毎週ジョギング20時間相当の運動をすると、がんはどれぐらい予防できるのか?
運動は糖尿病や心臓病はもちろん、がんの予防にもつながります。過去の174件の研究データをもとに解析した結果、運動量が特に多い人で乳がん、大腸がん、脳梗塞が減っていたことが報告されました。
◆乳がん、大腸がんなどの予防効果を計算
ここで紹介する研究は、運動量に対して病気がどの程度予防されるかを計算する目的で行われました。
5種類の病気が着目されました。
1980年から2016年の研究で関係するものを集め、データを統合して、運動の量に対応する病気の頻度が計算されました。
◆乳がんリスク14%減少
採用基準に合った174件のデータから、次の結果が得られました。
活動量不十分な人(週あたり総活動量が600MET・分未満)に比べて、高度に活動的なカテゴリーの人(週あたり8000MET・分以上)のリスク減少は乳がんに対して14%(相対リスク0.863、95%不確定区間0.829-0.900)、結腸がんに対して21%(0.789、0.735-0.850)、糖尿病に対して28%(0.722、0.678-0.768)、虚血性心疾患に対して25%(0.754、0.704-0.809)、脳梗塞に対して26%(0.736、0.659-0.811)だった。
運動量が「MET」という単位で表現されています。METは運動の強さを表し、活動量不十分の基準とされた600MET・分/週は早歩きで毎週150分に相当します。毎週8000MET・分以上の運動をしていた人は、活動量不十分の人に比べて以下の予防効果が出ていました。
週あたりの8000MET・分はジョギングやサッカーで20時間近くに相当します。スポーツ選手並みの量で、がんが気になる年齢までけがをしないで続けるのは並大抵ではないですが、それだけやれば効果は大きかったようです。
執筆者
Physical activity and risk of breast cancer, colon cancer, diabetes, ischemic heart disease, and ischemic stroke events: systematic review and dose-response meta-analysis for the Global Burden of Disease Study 2013.
BMJ. 2016 Aug 9.
[PMID: 27510511]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。