あるつはいまーびょう

アルツハイマー病

認知症を引き起こす原因として最も多い病気。記憶や思考能力がゆっくりと障害されていく。

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19人の医師がチェック 287回の改訂 最終更新: 2017.04.26

アルツハイマー病の基礎知識

アルツハイマー病について

  • 記憶や思考能力が徐々に障害されていく病気
    • アルツハイマー病の脳では、異常なタンパク質が蓄積したり、神経細胞が脱落したりする
  • 認知症の原因として、国内で最も多い病気である
    • 日本にいる約460万人の認知症の患者のうち、約半分がアルツハイマー病と言われている

アルツハイマー病の症状

  • アルツハイマー病になると、中核症状と周辺症状が出てくる
    • 中核症状
      ・記憶障害・思考能力低下など
    • 周辺症状
      ・妄想(もの盗られ妄想)・易刺激性・脱抑制・興奮・暴力・徘徊・抑うつ元気がなく落ち込んでいる状態や気分のこと。医学的には「抑うつ」と呼ぶ。うつ病の症状の1つだが、必ずしもうつ病で起こるとは限らないなど
  • 症状の例
    • 新しいことを覚えられず、同じことを何度も聞き返す(初期のアルツハイマー病に特徴的)
      ・一方で、ずっと以前の記憶(遠隔記憶)は保たれることが多い
    • 年月日などの時間感覚があやふやとなる
    • 夕食の準備や買い物、支払いが困難となる
    • 近所以外の場所で迷子になってしまう
    • 自分でしまったものを、誰かに盗られたと思い込んでしまう
    • 妻や夫、子供の顔などが分からなくなってしまう
    • 服を自分で着られない
    • 尿漏れを起こしてしまう
      など

アルツハイマー病の検査・診断

  • 明確に診断できる検査はなく、主に症状の聞き取りや簡単な記憶テストなどから総合的に判断される
  • 問診医師が、ある症状や病気についての経過を聞き、質問を繰り返すこと:症状の有無を聴取して調べる
  • 心理検査:記憶力のテストなどで症状の有無を調べる
  • 以下の検査を行い、アルツハイマー病以外の病気が原因ではないか確かめる
    • 血液検査:ビタミン生物が生きていく上で必要な栄養素の一種。炭水化物、タンパク質、脂質以外の有機化合物のこと甲状腺のどぼとけのすぐ下にある、人体で最大の内分泌腺(ホルモンを出す臓器)。甲状腺ホルモンを分泌する機能の低下の有無などを調べる
    • 画像検査:脳卒中脳腫瘍などの認知症を引き起こすような他の病気ではないことを調べる
      頭部MRI磁力(電磁波)を用いて、頭の中の状態を調べる検査。脳梗塞の診断などに用いられることが多い検査:頭部CTX線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多いで分かりにくい脳の変化を調べることができる
      頭部CT検査X線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多い:脳の萎縮筋肉や内臓などが、やせ衰えて小さくなることなどを調べる
      SPECT検査画像検査の一種で、体の各部位への血流量を調べるもの。主に脳や心臓などの血流の変化を調べることが多い:脳血流が落ちている部位を調べる

アルツハイマー病の治療法

  • 現時点では、アルツハイマー病を完全に治したり予防したりすることはできない
  • 治療の主な目的は、脳の中で情報を伝える物質(神経伝達物質神経細胞同士の間(ニューロン)で、信号をやりとりするために用いられる物質)を増やして認知症の症状を抑えること
    • 主な4つのタイプの治療薬
      ・ドネペジル(コリンエステラーゼ阻害薬)
      ・ガランタミン(コリンエステラーゼ阻害薬)
      ・リバスチグミン(コリンエステラーゼ阻害薬)
      ・メマンチン(NMDA受容体拮抗薬)
    • 漢方薬が使われることがある
  • 薬による治療のほかに、運動療法やリクリエーション療法なども行われる

アルツハイマー病に関連する治療薬

コリンエステラーゼ阻害薬

  • 脳内の神経伝達物質の量を増やしアルツハイマー病における記憶障害などの症状の進行を遅らせる薬
    • アルツハイマー病では神経伝達物質であるアセチルコリンの量が少なくなっている
    • 脳内でアセチルコリンはコリンエステラーゼという酵素によって分解される
    • 本剤はコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンの分解を抑えることで脳内のアセチルコリンの量を増やす作用をもつ
  • 薬剤によって剤形が様々である
    • D錠(OD錠)、ドライシロップ剤、外用貼付薬(パッチ剤)などがある
コリンエステラーゼ阻害薬についてもっと詳しく

NMDA受容体拮抗薬

  • アルツハイマー病による神経細胞障害や記憶や学習能力の障害などを抑える薬
    • アルツハイマー病では異常なタンパク質が蓄積し、神経を興奮させる物質が過剰に放出される
    • 神経を興奮させる物質により脳内のNMDA受容体というものが過剰に活性化されると神経細胞や記憶などが障害される
    • 本剤はNMDA受容体に作用し、この受容体の過剰な活性を抑える作用をあらわす
  • 他のアルツハイマー病治療薬との併用に関して
    • 本剤はコリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル など)と併用が可能
NMDA受容体拮抗薬についてもっと詳しく

アルツハイマー病の経過と病院探しのポイント

アルツハイマー病かなと感じている方

認知症は、一定の年齢になると多くの方が心配される疾患の一つでしょう。「どのような基準を満たしたら認知症」という明確な(唯一の)基準があるわけではありません。また、加齢に伴う体の機能の変化という意味では、筋力が衰えたり骨が弱くなったりするのと同様に、脳の機能が変化していくことにも、病気ではなく自然現象と呼べる範囲があります。

認知症」は病気の名前ではなく、ある程度以上に脳の機能が低下した状態を指すというだけの用語です。病気が原因で認知症になる方もいれば、正常の老化現象の一環として認知症に至る方もいます。したがって、ここで大切なのはその方の認知力の低下が病気なのかどうかということではなく、いずれの場合であっても、そのような方が生活しやすい環境を整える必要があるということと、例えばアルツハイマー病のようなものであれば、それ以上に進行することを予防する目的で治療薬を内服するということです。

認知症らしさは周囲の方が気付くことができても、それがアルツハイマー性の認知症かどうかの判断はなかなか難しいと思われます。物忘れが進行して日常生活に支障が出るようになりますが、症状のみからその原因までは判断が難しいことがほとんどです。原因が何であれ、認知症かなと思ったら、まずはかかりつけ医に相談するか、お近くの神経内科クリニックを受診されることをお勧めします。認知症専門外来を設けている医療機関も中にはあり、そのようなところも良いでしょう。そのような医療機関では、長谷川式認知症スケールと呼ばれるような一定の質問を行って認知力の程度を確認したり、日常生活にどのような支障が出ているかをご家族から確認したりします。それと同時に、認知症を引き起こしている病気(甲状腺機能低下症慢性硬膜下血腫など)がないかの確認も行います。これらが原因の認知症だとすると、内服薬飲み薬のことや手術で認知力が大幅に改善する可能性があるためです。こういった病気を除外するためと、そしてアルツハイマー性のものかどうかを判断するために頭部CTX線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多いMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査、血液検査を行います。

大学病院など専門性の高い病院では、検査の一つとしてSPECT画像検査の一種で、体の各部位への血流量を調べるもの。主に脳や心臓などの血流の変化を調べることが多いスペクト画像検査の一種で、体の各部位への血流量を調べるもの。主に脳や心臓などの血流の変化を調べることが多い)と呼ばれる画像検査もあります。診断がなかなかつかないような場合には、神経内科専門医を受診したり、SPECTといった検査が行える病院を改めて受診することも手段の一つです。

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アルツハイマー病でお困りの方

診断が確定してしまえば、その後の治療はかかりつけのクリニックで受けることができます。アルツハイマー病の治療は認知症を完治させることではなく、病気の進行を遅らせることが目標です。

その意味では長期的な通院が必要となりますので、主治医との相性や病院の通いやすさは重要です。信頼できて、本人だけでなく家族が(介護などの)悩みをしっかり相談できる主治医を見つけることはとても大切で、細かな薬の使い分けなどよりも影響が大きい部分かもしれません。

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