熱中症の「警戒アラート」と「特別警戒アラート」は何が違う? クーリングシェルターとは?
ここ数年、水分・塩分の補給や、こまめな休憩、夜間のエアコン使用などの熱中症対策が以前にもまして徹底されるようになりました。これらは基本的な熱中症対策として非常に重要です。 しかし、暑さが厳しい日には、それだけでは十分とはいえない場面があります。特に気温と湿度がともに高く、日差しが強い日には、「暑い中でどう対策するか」だけではなく、「そもそも運動や外出を控える」「涼しい場所に移動する」という判断を行う必要があります。 そのために設けられているのが、熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒アラート、クーリングシェルターです。本コラムでは、それぞれの役割や活用方法を通して、危険な暑さから身を守るための行動について説明したいと思います。
熱中症警戒アラート:危険を知らせる行動変容のサイン
熱中症警戒アラートは熱中症の危険性が高いと予想されるときに、環境省と気象庁が共同で発表する情報です。「暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)」の値が用いられます。
気温よりも熱中症の危険度がわかる「暑さ指数(WBGT)」とは?
「暑さ指数(WBGT)」は気温だけでなく、湿度、日射、輻射熱などを反映した指標です。 気温が同じでも、湿度が高い日や、風が弱い日、日差しが強い場所では、身体にかかる暑さの負担は大きくなります。そのため、熱中症の危険度を判断する際には気温だけではなく、WBGTも確認しておくことが重要です。 暑さ指数(WBGT)のより詳しい内容については「こちらのコラム」も参考にしてください。
熱中症警戒アラートはどんな時に発表されるのか?
警戒アラートは府県予報区などの中のどこかで、翌日または当日における暑さ指数が33以上(31以上が危険域)に達すると予測された場合、前日17時または当日5時に発表されます。
熱中症警戒アラートが発表されたらどう行動するべきなのか?
熱中症警戒アラートは単なる「暑さのお知らせ」ではありません。熱中症を他人事と考えず、暑さから自分の身を守ることに集中し、次のような行動をとるようにしてください。
【熱中症警戒アラートが出た時にとるべき行動】
- エアコンを適切に使い、涼しい環境で過ごす
- いつもよりこまめに水分・塩分を補給する
- 熱中症のリスクが高い人(高齢者や子どもなど)に声をかける
- 暑さ指数を確認し、涼しい環境以外では運動などを中止する
熱中症警戒アラートは普段通りの活動を見直すためのサインと捉えるべきです。
熱中症特別警戒アラート:滅多に発生しない重大な危険を知らせるサイン
熱中症特別警戒アラートは熱中症警戒アラートよりもさらに一段階上の危険性を知らせるものです。広い範囲で過去に例のない危険な暑さとなり、人の健康に重大な被害が生じるおそれがある場合に発表されます。自分の身を守るだけではなく、危険な暑さから周りの人の命も守る意識も望まれます。
| 熱中症警戒アラート | 熱中症特別警戒アラート | |
| 発表基準 | 予報区内の情報提供地点のいずれかで翌日の最高WBGT が33 以上の予測(*) | 都道府県内の全ての情報提供地点で翌日の日最高WBGT が35 以上の予測 |
| 発表時間 | 前日の17時、当日の5時 | 前日の14時 |
| 予想される危険性 | 熱中症の危険性が高く、普段以上の警戒が必要 | 過去に例がほとんどない危険な暑さ・重大な健康被害のおそれ |
*全国を58に分けた府県予報区等を単位として発表(北海道、鹿児島県、沖縄県を細分化)され、府県予報区等内の暑さ指数(WBGT)情報提供地点のいずれかにおいて、日最高暑さ指数が33以上となることが予測される場合
熱中症特別警戒アラートは、学校や職場、イベントなどで事前に対応を検討できるよう、前日の14時に発表されます。熱中症特別警戒アラートが発表された場合には、普段の熱中症対策だけでは不十分な可能性があります。次のことも意識してください。
▪️涼しい場所への移動を意識した声かけと確認
熱中症警戒アラートの時点でも周囲の人への声かけは重要です。熱中症特別警戒アラートが発表された場合には、熱中症になりやすい人(高齢者や子ども、持病のある人など)に声をかけるだけではなく、安全に涼しい環境で過ごせているかを確認し、必要に応じて涼しい場所への移動を勧めてください。
▪️管理者の適切な判断
学校や、職場、イベントなどの管理者は、全ての人が熱中症対策を徹底できているかを確認する必要があります。熱中症対策が徹底できていない場合は、運動、外出、イベントなどの中止・延期・変更(リモートワークへの変更を含む)する判断が求められます。
クーリングシェルター:誰でも利用できる「暑さからの避難場所」
クーリングシェルターは正式には「指定暑熱避難施設」と呼ばれます。市町村長が、冷房設備があるなど一定の条件を満たす施設を指定し、危険な暑さをしのぐ場所として開放する仕組みです。公民館や、図書館、役所、ショッピングセンターなどが指定されることがあります。
クーリングシェルターはいつ使えるのか?
クーリングシェルターは法律上は「熱中症特別警戒アラート」が出たときに開放される仕組みですが、多くの自治体では、通常の「熱中症警戒アラート」の日や、夏の期間中、普段から「涼み処」として開放していることもあります。 施設によって開放する日や時間帯のルールが異なるため、事前に確認しておくと安心です。
クーリングシェルターをどう利用するか?
クーリングシェルターは避難施設ではありますが、「熱中症特別警戒アラートがでたら必ずそこへ行かなければならない」というものではありません。自宅でエアコンを使い、涼しい環境を確保できる人は、自宅で過ごすことも合理的な選択です。一方で、次のような条件に当てはまる人はクーリングシェルターの利用を積極的に検討してください。
【クーリングシェルターを積極的に検討したい人の例】
- 自宅にエアコンがない、または故障している
- 体調に不安がある
- 外出中に暑さを避ける場所がない
上記はあくまでも例ですので、該当しなくてもクーリングシェルターは利用可能です。 なお、クーリングシェルターは治療をする場所ではないので、頭痛や吐き気、水分の自力摂取が困難などの症状がある人は周囲に助けを求め、必要に応じて医療機関を受診してください。
クーリングシェルターはどこにあるのか?
クーリングシェルターの場所は各自治体や環境省のホームページで公開されています。外出前に「環境省・指定暑熱避難施設リンク集」でお近くや出先でのクーリングシェルターを確認しておくと安心です。
暑い日は「頑張る」より「避ける」判断を
熱中症対策では水分補給や塩分補給、休憩などが重要です。しかし、危険な暑さの日には「運動や外出を控えること」「屋外活動を中止・延期をすること」「涼しい場所に移動すること」も同じくらい重要です。
暑さを我慢することは、美徳ではありません。酷暑においては、暑さ指数やアラートを確認し、暑さを避けることが大切です。こうした判断が、熱中症を防ぐためにますます重要になっています。
このコラムが少しでも皆さまの熱中症予防に役立てば幸いです。
下記のページも熱中症対策にお役立てください。
・熱中症の初期対応のポイントを押さえよう:あくび、頭痛、足がつるなどの疑わしい症状が出た時の対策
・熱中症基礎ページ
・熱中症詳細情報
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。