[医師監修・作成]脳梗塞の検査について:頭部CT検査や頭部MRI検査など | MEDLEY(メドレー)
のうこうそく
脳梗塞
脳の血管が詰まって結果、酸素や栄養が行き届かなくなり、脳細胞が壊死すること。運動・感覚の麻痺などを起こし、後遺症による寝たきりや死亡にもつながる
21人の医師がチェック 402回の改訂 最終更新: 2022.01.24

脳梗塞の検査について:頭部CT検査や頭部MRI検査など

脳梗塞の検査には画像検査(CT検査やMRI検査など)や、超音波検査、血液検査、心電図などがあります。検査を行うことで、脳の状態や、原因を調べることができます。このページでは、脳梗塞のそれぞれの検査について詳しく説明します。

目次

1. 頭部CT検査

頭部CT検査は脳の断面を画像として映し出す検査です。脳を薄く輪切りにしたような断面を描き出します。CTはコンピューター断層撮影(Computed Tomography)の略です。

頭部CT検査の目的について

発症してすぐの脳梗塞は、頭部CT検査でわかりにくい場合が多いです。脳梗塞の場合は、発症して数時間以上経つと、障害された部分がCTで黒っぽい色に写りますが、発症してすぐの脳梗塞はCT検査では変化がほとんど見られないことがあります。

一方で、脳出血くも膜下出血の診断はCT検査でわかりやすいです。頭部CT検査にかかる時間は短いので、脳出血くも膜下出血などと、脳梗塞を区別するために行われることが多いです。脳梗塞が疑わしい場合には、次で説明する頭部MRI検査が行われます。

頭部CT検査に副作用はあるのか

頭部CT検査は放射線を使った検査です。レントゲン写真と同じX線を使います。CT検査を撮影すると、レントゲンよりもかなり多い量の放射線を浴びることになります。CTで使う放射線の量は1~10mGy(ミリグレイ)程度です。

CT検査が原因で人体に障害が出たというはっきりとした証拠は今のところ見つかっていません。とはいえ放射線に被曝する量は最低限にするべきです。CTが必要な理由があるときにだけ使うのが合理的と考えられます。

造影CT検査について

CT検査では、異常を見つけやすくするために、造影剤という薬を使うことがあります。造影剤を使って撮影したCT検査を造影CT検査と言います。造影剤はCT検査で白く写る物質です。造影剤を注射すると、造影剤は血液に乗って流れていきます。血流が多い場所には造影剤が多く入ってきて、CT検査で白く写るようになります。こうした現象を利用することで、血管の形や位置を特定しやすくなります。

CTアンギオグラフィについて

アンギオグラフィ(アンジオグラフィ)は血管の撮影に特化した方法です。CTアンギオグラフィでは、さらに画像データを3次元画像に再構成することができます。前術したようにCT検査では血管の形は分かりづらいのですが、造影剤を使うことで、血管が造影剤で白く写り、血管の形がわかるようになります。さらにCTアンギオグラフィという方法を使うと、脳の血管を立体的に再構成して、より詳しく調べることができます。

脳梗塞のCT検査の画像

2. 頭部MRI検査

頭部MRI検査は磁気を使った検査です。
MRIはMagnetic Resonance Imaging(核磁気共鳴画像法)の略です。
頭部MRIは発症直後の脳梗塞を発見するのに有用だと考えられています。
頭部MRI検査はCT検査と違って放射線被曝がありません。一方、体の中に金属製の人工物を植え込んでいる人では注意が必要です。特にペースメーカーなどが入っている人にMRI検査を行うと、機械が故障してしまうことがあるので、行えない場合があります。

また、MRI検査を撮影するにはCT検査よりも長い時間がかかります。機械や撮影する条件によってかかる時間がかなり異なりますが、10分から20分くらいはかかります。非常に大きな音がする検査であるため、防音のためのヘッドフォンをつけます。

脳を複数の断面図として観察することができ、撮影条件を変えることで違った種類の画像を撮影することができます。次に代表的な撮影方法を説明していきます。

拡散強調画像

発症直後の脳梗塞が疑われたときに、MRIの撮影条件の中でも拡散強調画像がよく使われます。他の多くの画像検査では発症直後の脳梗塞を判定できないという問題がありますが、拡散強調画像では発症直後から脳梗塞が判定できます。

T1強調画像・T2強調画像

MRIの撮影条件の中で、脳梗塞以外にも広く使われているのがT1強調画像とT2強調画像です。
T1強調画像では、脳梗塞は黒っぽく写ることが多いです。正常な脳組織の中では、表面に近い部分(灰白質)が黒っぽく、中身の部分(白質)が白っぽく写ります。脳の隙間にあたる部分は黒く写ります。脳の周りは脳脊髄液という水のような液体が満たしています。T1強調画像では水は黒く写るので、脳脊髄液が満たす部分は黒く見えます。一方で、T2強調画像では、脳梗塞は白っぽく写ることが多いです。正常な脳組織は、灰白質が白っぽく、白質が黒っぽく写ります。脳脊髄は白く写ります。
MRIの画像で白っぽく見えることを「高信号」、黒っぽく見えることを「低信号」と言います。

MRアンギオグラフィ

MRI検査ではMRアンギオグラフィと呼ばれる方法で、脳の血管を撮影することもできます。MRアンギオグラフィでは、CTアンギオグラフィと異なり、造影剤は使わずに、脳の血管を撮影することができます。

3. 血液検査

血液検査ではいま脳梗塞が起こっているかどうかはわかりません

脳梗塞の危険因子である糖尿病脂質異常症の診断と、どの程度治療ができているかの評価ができます。また、血液が固まりやすくなるような異常や、病気があると脳梗塞を起こしやすいことから、血液検査を行うことでそのような異常や病気の確認ができます。
脳梗塞は高齢者に多い病気なのですが、20代など若い人が脳梗塞を起こした場合は、そういった病気が隠れている可能性が高く、血液検査で調べます。

4. 超音波検査(頚動脈エコー)

脳梗塞の超音波検査(エコー検査)の画像

超音波検査(エコー検査)は、体の表面から中の様子を画像に映し出せる検査です。調べたい場所にジェルを塗って、超音波を出す装置(プローブ)を押し当てます。上の写真で医師が右手に持っているのがプローブです。プローブの下にあるものが画面に映し出されます。

超音波検査には次のようなメリットがあります。

  • 素早く行える
    • 診察室に検査装置とジェルを置いてあれば、その場ですぐに検査を受けられます。
  • 動いているものも観察できる
    • 超音波検査の画像はリアルタイムで見られるので、心臓などが動く様子もわかります。また、カラードプラ法という撮影方法を使うと、血液が流れも調べられます。
  • 物の物理的性状がわかる
    • 写っているものが石のように硬い塊なのか、中身は均一なのかといった性質がわかります。
  • 放射線を使わない
    • 超音波検査では体に放射線を当てません。
  • 体を傷付けない
    • 超音波検査は造影剤の注射などで体を傷付けることなく使えます。

一方で、超音波検査のデメリットもあります。

  • 深い部分が見えない
    • 超音波検査がとどこない部分の観察はできません。
  • 一度に見える範囲が狭い
    • 超音波検査で一度に見えるのはプローブの下にある部分だけなので、CT検査やMRI検査のように広い範囲を一度に調べるには向いていません。
  • 画面にノイズが入る
    • 超音波検査の画像にはノイズが入ります。特に空気がある場所では、空気よりも向こう側が観察しにくくなります。

脳梗塞の検査としては、首にある頸動脈(けいどうみゃく)を調べるために超音波検査を行います。
具体的には、頸動脈が狭くなっている部分(狭窄)の有無を調べます。頚動脈狭窄は、動脈硬化が原因で頚動脈が狭くなった状態です。狭くなった血管に出来た血栓(血液の塊)が剥がれて、その先の血管に詰まり、脳梗塞を起こすのです。

頚動脈の狭窄の度合いはCTアンギオグラフィやMRアンギオグラフィ、血管造影検査(カテーテル検査)でも調べることが出来るのですが、頚動脈エコーは体に針を指したりする必要もないので、身体への負担が小さいです。

5. 心電図検査

脳梗塞を原因ごとに分けると、アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳梗塞、ラクナ梗塞の3つが主なものになります。そのうち、心原性脳塞栓症は心臓にできた血栓が剥がれて、血流に乗って脳の血管までたどり着き、そこで血管が詰まって起きる脳梗塞です。心臓の血栓ができる原因として最も多いのが心房細動という不整脈で、この不整脈を見つけるために心電図検査が行われます。

心電図は、30秒ほど安静にしている間に測定します。もし、30秒間でうまく不整脈が見つからなかった場合は、心電図のモニターを24時間つけたまま生活をするホルター心電図検査が、行われることもあります。