にんちしょう

認知症

記憶の障害や、物事を頭で処理する際の段取りや計画を行う能力の障害

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10人の医師がチェック 138回の改訂 最終更新: 2018.01.08

認知症の基礎知識

POINT認知症とは

認知症は記憶の障害や、物事を頭で処理する際の段取りや計画を行う能力の障害によって、日常生活や社会生活に支障をきたす病気です。主な認知症として、アルツハイマー病・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症(ピック病)があります。脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなるのが原因です。 検査は、問診・心理検査・血液検査・頭部CT検査・頭部MRI検査・頭部SPECT検査などを行います。治療は認知症の原因によって異なりますが、より進行させないために食事・運動など日常生活をできるだけ自力で続けることが有効です。新しいことを覚えられない・同じことを何度も繰り返す・年月日などの時間感覚があやふやになるといった症状がある場合は医療機関にかかって下さい。その際は神経内科・認知症専門外来を設けている医療機関にかかることをおすすめします。

認知症について

  • 記憶の障害や、物事を頭で処理する際の段取りや計画を行う能力の障害によって、日常生活や社会生活に支障をきたしている状態
    • かつては痴呆症と呼ばれていた
    • 認知症に至る前段階のものを、軽度認知障害と呼ぶ
  • 以下のことが原因で起こる
    • 脳の細胞が死んでしまうことや、働きが悪くなること
    • 認知症の最大の危険因子ある病気にかかりやすい要因は加齢である
  • 日本では2012年時点で有病者が約462万人いると言われている  
    • 認知症の前段階である軽度認知障害は、全国で約400万人程度と考えられている  
    • 65歳以上の人口のうち、4人に1人以上が軽度認知障害に含まれると言われている
  • 中心的なものは以下の4つである  
  • その他に認知症様症状を起こすことがある病気はたくさんあり、治療可能な病気によって起こる認知症を見逃さないことが大切  

認知症の症状

  • 記銘力障害:新しいことが覚えられず、直近のことが記憶から抜け落ちてしまう障害
  • 見当識障害:日にちや時間、場所などがわからない
  • 遂行機能障害:手順や段取りがわからない
  • 行動異常:幻覚、妄想、暴言、徘徊
  • 失語脳卒中などの影響で、言葉が適切に話せなくなったり、理解できなくなったりすること。発音がうまくできない「構音障害」とは区別される:言葉がうまく話せなくなる、あるいは理解できなくなる

認知症の検査・診断

  • 本人だけでなく、家族からの情報収集が大切
  • 心理検査:認知機能を調べる
    • 質問式の神経心理検査を行う
  • 血液検査:他の病気による影響でないかを調べる
    • 甲状腺ホルモン全身の代謝を活発にしたり、神経を興奮させたりする働きをもつホルモンビタミン生物が生きていく上で必要な栄養素の一種。炭水化物、タンパク質、脂質以外の有機化合物のことB1などを調べる
  • 画像検査
    • 頭部CTX線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多い頭部MRI磁力(電磁波)を用いて、頭の中の状態を調べる検査。脳梗塞の診断などに用いられることが多い::脳の萎縮筋肉や内臓などが、やせ衰えて小さくなることや、その他の原因がないかを調べる
    • SPECT画像検査の一種で、体の各部位への血流量を調べるもの。主に脳や心臓などの血流の変化を調べることが多い:脳のどの部分の血流が落ちているかを調べて診断に役立てる
  • 間違えやすい疾患
    • せん妄:質問式の検査や症状の変化などから診断する
    • うつ病:質問式の検査や長期的な経過から診断する

認知症の治療法

  • 認知症の原因により異なる
  • より進行させないために、食事と運動など日常生活をできるだけ自力で続けることが有効となる
  • 周囲の人が行動や感情を受容し理解を示すことが重要となる

認知症に関連する治療薬

コリンエステラーゼ阻害薬

  • 脳内の神経伝達物質の量を増やしアルツハイマー病における記憶障害などの症状の進行を遅らせる薬
    • アルツハイマー病では神経伝達物質であるアセチルコリンの量が少なくなっている
    • 脳内でアセチルコリンはコリンエステラーゼという酵素によって分解される
    • 本剤はコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンの分解を抑えることで脳内のアセチルコリンの量を増やす作用をあらわす
  • 薬剤によって剤形が様々である
    • D錠(OD錠)、ドライシロップ剤、外用貼付薬(パッチ剤)などがある
コリンエステラーゼ阻害薬についてもっと詳しく

NMDA受容体拮抗薬

  • アルツハイマー病による神経細胞障害や記憶や学習能力の障害などを抑える薬
    • アルツハイマー病では異常なタンパク質が蓄積し、神経を興奮させる物質が過剰に放出される
    • 神経を興奮させる物質により脳内のNMDA受容体というものが過剰に活性化されると神経細胞や記憶などが障害される
    • 本剤はNMDA受容体に作用し、この受容体の過剰な活性を抑える作用をあらわす
  • 他のアルツハイマー病治療薬との併用に関して
    • 本剤はコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル など)と併用が可能
NMDA受容体拮抗薬についてもっと詳しく

認知症の経過と病院探しのポイント

認知症かなと感じている方

認知症は、一定の年齢になると多くの方が心配される疾患の一つでしょう。「どのような基準を満たしたら認知症」という明確な(唯一の)基準があるわけではありません。また、加齢に伴う体の機能の変化という意味では、筋力が衰えたり骨が弱くなったりするのと同様に、脳の機能が変化していくことにも、病気ではなく自然現象と呼べる範囲があります。

「認知症」は病気の名前ではなく、ある程度以上に脳の機能が低下した状態を指すというだけの用語です。病気が原因で認知症になる方もいれば、正常の老化現象の一環として認知症に至る方もいます。したがって、ここで大切なのはその方の認知力の低下が病気なのかどうかということではなく、いずれの場合であっても、そのような方が生活しやすい環境を整える必要があるということと、認知症の中には治療できる認知症があるためにそれを見つけて対応することが必要だということです。

認知症かなと思ったらまずはかかりつけ医に相談するか、お近くの神経内科クリニックを受診されることをお勧めします。認知症専門外来を設けている医療機関も中にはあり、そのようなところも良いでしょう。そのような医療機関では、長谷川式認知症スケールと呼ばれるような一定の質問を行って認知力の程度を確認したり、日常生活にどのような支障が出ているかをご家族から確認したりします。それと同時に、認知症を引き起こしている病気(甲状腺機能低下症慢性硬膜下血腫など)がないかの確認も行います。これらが原因の認知症だとすると、内服薬飲み薬のことや手術で認知力が大幅に改善する可能性があるためです。

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認知症でお困りの方

「治療可能な認知症」と呼ばれる病気、具体的には甲状腺機能低下症慢性硬膜下血腫正常圧水頭症などですが、これらによる認知症の場合には、それぞれに応じた治療法がなされ、認知症の改善が見込めます。

これらではない認知症、すなわち、アルツハイマー病脳血管性認知症レビー小体型認知症前頭側頭型認知症などですが、このような疾患については根本治療は困難です。それ以上に進行するスピードを緩めるために内服薬飲み薬のことや貼り薬を用いた治療がなされます。認知症の種類によって治療法が少しずつ変わってきますし、典型的なものであれば一般内科で診断が十分可能なこともあります。しかしながら、どの種類の認知症か判断が難しい場合というのも少なからずあり、そのようなときには先述の認知症専門外来であったり、神経内科専門医であったりの診察を検討されるのも良いでしょう。認知症の型・原因が判明すれば、その後の治療は専門外来である必要は必ずしもなく、高血圧など他の目的で通っている外来で一緒に処方を出してもらうという形が一般的です。

現在の日本の医療体制では、「普段の通院は近所のかかりつけ医、入院や専門の診察は地域の総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はない」といった分業と、医療機関同士の連携が重視されています。重症の患者さんや一時的に専門医の診察が必要な方が安心していつでも総合病院にかかれるように、総合病院でなくとも診療が行える病状の方は、できるだけ地域のクリニックを受診してもらうことで、住み分けを行うという形です。これには、地元に自分のかかりつけ医(主治医)を作ることで、その人の病状全体が把握できるというメリットもあり、必要あればその都度、病気ごとに専門の医師や医療機関と連携して診療を行います。

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