ぜんとうそくとうがたにんちしょう(ぴっくびょう)
前頭側頭型認知症(ピック病)
40-60歳代に発症し、脳の前方や側面が萎縮する種類の認知症
11人の医師がチェック 133回の改訂 最終更新: 2017.12.06

前頭側頭型認知症(ピック病)の基礎知識

前頭側頭型認知症(ピック病)について

  • 40-60歳代に発症し、脳の前方(前頭葉)や側面(側頭葉)が萎縮する種類の認知症

前頭側頭型認知症(ピック病)の症状

  • 自制力の低下
    • 相手の話は聞かずにしゃべる、短絡的になるなど
    • 愛情に乏しくなる
  • 異常行動
    • 浪費、過食、異食、収集、窃盗、徘徊、他人の家に勝手にあがるなど
  • 人格変化
    • 無欲、無関心
  • 記憶の障害などは、ほとんどみられない
  • 上記のような症状から、"going my way behavior(我が道を行く行動)" などと形容される特徴的な様相を呈する
  • 自分が病気であることの認識はない
  • 40-60代で発症する人が多く、比較的若いうちから認知症になる
  • 国内におよそ1万人ほど患者がいる

前頭側頭型認知症(ピック病)の検査・診断

  • 頭部CT頭部MRI検査:前頭葉、側頭葉の萎縮の有無を調べる
  • SPECTPET検査:脳血流や脳ブドウ糖代謝を調べる
    • 前頭葉、側頭葉の血流や代謝の低下を調べる

前頭側頭型認知症(ピック病)の治療法

  • 根本的な治療は確立されていない
  • SSRI(抗うつ薬の一部)が異常行動に対して効くことがある

前頭側頭型認知症(ピック病)の経過と病院探しのポイント

前頭側頭型認知症(ピック病)が心配な方

認知症は、一定の年齢になると多くの方が心配される疾患の一つでしょう。「どのような基準を満たしたら認知症」という明確な(唯一の)基準があるわけではありません。また、加齢に伴う体の機能の変化という意味では、筋力が衰えたり骨が弱くなったりするのと同様に、脳の機能が変化していくことにも、病気ではなく自然現象と呼べる範囲があります。

認知症」は病気の名前ではなく、ある程度以上に脳の機能が低下した状態を指すというだけの用語です。病気が原因で認知症になる方もいれば、正常の老化現象の一環として認知症に至る方もいます。したがって、ここで大切なのはその方の認知力の低下が病気なのかどうかということではなく、いずれの場合であっても、そのような方が生活しやすい環境を整える必要があるということです。

認知症らしさは周囲の方が気付くことができても、それが前頭側頭型の認知症ピック病)かどうかの判断は慣れない方には難しいことがあります。他の認知症と比較すると記憶障害よりも性格変化が出やすいことや、40-50代など早めの段階から症状が発症し得ることが特徴です。穏やかで協調的だった方が周囲に無遠慮な行動を取るようになったり、あるいは引きこもりがちになったり、食べ物の嗜好が変わったりします。このように他の認知症と異なる点もあるのですが、原因が何であれ、認知症かなと思ったらまずはかかりつけ医に相談するか、お近くの神経内科クリニックを受診されることをお勧めします。認知症専門外来を設けている医療機関も中にはあり、そのようなところも良いでしょう。そのような医療機関では、長谷川式認知症スケールと呼ばれるような一定の質問を行って認知力の程度を確認したり、日常生活にどのような支障が出ているかをご家族から確認したりします。それと同時に、認知症を引き起こしている病気(甲状腺機能低下症慢性硬膜下血腫など)がないかの確認も行います。これらが原因の認知症だとすると、内服薬や手術で認知力が大幅に改善する可能性があるためです。こういった病気を除外するためと、そして前頭側頭型のものかどうかを判断するために頭部CTやMRI、血液検査などを行います。

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前頭側頭型認知症(ピック病)でお困りの方

ピック病と診断がついた場合の治療なのですが、残念ながら低下した認知力を改善させる、または根治させる治療は現時点ではありません。

ピック病の方でも、他の種類の認知症脳血管性認知症など)を併発している場合があり、認知症の種類によって治療法が少しずつ変わってきます。典型的なものであれば一般内科で診断が十分可能なこともあります。しかしながら、このように複数種類の認知症が重なっている場合や、一種類でも初期段階で症状が揃っていない場合などは、特にどの種類の認知症か判断が難しい場合というのが少なからずあります。そのようなときには先述の認知症専門外来であったり、神経内科専門医であったりの診察を検討されるのも良いでしょう。特に診断が難しい場合には、脳血流SPECTと呼ばれる特殊な検査を行うこともあります。認知症の型・原因が判明すれば、その後の治療は専門外来である必要は必ずしもなく、高血圧など他の目的で通っている外来で一緒に処方を出してもらうという形が一般的です。

現在の日本の医療体制では、「普段の通院は近所のかかりつけ医、入院や専門の診察は地域の総合病院」といった分業と、医療機関同士の連携が重視されています。重症の患者さんや一時的に専門医の診察が必要な方が安心していつでも総合病院にかかれるように、総合病院でなくとも診療が行える病状の方は、できるだけ地域のクリニックを受診してもらうことで、住み分けを行うという形です。これには、地元に自分のかかりつけ医(主治医)を作ることで、その人の病状全体が把握できるというメリットもあり、必要あればその都度、病気ごとに専門の医師や医療機関と連携して診療を行います。

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