あるつはいまーびょう
アルツハイマー病
認知症を引き起こす原因として最も多い病気。記憶や思考能力がゆっくりと障害されていく
19人の医師がチェック 291回の改訂 最終更新: 2018.01.16

Beta アルツハイマー病のQ&A

    アルツハイマー病はどのような病気ですか?

    神経細胞が徐々に脱落していくため、記憶や思考などに障害が起きてしまう病気です。いわゆる認知症をきたす病気の一つです。

    アルツハイマー病ではどのような症状がみられますか?

    初期には、物忘れで気づかれることが非常に多いです。その人の生活や人生にまつわる記憶(エピソード記憶と呼びます)から失われ、初期のうちは直近の出来事を忘れることが特にみられます。

    症状が進行してくると、日常生活ができなくなるほど記憶障害が目立つようになってきます。自分の年齢や今いる場所が分からなくなり、身の回りのこともできなくなってしまいます。

    アルツハイマー病はどのように診断するのですか?

    まずは、診察をして認知症を疑う症状があるかどうかを確かめることが重要です。診察の中には、長谷川式認知症スケールなどといった記憶のテストが含まれます。また、薬の副作用として認知症のような症状が出ることもありますから、内服薬にそのようなものが含まれていないかを調べます。

    次に血液検査を行い、ビタミンや甲状腺機能に異常がないか調べます。画像検査も重要です(アルツハイマー病の画像検査については別項で解説します)。

    基本的には、アルツハイマー病は「この検査で診断がつく」というものではなく、他の病気がないかを除外していって診断がつくものです。

    アルツハイマー病の治療について教えてください。

    いくつかの飲み薬や貼り薬などが使われています。

    使われている薬はコリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬と呼ばれる薬です。前者にはドネペジル(商品名:アリセプトなど)、ガランタミン(商品名:レミニール)、リバスチグミン(商品名:イクセロン、リバスタッチ)といった薬が該当し、後者にはメマンチン(商品名:メマリー)という薬が該当します。

    薬を使うだけが治療ではありません。リハビリのような頭の体操や運動などを行ったり、精神面を安定させるような精神療法も行います。

    アルツハイマー型認知症の周辺症状、BPSDに対する薬物治療について教えてください

    アルツハイマー病の神経細胞の障害による記憶障害を中心とした症状を中核症状と呼びます。中核症状によって二次的に生じる精神症状や行動障害を周辺症状といい、近年ではBPSDと呼ばれることがあります。

    アルツハイマー病のBPSDの治療に薬物治療があります。アルツハイマー病のBPSDに対する薬物治療は、最小限の薬物を用いて、精神状態を安定させたり、睡眠障害や覚醒状態を回復させる目的があります。

    BPSDに対する治療薬は現在のところ、中核症状に対する治療薬のみ保険が適用されます。従って多くの場合、中核症状の認知機能障害に対する治療薬を使用し、症状が治まらない場合、保険診療外の薬の使用を検討します。

    ◎認知機能障害に対して使用される薬剤

    以下のような薬剤は、アルツハイマー病の患者さんには既に使用されている可能性が高いですが、中核症状に加えてBPSDにも効果があると考えられています。

    ① 興奮や攻撃性、感情の不安定さが見られる場合

    • メマリー:アリセプトやレミニール、イクロセロンやリバスタッチとの併用が可能

    • レミニール

    ② 自発性(元気さ、やる気)が無くなっている場合

    • アリセプト:用量が多いと興奮を引き起こすこともあるので注意が必要

    ◎認知機能障害に対して用いている薬以外を使用する場合

    以下の薬剤の使用は、原則として全て保険適用外使用になってしまうことに注意が必要です。

    ① 興奮や攻撃性、感情が不安定な症状がみられる場合

    • セロクエル

    • エビリファイ

    • リスパダール

    • デパケン

    • ツムラ抑肝散

    ② 自発性の低下が見られる場合

    • シンメトレル

    • テトラミド

    ③ 幻覚症状や物盗られ妄想などの症状が見られる場合

    • セロクエル

    • ツムラ抑肝散

    ④ イライラするといった焦燥感が見られる場合

    • ツムラ抑肝散

    ⑤ 不眠が続いたり、生活リズムが崩れてしまい昼夜逆転状態になってしまう場合

    • ツムラ抑肝散

    • ツムラ酸棗仁湯

    • ロゼレム

    アルツハイマー病に対するBPSDの薬のご紹介しましたが、内服に関して重要なこととして、内服管理は患者さん本人だけに任せないようにしましょう。早期の認知症であっても、内服薬の管理は難しいことが多いですし、治療においてとても重要だからです。飲み過ぎたり飲み忘れがないように、ご家族の方がチェックすることが重要です。

    「アルツハイマー」=「認知症」なのですか?

    認知症には、アルツハイマー病以外にも、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など様々なものがあります。

    認知症をきたす病気の中で一番代表的なものがアルツハイマー病なので、多くの場合認知症とアルツハイマー病は似たものととらえても良いのかもしれませんが、他にも認知症をきたす病気が色々あることを知っておいていただけると良いと思います。

    アルツハイマー病では記憶障害以外にどのような症状がみられますか。

    精神症状や行動障害といった症状(総称してBPSDと呼びます)が出ることがあります。

    アルツハイマー病では意欲低下(アパシー)や興奮状態などの精神症状発症初期から中期にかけて被害妄想の1つである物盗られ妄想が起きやすい傾向にあります。また、不眠や徘徊といった行動障害も見られます。

    認知症と言うと物忘れのイメージが強い方もいらっしゃるかもしれませんが、それだけでなく様々な症状が出て、日常生活に支障が生じる点にも注意が必要です。

    アルツハイマー病ではどのような画像検査をするのですか?

    頭部CT(または頭部MRI)がまず行われる検査になります。いずれも脳の形態をみる画像検査であり、脳出血や脳梗塞などがないか、脳に萎縮している部分がないかなどを調べます。

    また、脳血流SPECT と呼ばれる検査が行われることもあります。その名の通り脳の血流を調べる検査なのですが、認知症の種類によって脳の血流が低下する部位はある程度決まっています。その血流低下のパターンを調べます。

    アルツハイマー病はどのような経過をたどるのですか。

    アルツハイマー病の診断が正しければ、症状は時間とともに進行していきます。内服薬や貼り薬は症状の進行をゆっくりにすることはできても、病気を治して元通りの状態にすることのできる薬ではありません。

    どの程度の速さで症状が進んでいくかは個人差がありますが、症状が進むと、身の回りのことで自力でできることが少しずつ減ってくるため、周囲の方の助けが必要になってきます。

    アルツハイマー病はどうして起こるのですか?

    Aβアミロイドと呼ばれる物質が脳にたまることが原因ではないかと言われています。

    細胞に毒性を示すと言われている物質で、この物質がたまることにより脳細胞がダメージを受けてしまうのかもしれません。それ以外にもタウ蛋白のリン酸化など、様々な要素が絡んでいると思われます。

    このように、アルツハイマー病の方の脳で起きていることはある程度分かっているのですが、それがアルツハイマー病の原因なのかどうか、また、他に原因がないのか、といった細かな部分は、未だ詳しく解明されていません。

    アルツハイマー病の根治法が開発される見込みはありますか。

    現在ある薬の他に、様々な薬剤が臨床試験の段階にあります。またアルツハイマー病の原因についても、アミロイドの話など、色々なことがわかってきてはいますが、近いうちにこの病気を直せるようになるという段階には未だ来ていません。

    アルツハイマー病はどのくらいの頻度で起きる病気ですか?

    認知症全体では、65歳以上の方の3.8-11.0%にみられると言われています。この中の大多数はアルツハイマー病と考えてよいでしょう。

    アルツハイマー病は遺伝する病気ですか?

    アルツハイマー病の10%程度は遺伝することが知られています。

    逆に言えば、大半の場合、親がアルツハイマー病だからといって子供も発症するというわけではありません。

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