ぜんとうそくとうがたにんちしょう(ぴっくびょう)
前頭側頭型認知症(ピック病)
40-60歳代に発症し、脳の前方や側面が萎縮する種類の認知症
11人の医師がチェック 134回の改訂 最終更新: 2018.10.03

Beta 前頭側頭型認知症(ピック病)のQ&A

    前頭側頭型認知症はどのような病気ですか?

    前頭側頭型認知症は、神経細胞が徐々に脱落していくため、記憶や思考などに障害が起きてしまう病気です。特に前頭葉~前部側頭葉と呼ばれる脳の部分の機能が低下してしまうためにこの名前がついています。

    いわゆる認知症をきたす病気の一つです。

    前頭側頭型認知症ではどのような症状がみられますか?

    最も特徴的なのは「前頭葉症状」と呼ばれるものです。アルツハイマー型認知症では、病初期から記憶障害がみられるものの性格変化はみられませんが、前頭側頭型認知症では最初から性格変化(前頭葉症状の一つ)が目立ち、例えば社会のルールが守れなくなりやすい(極端な話、万引きのようなことで捕まることもあります)ものの、最初は記憶障害がみられないことが特徴的です。

    前頭側頭型認知症はどのように診断するのですか?

    症状が特徴的であるため、症状と身体診察である程度あたりをつけることができます。その後、脳の画像検査を行います。

    前頭側頭型認知症の治療について教えてください。

    アルツハイマー型認知症の薬であるドネペジル(商品名:アリセプトなど)を使うこともありますが、どの程度効果があるかについては一定した見解がありません。

    基本的には性格異常などの症状が出る病気なのでそういった精神面に対する治療が必要になります。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)というタイプの薬に効果があると言われています。

    これらのことを踏まえて治療を選択しますが、なかなか薬剤による治療は難渋することが多く、介護や環境整備も等しく、また時には薬以上に重要です。

    前頭側頭型認知症はどうして起こるのですか?

    いまだ正確な原因はわかっていませんが、前頭側頭型認知症の方では、脳細胞にピック球とよばれるものが溜まっていることが特徴です。また、TDP-43という異常なタンパクがたまることも知られています。

    前頭側頭型認知症では認知症以外の症状もみられますか?

    少し難しい話ですが、前頭葉と側頭葉前部に障害が起きる病気を「前頭側頭葉変性症」と呼びます。その病気の中に、前頭側頭型認知症、進行性非流暢性失語、意味性認知症という病気が分類されています。後者2つはいわゆる認知症とは少し違ったタイプの病気になります。

    • 進行性非流暢性失語:発話ができなくなってしまうことが大きな特徴であり、それ以外の認知機能は正常か比較的保たれています。会話の意味の理解は比較的保たれますが、進行すると理解もできなくなっていきます。だんだん会話が短くなっていき、症状が進行すると黙ってしまうようになります。
    • 意味性認知症:言葉の意味や、物が同定できなくなることなどが病初期から目立ちます。その他の認知機能は比較的保たれます。

    前頭側頭型認知症ではどのような画像検査をするのですか?

    頭部CTや頭部MRI検査を行い、脳梗塞や脳出血などはないか、前頭葉は萎縮しているかを調べます。また、脳血流SPECTという脳の血流分布を調べる検査を行います。前頭側頭型認知症ではその名の通り前頭葉から前部側頭葉にかけての血流が低下していることが知られています。

    前頭側頭型認知症はどのような経過をたどるのですか。

    内服薬などを使用しながらでも、症状は徐々に進行してしまいます。どの程度の速さで症状が進んでいくかは個人差がありますが、症状が進むと、身の回りのことで自力でできることが少しずつ減ってくるため、周囲の方の助けが必要になってきます。

    前頭側頭型認知症はどのくらいの頻度で起きる病気ですか?

    前頭側頭型認知症のはっきりとした有病率(患者数)は、残念ながら分かっていません。実際には前頭側頭型認知症でありながら、漠然と単なる「認知症」と診断されていたり、あるいはアルツハイマー型認知症と言われている方も一定数いるのではないかと推測されます。

    認知症の中での内訳で言えば、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症に次いで頻度の高い病気です。

    治療法が開発される見込みはありますか。

    色々と研究が進んではいますが、完治を目指せる根治薬の開発という点においては、まだ十分ではありません。

    前頭側頭型認知症は遺伝する病気ですか?

    欧米では遺伝性に発症することが多いことが知られていますが、逆に日本では遺伝することはほとんどないようです。

    前頭側頭型認知症と、筋萎縮性側索硬化症(ALS)との関連について教えて下さい。

    筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経が脱落していき症状が進行すると体を動かせなくなってしまう病気です。かつてはALSには認知症は合併しないと言われていました。しかし、ALSに前頭側頭葉変性症(このうちの一つが前頭側頭型認知症)を併発する場合があることが現在は知られています。TDP-43というタンパクが関係あることが分かっており、現在も研究は進んでいます。