脈内膜剥離術)
      ・首の血管に溜まったアテローム動脈の内側に、脂肪を多く含む細胞などが溜まってできたふくらみ。プラークともいう。アテロームが溜まることで動脈硬化が起こるを取り除く治療
    • バイパス手術
      ・頭の表面の血管を脳の血管につないで、血流を増やす手術
  • 薬による治療
    • 喫煙、肥満、高血圧、糖尿病脂質異常症などの治療を行う
    • アテローム血栓性脳塞栓血液中を流された血栓などの異物が、細い場所で血管に詰まった状態。その先へ血流が流れにくくなってしまうとラクナ梗塞血液が流れなくなることで、その部分の細胞が死んでしまうこと。心臓や脳に生じると、心筋梗塞、脳梗塞と呼ばれるに対しては抗血小板薬を使用
    • 心房細動に対しては抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬)を使用

脳梗塞に関連する治療薬

PDE阻害薬(抗血小板薬)

  • 血液をサラサラにすることで血液が固まって血管がつまることを防ぎ、血栓の形成を予防する薬
    • 体内で血小板凝集が起こると血液が固まりやすくなる
    • 体内にホスホジエステラーゼ(PDE)という血小板凝集を進める酵素がある
    • 本剤はPDEを阻害するなどの作用により血小板凝集を抑え血液の流れをよくする抗血小板薬の一つである
  • 慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛、冷感などを改善する作用もある
  • 嚥下障害の改善効果なども期待できるとされる
PDE阻害薬(抗血小板薬)についてもっと詳しく

FXa阻害薬(抗凝固薬)

  • 体内の血液が固まる作用の途中を阻害し、血栓の形成を抑え脳梗塞や心筋梗塞などを予防する薬
    • 血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなる
    • 血液凝固(血液が固まること)には血液を固める要因になる物質(血液凝固因子)が必要である
    • 本剤は血液凝固因子の因子Xa(FXa)を阻害し、抗凝固作用をあらわす
FXa阻害薬(抗凝固薬)についてもっと詳しく

クマリン系抗凝固薬(ワルファリンカリウム製剤)

  • ビタミンKが関与する血液凝固因子の産生を抑え、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬
    • 血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなる
    • 体内で血液を固める要因になる物質(血液凝固因子)の中にビタミンKを必要とするものがある
    • 本剤は体内でビタミンKの作用を阻害し、ビタミンKを必要とする血液凝固因子の産生を抑えることで抗凝固作用をあらわす
  • ビタミンKを多く含む食品などを摂取すると薬の効果が減弱する場合がある
    • 納豆、クロレラ、青汁などはビタミンKを多く含む
    • 本剤を服用中は上記に挙げた食品などを原則として摂取しない
クマリン系抗凝固薬(ワルファリンカリウム製剤)についてもっと詳しく

脳梗塞の経過と病院探しのポイント

脳梗塞かなと感じている方

脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまう病気です。突然手足に麻痺神経の障害により、手足などに十分な力が入らない、感覚が鈍くなるなど、身体機能の一部が損なわれることが出現して動かしづらくなった、舌が回らなくなったなどの症状があれば、すぐに救急車を呼びましょう。数時間から1日かけて徐々に症状が出現するのではなく、ある瞬間から急に変化が生じる、というのが脳梗塞の特徴の一つです。脳梗塞の対応ができるかどうかは病院によって異なることと、脳梗塞は他の病気にもまして特に一刻も早く治療を受けることが重要な病気であるため、医療機関選びは救急隊の判断に任せるのが結果的に最も治療の結果が良くなると考えられます。

病院によっては神経内科と脳神経外科(脳外科)が両方あることがあり、病院ごとにどちらの科が脳梗塞を診療しているかがおおむね決まっています。しかし、どちらの科を受診しても適切に案内してもらえますので、まずは受診の上で、もし迷ったら窓口でどちらの科を受診すべきか確認してみてください。

脳梗塞を主に診療する専門医は、脳神経外科専門医、神経内科専門医です。この専門医の中でも、脳梗塞を多く見ている医師もいれば、そうではなく脳腫瘍パーキンソン病などの病気を中心に診療している医師もいます。しかしこれらの科の医師であれば、脳梗塞についても一定の経験があると考えられます。

なお脳梗塞は脳卒中の一種です。脳卒中センターのある病院は専門性が高く高度な医療を提供していることが多いです。SCU (stroke care unit) といって、脳卒中専門の病棟を設置している病院もあります。

従って、脳梗塞ではないかと心配になってご自身で受診するような場合には、MRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査の検査を行える医療機関を受診することが勧められます。MRIの機械があっても、たとえば夜間は専門の放射線技師が不在の場合がありますので、機械さえ病院にあれば土日や夜間でも行える検査だというわけではない点に注意してください。

脳梗塞に関連する診療科の病院・クリニックを探す

脳梗塞でお困りの方

脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまう病気です。その治療は大きく3つに分かれます。t-PAと呼ばれる血管の詰まりを解消する注射薬、同じく脳の血管の詰まりを解消するためのカテーテル治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法、そしてその他の点滴薬や内服薬飲み薬のことです。

t-PAの治療は、脳梗塞を発症症状や病気が発生する、または発生し始めることした瞬間から4.5時間以内でないと行うことができません。副作用に脳出血があり、それは時間が経てば経つほど可能性が高まるため、4.5時間を越えてt-PAの治療を行うことは逆効果です。4.5時間ぎりぎりだから良いということではなく、早ければ早いほど効果が高い治療です。t-PAの治療を行える医師は限られているため、神経内科専門医や脳神経外科専門医がいる医療機関の受診が勧められます。

カテーテルの治療は、足の血管に針を刺し、そこから脳まで細いワイヤーを通して行う治療です。詰まった血管を広げることができますが、これもt-PAと同じく行える医師が限られています。脳神経外科専門医がいる医療機関を受診する必要があります。

t-PA、カテーテル以外については、内科で一般的に行える点滴や内服による治療です。脳梗塞の大きさや発症からの時間によっては、そもそもt-PAやカテーテル治療が行えない場合も多く、そのような場合には点滴、内服薬での治療を行うこととなります。

脳梗塞を起こした場合、その後に血液をさらさらにする薬を飲み続ける場合があります。こちらについては、もし入院したのであればそちらの科の外来に退院後もかかり続けることもありますし、すでに高血圧や脂質異常症などでかかりつけの病院、クリニックがあるのであれば、そちらで薬をまとめて処方してもらうことも可能です。
 
脳梗塞については、内科のクリニックであれば、特に専門を限らずに定期的な通院での対応が可能な病気になります。

また、脳梗塞で後遺症が残ってしまった場合、長期間のリハビリテーションが必要となります。後遺症が大きく一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院病気の発症直後の検査や治療に特化した病院。24時間体制で診療を受け付けているが、慢性期病院と役割を分担しており、病状が安定してきてからの診療は専門としていないから回復期病院急性期病院で治療を受けて病状が安定した後に、リハビリテーションを主体とした治療を行うための病院リハビリ病院急性期病院で治療を受けて病状が安定した後に、リハビリテーションを主体とした治療を行うための病院療養型病院病気の発症直後ではなく、病状が安定してきてからの検査や治療に特化した病院。急性期病院と役割を分担しており、発症直後の診療は専門としていない)に転院して、リハビリに専念することになります。
急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法体の障害に対して、動かしたり、電気や熱で刺激したりすることを通じて行う治療。理学療法士はPT(Physical Therapist)と呼ばれる士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフです。患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところが病院を選ぶ上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか、1日に受けられるリハビリの総時間、土日はどうかといった点は、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。

脳梗塞に関連する診療科の病院・クリニックを探す

脳梗塞が含まれる病気


脳梗塞のタグ


脳梗塞に関わるからだの部位

トップ