2017.12.05 | ニュース

2種類のPETでアルツハイマー病による認知症は予測できない?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

2種類のPETでアルツハイマー病による認知症は予測できない?の写真

アルツハイマー病には脳内のアミロイドベータプラークが関わっているとされ、アミロイドベータプラークを画像で撮影する方法もあります。画像から将来のアルツハイマー病による認知症を予測できるかが検討されました。

軽度認知障害からアルツハイマー病による認知症への進行を予測できるか?

スペインの研究班が、軽度認知障害のある人に対して画像検査のPETを使うことで、将来アルツハイマー病による認知症に進行することを予測できるかを調べ、3本の論文として『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

 

アルツハイマー病のPET検査とは?

PETは画像検査の一種です。PETでは目印となる物質を注射することで、その物質が集まった場所が画像に現れます。

アルツハイマー病には脳内のアミロイドベータプラーク動脈硬化を起こした血管にみられる、脂肪や白血球などが固まってできたかたまりが関わっているとされます。アミロイドベータプラークに対応する目印を使うことで、アミロイドベータプラークがある場所をPETに写し出すことができます。

3本の論文は、アミロイドベータプラークの目印に使う3種類の物質について、それぞれPETに使った場合に、アルツハイマー病による認知症の予測ができるかを検討しています。

ここでは3本の論文のうち、日本でも別の目的で使用可能となっている18F-フルテメタモール(商品名ビザミル®)、18F-フロルベタピル(商品名アミヴィッド®)について検討した2本を紹介します。

 

18F-フルテメタモールPETで進行を予測できるか?

18F-フルテメタモールPETによって軽度認知障害からアルツハイマー病による認知症に進行するかどうかを予測した2件の研究が見つかりました。

対象者数は2件の合計で243人でした。3年追跡した時点で81人(36.2%)がアルツハイマー病による認知症に進行していました。

3年時点でアルツハイマー病による認知症に進行した人のうち64%が、18F-フルテメタモールPETによって進行を予測されていました

3年時点でアルツハイマー病による認知症に進行していなかった人のうち69%が、18F-フルテメタモールPETによって進行しないと予測されていました

研究班は18F-フルテメタモールPETに高い費用がかかる点にも触れたうえで、「臨床の実践において18F-フルテメタモールをルーチンに使用することは推奨できない」と結論しています。

 

18F-フロルベタピルPETで進行を予測できるか?

18F-フロルベタピルPETによって、軽度認知障害からアルツハイマー病による認知症に進行するかどうかを予測した研究が3件見つかりました。

対象者数は合計448人でした。3年後のデータがあったのは47人でした。3年時点でアルツハイマー病による認知症に進行していた人は9人(19.1%)でした。

2年から4年の間の検査でアルツハイマー病による認知症に進行していた人のうち67%が、18F-フロルベタピルPETで進行を予測されていました

アルツハイマー病による認知症に進行していなかった人のうち71%が、18F-フロルベタピルPETで進行しないと予測されていました

研究班は18F-フロルベタピルPETに高い費用がかかる点にも触れたうえで、「臨床の実践において、軽度認知障害からアルツハイマー病による認知症への進行予測のために18F-フロルベタピルをルーチンに使用することは推奨できない」と記しています。

 

2種類のPETは進行予測に使えるか?

2種類のPETがともに、軽度認知障害がある人全員を対象としては勧められないという結論でした。

日本では、18F-フルテメタモール(商品名ビザミル®)と18F-フロルベタピル(商品名アミヴィッド®)の添付文書にはどちらも「無症候者に対するアルツハイマー型認知症発症症状や病気が発生する、または発生し始めること前診断を目的として本剤を用いたPET検査放射線を発する物質(放射性物質)を体内に入れて、特定の臓器や腫瘍にそれが集まる性質を利用して病気の有無や位置を調べる検査を実施しないこと(アルツハイマー型認知症の発症予測に関する有用性は確立していない)」と記載されています。

すでに認知症症状がある人に対して、アルツハイマー病かどうかを見分ける目的でPETが役に立つ可能性があります。

検査は多くするほどよいものではなく、費用もかかり、間違った判断につながる可能性も考えて使う必要があります。目的に合わせた検査の性能も、実際のデータとして細かく検証されています。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

18F PET with flutemetamol for the early diagnosis of Alzheimer's disease dementia and other dementias in people with mild cognitive impairment (MCI).

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Nov 22.

[PMID: 29164602]

18F PET with florbetapir for the early diagnosis of Alzheimer's disease dementia and other dementias in people with mild cognitive impairment (MCI).

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Nov 22.

[PMID: 29164603]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

トップ