[医師監修・作成]脳梗塞の症状について | MEDLEY(メドレー)
のうこうそく
脳梗塞
脳の血管が詰まって結果、酸素や栄養が行き届かなくなり、脳細胞が壊死すること。運動・感覚の麻痺などを起こし、後遺症による寝たきりや死亡にもつながる
21人の医師がチェック 400回の改訂 最終更新: 2021.10.01

脳梗塞の症状について

脳梗塞の症状は、運動や感覚の麻痺(まひ)、注意障害、認知障害、失語など、ダメージを受けた部位によって様々です。ここでは、脳梗塞の症状について詳しく解説します。

1. 脳梗塞の症状は多様である

脳は部位によって異なる役割を担っています。脳には運動を司る部位(運動野、うんどうや)、感覚を司る部位(感覚野、かんかくや)、言葉を理解する部位、言葉を発する部位、数を計算する部位、学習に関わる部位などがあり、それぞれの部位によって担っている主な役割は異なるのです。
そのため、脳梗塞によってどのような症状が現れるかは、ダメージを受けた部位により、 その症状は様々です。また、脳は神経の束が集まっているため、ある部位がダメージを受けると、その部位とつながっている他の部位へも影響することもあります。

2. 運動麻痺:手や足、顔が動かしづらくなる

脳梗塞の症状として多いのが運動麻痺です。手足や顔に症状は現れ、具体的には次のようなものです。

【運動麻痺の症状】

  • 手や足の症状
    • 突然片方の手や腕、足に力が入りにくくなった
    • 片足を引きずるようになった
    • 片足を上手く持ち上げることが出来ず、段差によく引っかかるようになった
    • 箸を使いづらくなった
    • 文字を書きづらくなった
    • 突然、手でものを落とすようになった
    • 体がふらつく
    • まっすぐ歩いているつもりなのに、片側へ寄ってしまう
  • 顔の症状
    • 食べているときに食べ物が片方の口からこぼれるようになった
    • よだれがこぼれるようになった
    • 顔の半分が歪んで、左右差が出てきた
    • 「イー」と発音したときに、片方の口が動いていない

強い麻痺になってしまうと、後遺症が残りやすく、杖や車いすが必要になったり、寝たきりになることがあります。反対に、検査しなければ見つからない程度の軽い麻痺だけで済む人もいます。

運動麻痺の表現の仕方:単麻痺・片麻痺・対麻痺・四肢麻痺

運動麻痺は次のように4つのパターンに分けることができます。

  • ①単麻痺
    • 両側の手足のうち、どれか1か所だけに麻痺がある状態
  • 片麻痺
    • 体の左右どちらかの手と足に麻痺がある状態
  • ③対麻痺
    • 両足に麻痺が現れた状態
    • 脳梗塞ではまれ:脳とつながっている脊髄が障害されたときによく現れる
  • 四肢麻痺
    • 両手両足に麻痺がある状態

運動麻痺は原因となる神経が通る場所に対応して現れます。大まか述べると、ある場所を動かす神経が障害されると、対応する場所が動きにくくなります。たとえば左足を動かす神経と左手を動かす神経は頭の中で近い場所にあるので、同時にダメージを受けやすく、片麻痺が多いということになります。

また、左の手足を動かす神経は、右側の大脳皮質につながっています。このため、右の脳梗塞で左の片麻痺が起こります。反対に左側の脳梗塞では右の片麻痺が起こります。

錐体路と随意運動・不随意運動について

お医者さんが脳梗塞の説明をする際に、「錐体路」という言葉を使うかもしれません。話の理解をより深めるために、馴染みのない「錐体路」という言葉について説明しておきます。

先ほど少し触れたように、大脳皮質から手足に信号を届ける通り道があるのですが、特に重要とされるのが錐体路(すいたいろ)です。錐体路は脳の中に埋まっている細長い神経細胞の束でできています。錐体路の神経細胞は大脳皮質から始まって脳の錐体という部分を通り、脊髄(せきずい)に伸びています。大脳皮質と脊髄をつないでいるので、錐体路を別名で皮質脊髄路とも言います。

脊髄は脳から続いて背中を通っている神経の束です。背骨にある管状のスペース(脊柱管)の中を脊髄が通っています。脊髄からは脊髄神経が枝分かれし、体の各部に伸びています。脳と筋肉が脊髄神経によってつながっていることで、脳から来た信号が筋肉にまで伝わり、体を動かせるのです。

体の運動は、手足のように思ったとおりに動かせる随意運動と、腸が食べ物を送り出す動きのように意思とは関係ない不随意運動に大きく分けられます。錐体路は主に随意運動の命令を届ける通り道です。錐体路が障害されると、体を思うように動かせなくなります。

錐体路がダメージを受けた際の症状について

錐体路が障害されたときに現れやすい特徴には次のものがあります。

【錐体路が傷害されたときの特徴】

  • 膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)、アキレス腱反射などの腱反射が強くなる
  • 筋肉は硬く緊張しているが動かせない(痙性麻痺)
  • バビンスキー反射陽性

それぞれについて説明します。

■膝蓋腱反射とアキレス腱反射

膝蓋腱反射は膝のすぐ下を打腱器(診察用のハンマー)で叩くと膝から下が跳ね上がることです。健康診断の一つとして受けたことがある人がいるかもしれません。一方、アキレス腱反射は打腱器でアキレス腱を軽く叩くと足首が足の裏の側に伸びる反応です。

実は、体のあちこちで、腱を叩くと関節が叩かれた側に曲がるという現象を観察できます。これを腱反射と言います。
腱反射は、叩かれた部分から信号を運んでくる感覚神経と、叩かれた部分に信号を送る運動神経の働きで起こり、脳からの信号とは無関係です。ですが、腱反射によって動く筋肉には、脳からの別の信号も入ってきているので、健康な人では腱反射は抑制されています。そのため、錐体路が障害されたときは、脳からの抑制が利かなくなり、腱反射が強くなるのです。錐体路が障害されたときは腱反射が普通より強くなります。この現象をお医者さんは「腱反射が亢進(こうしん)する」と表現します。

■痙性麻痺:筋肉あ固く緊張しているが動かせない

痙性麻痺(けいせいまひ)は、筋肉に脳からの信号が届かなくなることで起こる現象です。筋肉を緊張させる信号があるのに緊張をゆるめる信号がない状態ができることが原因です。

■バビンスキー反射

バビンスキー反射は腱反射と同様のしくみで起こる足の裏の反射です。
鍵など硬いもので、足の裏の小指側をかかとから指の付け根に向けてこすり、指の手前で少し親指側にこする方向を変えます。
健康な人では反応がないか、足の指が足の裏に向かって曲がります。一方で、錐体路が障害された人は足の指が足の甲の側に向かって伸び、これをバビンスキー反射陽性と呼びます。

麻痺が褥瘡(じょくそう)の発生に与える影響

脳梗塞によって麻痺が起きたり、感覚が鈍くなったりすると、体を自分の思い通りに動かせなくなります。そうした場合、体のある部分に体重がかかり続けたり、少しの擦過傷にも感覚が鈍くなっていて気づかなかったりすることで、床ずれ褥瘡)が出来やすくなります。

褥瘡は感染の原因になったり、重症化すると骨が見えるほど深くなって長引いてしまうので、注意がしなければなりません。予防には、こまめに体位を変えたり、クッションを使う必要があります。

3. 失語:言語の障害

脳梗塞の症状のひとつに、人間にとって大切な機能である「言葉」を上手く使えなくなってしまうことがあります。

脳梗塞など脳の障害で言葉を使えなくった状態を失語(失語症)と言います。

失語はいくつかの種類に分けられます。どのような失語が現れるかは脳の中でダメージを受けた場所によって決まります。

失語の原因:優位半球が鍵を握る

脳の中でも言葉を担当する場所は決まっています。
具体的には、大脳皮質の中に重要な部分があります。大脳は大きく「右半球」と「左半球」に分けられます。言葉の機能は、左右のどちらか一方が主に担当しています。右か左かは人によって違います。右半球・左半球のうち、その人で言葉を担当しているほうを優位半球と言います。

ちなみに左半球が優位半球である人が多いです。そのため左の脳梗塞が原因で失語が起きます。しかし右利きでも右半球が優位半球の人もいます。左利きの人では、右利きの人よりも優位半球が右半球である割合が高いです。

失語の種類と原因となる脳の部位

優位半球では、大脳皮質の中でも言語中枢(げんごちゅうすう)と呼ばれる部分が活動しています。言語中枢として重要とされるのが、ブローカ野(Broca野、ブローカや)とウェルニッケ野(Wernicke野、ウェルニッケや)です。

ブローカ野(Broca野)

ブローカ野は運動性言語中枢とも呼ばれます。大脳のうち前頭葉という部分の中にあります。ブローカ野が障害されると、他人の言葉を聞いて理解することはできるけれども、自分が言葉を話すことはできない症状が現れます。このような症状を運動性失語と言います。

ウェルニッケ野(Wernicke野)

ウェルニッケ野は知覚性言語中枢と呼ばれます。大脳のうち側頭葉という部分の中にあります。ウェルニッケ野が障害されると、なめらかに言葉を発することはできるけれども、他人の言葉を理解できないという症状が現れます。これを感覚性失語と言います。
感覚性失語では、言葉を理解できないため、一見なめらかに話しているようでも言うことの内容は支離滅裂になります。

失語症のリハビリテーション

失語に対してもリハビリテーション(いわゆるリハビリ)が行われます。主に言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)が担当します。患者さんやその家族は言語聴覚士の人を通じて、今何ができて何ができないのかを知り、その上でコミュニケーションをとるためにイラストを使うなどの工夫について教えてもらえます。

4. 構音障害:しゃべりづらさ

脳梗塞を発症するとしゃべりづらさを自覚することがあります。

うまく話せない状態には2つの原因があります。
ひとつは、前述した失語です。脳の「言葉」を担当する部位の脳梗塞が原因で起きます。もうひとつは、言葉を発するために使う筋肉をうまく動かせない構音障害と呼ばれる状態です。

構音障害は、他人の言葉は理解できていても、口の周りや、舌、喉の麻痺が原因で、言葉を発しづらくなります。脳の中でも脊髄に近い延髄(えんずい)や橋(きょう)という部分の障害で起こります。延髄や橋には次のような神経とつながっており、障害される神経によって症状がことなります。

  • 顔面神経
  • 舌下神経
  • 迷走神経

それぞれの神経別に症状などを説明します。

顔面神経麻痺による構音障害

顔面神経は顔の筋肉を動かす神経です。(顔面の筋肉動作の他にも涙の分泌や味覚にも関係します)。以下の筋肉は顔面神経から伝わる信号によって動きます。

【顔面神経が関係している顔の動き】

  • 眉を上げ、額にしわを寄せる
  • 目を強く閉じる
  • 口を尖らせる
  • 口角を上げる

これらの筋肉は表情を作る筋肉です。そこで、まとめて表情筋と呼ばれ、表情筋を主に動かしているのが顔面神経です。

表情筋を動かす信号は、脳の中では(きょう)という部分にある、顔面神経核から伝わってきます。顔面神経核から伸びる神経細胞が顔面神経として脳から分かれ、耳の前あたりで顔の表面に現れ、あちこちの表情筋に向かっています。

脳梗塞では、橋が障害されると、顔面神経に信号が伝わらなくなり、唇をうまく動かせないことで「パ」行などが発音しにくくなることがあります。

また、顔面神経麻痺の症状はたいてい左右どちらか片側にだけ現れるという特徴があります。

舌下神経麻痺による構音障害

舌下神経(ぜっかしんけい)は、舌を動かす神経です。延髄にある舌下神経核から伸びてきた神経細胞でできています。

延髄の脳梗塞などで舌下神経が障害されると、舌をうまく動かせなくなります。すると、「ラ」行などが発音しにくくなることがあります。舌下神経麻痺の症状はたいてい左右どちらか片側にだけ現れます。このため、診察では舌を突き出そうとすると片方に寄ってしまうなどの特徴が見られます。

迷走神経麻痺による嗄声

迷走神経には、声を出す機能が含まれています。声を出すための神経細胞は、脳の中では延髄にある疑核(ぎかく)から伸びています。迷走神経はたくさんの枝に分かれていろいろな器官につながっています。それぞれの枝が違った機能を持っています。中でも、迷走神経から枝分かれする上喉頭神経や反回神経は声を出す機能に関わっています。

迷走神経が障害されると、嗄声(させい、声枯れ)の症状が現れます。延髄の脳梗塞などで迷走神経麻痺による嗄声を起こす場合があります。

また、迷走神経の近くを通っている舌咽神経(ぜついんしんけい)も声を出す機能に関わっています。舌咽神経は、のどちんこの上にある軟口蓋(なんこうがい)という部分の動きに関わっています。舌咽神経と迷走神経は近くにあるので、一緒に障害されることが多いです。

5. 嚥下障害:飲み込みが悪い、むせる

人がものを食べるときは、口の中で舌や頬の筋肉をうまく使いながら噛み砕いて、飲み込み、食道に送るといった一連の動きが必要です。飲み込む動作を嚥下(えんげ)と言います。嚥下の過程で重要な役割を担っている、口や喉のまわりの筋肉が麻痺すると、飲み込みが悪くなる・むせやすくなるといった嚥下障害が起こります。

嚥下障害による悪い影響は主に2つあります。
1つ目は食べ物を飲み込めないため、口からご飯を食べることができなくなることです。栄養状態が低下すると、リハビリテーションに影響が出ますし、前述した褥瘡が発生する危険性も高まります。
2つ目は食べ物を上手く飲み込めないと、気管、肺に入ってしまい誤嚥(ごえん)を起こすことです。本来は、反射的に咳が出る(むせる)ことで、食べ物をある程度気管から出すことができますが、より重症になるとその反射も見られなくなります。咳の反射が出ず、気管・肺に食べ物を誤嚥していると、誤嚥性肺炎の危険性があります。誤嚥性肺炎とは、肺に入ってしまった食べ物の周りで細菌が繁殖し、炎症を起こした状態です。誤嚥性肺炎は高齢者の死因の中で代表的なもののひとつです。そのため誤嚥を防ぐことはとても重要です。

6. ふらつきやめまい

脳梗塞の中でも、脳幹や小脳といった部分に脳梗塞が起きたときには、ふらつきやめまいが現れやすい症状です。吐き気を伴うこともあります。

脳梗塞以外にめまいの原因として代表的なものが、良性発作性頭位めまい症メニエール病など、耳の病気です。耳の病気によるめまいは主にグルグル回転するようなめまい(回転性めまい)です。また、メニエール病では耳鳴りや難聴を伴うのが典型的な症状です。

一方、脳梗塞によるめまい・ふらつきの特徴は、耳鳴り・難聴がなく、ふわふわするようなめまい(浮動性めまい)であると考えられています。

7. 視力・視野障害:ものが見えない・見えづらい、視野の一部が欠けている

目から来る信号が障害されると、ものが見えなくなったり、見えづらくなったりします。物が二重に見える症状(複視)は、目を動かす神経や筋肉が障害された場合に現れます。

視神経障害による視力障害

視神経は目に写っている映像の信号を脳に送る神経です。
眼球の後ろ側は網膜という膜で覆われており、網膜の中には視神経が届いています。網膜に光が届くと、視神経が光を感知して、脳に信号を送ります。

脳梗塞の中では、眼動脈が詰まったときの脳梗塞で、左右どちらか一方の視神経が障害されることがあります。眼動脈は目に栄養や酸素を起こる血管なので、その血管が詰まると、視神経を含む目の機能が低下してしまいます。ダメージを受けた脳や神経の部位によって症状は異なるのですが、
視野の半分が欠けることもありますし、片目が見えなくなることもあります。

動眼神経・滑車神経・外転神経麻痺による眼球運動障害と複視

目を動かす動作には次の3種類の神経が強調して、眼球を左右上下に動かしています。

  • 動眼神経
  • 滑車神経
  • 外転神経

動眼神経・滑車神経・外転神経のいずれかが障害されると、思うように目を動かせなくなります。また、これらの神経の障害はたいてい左右の片側に起こります。すると、片目はちゃんと動くのにもう片目が動かせず、左右の視線が見たいものに合わなくなります。すると物が二重に見えます(複視)。

動眼神経・滑車神経・外転神経は脳幹という部分とつながっているので、脳幹部の脳梗塞ではこれらの神経が障害されて、目を動かせない、物が二重に見えるといった症状が現れます。

8. 意識障害:意識がぼんやりしたり、意識がなくなったりする

脳梗塞では意識の状態が悪くなることは多くはありません。複数の脳血管や、脳に向かう太い血管が詰まった場合には意識状態が悪くなることがありますが、頻度は高くないと考えて良いです。意識障害が起こると次のような症状が現れます。

【意識障害の症状の例】

  • 質問に対しておかしな答えが返ってくる
  • 今の年月日やいる場所を答えることができない
  • ぼんやりしている、眠ったような状態が続いている
  • 倒れたまま目を開けない
  • 呼びかけたり体を揺すっても、全然反応がない

呼びかけに答えない・目を開けない・身動きしない程度が強いほど重症です。意識障害の程度は「意識レベル」という言葉で表現されます。重症のときを「意識レベルが低い」と言います。

脳梗塞では意識レベルが重症度の目安になります(一致しない場合もあります)。意識レベルが急激に低下するときは、脳梗塞の状態が悪化している可能性があります。

意識レベルの調べ方について:GCSとJCS

意識レベルの基準として、グラスゴーコーマスケール(Glasgow Coma Scale)が世界的に使われています。グラスゴーコーマスケールは略してGCSとも言います。

GCSは次の3項目で表します。

  • 刺激で目を開けるかどうか(E)
    • もともと開けている:4点
    • 言葉をかけると目を開ける:3点
    • 痛みを与えると目を開ける:2点
    • 痛みを与えても目を開けない:1点
  • 刺激に言葉で答えるかどうか(V)
    • 今いる場所や日時を理解したうえ返事ができる:5点
    • 会話が混乱する:4点
    • 不適当な言葉が出る:3点
    • 言葉として理解できないことを言う:2点
    • 言葉で答えない:1点
  • 刺激で身動きするかどうか(M)
    • 言われた指示に従って動く:6点
    • 痛みを与えられた場所に手足を持ってくる:5点
    • 痛みから逃れるように手足を動かす:4点
    • 痛みの場所と関係ない方向に手足を動かす:3点
    • 痛みを与えると手足を伸ばす:2点
    • 痛みを与えても動かない:1点

それぞれの項目を何度か試して、一番良い反応があったときの点数を採用します。
合計点で最低が3点、最高が15点です。3点は痛みを与えても目を開けず、身動きもせず、言葉を発することもない状態です。意識障害がない状態は15点です。個別の項目をE3V2M2のように表す言い方もあります。E3V2M2は「言葉をかけると目を開ける」かつ「言葉として理解できないことを言う」かつ「痛みを与えると手足を伸ばす」という状態です。

ほかの評価方法として、日本ではジャパンコーマスケール(Japan Coma Scale、JCS)もよく使われています。JCSは意識レベルを大きく3段階に分け、それぞれをさらに3段階に分けた9段階で評価することから、「三三九度方式」とも呼ばれています。

  • Ⅰ:刺激しなくても目を開けている
    • Ⅰ-1:なんとなく意識がはっきりしない
    • Ⅰ-2:今いる場所や日時がわからない
    • Ⅰ-3:自分の名前や生年月日が言えない
  • Ⅱ:刺激すると目を開ける
    • Ⅱ-10:普通に話しかけると目を開ける
    • Ⅱ-20:大きな声をかけたり体を揺さぶると目を開ける
    • Ⅱ-30:痛みを与えながら呼びかけると目を開ける
  • Ⅲ:刺激しても目を開けない
    • Ⅲ-100:痛みを与えると払いのけるような動作をする
    • Ⅲ-200:痛みを与えると顔をしかめたり手足を少し動かしたりする
    • Ⅲ-300:痛みに反応しない

JCSでは上記のとおり、意識レベルの大きな分類でⅠのときは1桁、Ⅱは2桁、Ⅲは3桁の数字で小さな分類を表します。意識レベル3桁といお医者さんが表現した場合は「刺激に対して目を開けない状態」で深刻な状況を示唆します。

9. 症候性てんかん:手足がけいれんする

脳梗塞てんかんが起きることがあります。てんかんが起こると、手足や全身がけいれんしたり、意識状態が悪くなったりします。脳梗塞の発症後、数時間以内に起きることもあれば、数週間後、数カ月後以降に初めててんかんが起こることもあります。

てんかん自体は自然に治まることが多いですが、長引いたり発作を繰り返すときは点滴の抗てんかん薬を使って発作を抑えます。また、てんかんの再発を防ぐために、抗てんかん薬が必要になることもあります。

10. 高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)

高次脳機能障害とは、記憶や学習、認知、注意、判断、言語といった高度な機能が障害されることです。手足の麻痺や構音障害とは違って、本人も周囲も症状に気づきにくく、理解しにくいのが特徴です。
例えば、注意が散漫になって同じことに集中できなかったり、復数の動作を同時に行ったり計画を立てて実行するのが難しくなるため料理ができなくなったりします。
詳しくは「脳梗塞の後遺症とは?」でも説明しているので、ぜひご覧ください。

11. 脳血管性認知症:脳卒中が関連して物忘れが進む

脳卒中(脳梗塞、脳出血くも膜下出血)が原因で物忘れ(認知症)を発症することもあります。特に再発を繰り返している人は認知症の症状が進んでいくことが知られています。詳しくは「脳血管性認知症や脳卒中後うつとは何ですか?」で説明しているので、参考にしてください。

12. 脳血管性パーキンソニズム:脳卒中が関連して手足の震えが出たり、動かしづらくなる:

脳梗塞では、 麻痺症状とは別に、手足の動きがゆっくりになったり、手足が震えてしまったりといった症状が見られることがあります。このような症状を、脳血管性パーキンソニズムと呼びます。パーキンソン病という、手足が震えたり、姿勢をうまく保てなくなったりという症状が現れる脳の病気があるのですが、症状が類似しているためパーキンソニズムと言います。
麻痺がなかったとしても、動きが緩徐な場合や手足が動かしづらい場合、脳血管性パーキンソニズムが疑われます。

13. 脳卒中後のうつ

脳卒中を発症すると、うつを発症すしやすくなることが知られています。その割合は、約20~40%という報告から80%以上とする報告まで様々です。脳卒中では早期からのリハビリテーションが回復を促しますが、うつ症状で意欲がわかないと、リハビリテーションが進まず機能回復の遅れにつながってしまいます。詳しくは「脳血管性認知症や脳卒中後うつとは何ですか?」でも説明していますので、参考にしてください。