2016.03.17 | コラム

めまい、頭痛、吐き気・・・小脳梗塞の症状とリハビリについて解説

小脳梗塞
めまい、頭痛、吐き気・・・小脳梗塞の症状とリハビリについて解説の写真
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この記事のポイント

1.特徴的な症状をもつ小脳梗塞の原因とは?
2.めまいや頭痛など小脳梗塞の特徴的な症状とは?
3.リハビリテーション

脳梗塞の多くは大脳に発症します。今回は、梗塞が起こることで特徴的な後遺症をきたす小脳に着目し、小脳梗塞の症状やリハビリについて解説します。

◆特徴的な症状をもつ小脳梗塞の原因とは?

小脳は、大脳の下に位置する小さな脳であり、まっすぐに立つ・座るといった姿勢の調整、バランス感覚の維持、目的の動作を行うためにはどの程度の筋力を使うかといった調節機能など、私たちが運動をスムーズに行うために重要な役割を担っています。

脳梗塞は、一般的な脳梗塞と同様に、高血圧症脂質異常症などが原因でおこる動脈硬化(血管の壁が硬くなる)や、心臓等で作られた血栓(血液のかたまり)が小脳動脈に繋がる血管をつまらせることによって起こります。小脳には、小脳動脈、前下小脳動脈、後下小脳動脈と呼ばれる3つの動脈があり、小脳梗塞は後下小脳動脈が原因になることが多いとされています。

◆めまいなど、小脳梗塞の特徴的な症状とは?

脳梗塞に特徴的な症状には以下のものがあります。

  • めまい:ぐるぐると回転するようなめまいが現れる
  • 巧緻性障害:指先の細かい動きができなくなる
  • 構音障害:ろれつが回らなくなったり、言葉の抑揚を制御できなくなる
  • 眼振:無意識に眼球が規則的に左右に動く
  • 振戦:スムーズに身体が動かず腕が大きく震えたり、力が入らなくなる

その他にも、吐き気や頭痛など一般的な脳梗塞と同様の症状も見られることがあります。

脳梗塞は、身体に麻痺が残ることがありますが、小脳梗塞では体に麻痺が残ることはその他の脳梗塞と比べると多くありません。しかしながら、これらの症状によって、日常生活を営むことが難しくなる場合もあります。そうした場合には、短期的・集中的なリハビリテーションが必要です。では、どのようなリハビリテーションが行われるのでしょうか。

 

◆小脳梗塞のリハビリテーションとは?

小脳は、左右の半球と中心の虫部に分けられています。どちらかの半球に梗塞が起こると同側部の手足に影響があります。虫部は平衡感覚を保つ機能と関連があります。梗塞が起こると、めまいや立つ・座るといった姿勢でのふらつきなどによる歩きにくさがみられると言われています。梗塞の部位によりみられる症状が異なるため、運動をスムーズに行うための機能を再獲得するために、梗塞が起こった部位を把握する必要があります。さらに、症状の原因(筋緊張低下、筋力低下、めまい、失調による振戦など)について検討し、複数の側面から総合的にリハビリテーションプログラムをたてる必要があります。

  • 目的とする動作の反復訓練
    • 小脳​の半分側に梗塞が起こった場合、歩く・階段を上り下りする際に意図的な運動をタイミングよく開始・停止することや、トイレットペーパーをつまんで、切り離すなど、細かいものをつまむことが困難となります。そうした障害には、目的の動作を何度も繰り返し、意図的な運動が無意識でも行えるようになるための訓練が行われます。訓練量を増やすために、自主トレーニングを行うことも効果があると言われています。
       
  • 患部の安定を確保
    • 物に手をのばすと手がふるえてしまうなど、手足の振戦が見られた場合には、震える手足に重錘を付け訓練を行うことが知られています。また、歩く際に関節が安定しない場合は、膝や足首に装具をつけ、関節を固定した状態で訓練を行うことも有用であるとされています。
       
  • 体幹トレーニング
    • 脳梗塞では障害を受けた脳の部位によっては、極端に体幹の筋肉の力がうまく出せなくなることがあります。いくら手足がうまく動かせたとしても、根幹である体幹が安定していないと、動作中に前述のように振るえたように見えたり、物に手を伸ばしてもなかなかうまく伸ばせないといったことが起こります。そのため、四つ這いになってバランスをとる練習をしたり、不安定なエアークッションの上に座って、体幹を鍛える練習をします。
       
  • 治療的電気刺激
    • 治療的電気刺激は、筋力の強化や筋肉の力を発揮する力を促進させるために用います。筋力が低下したり、適切なタイミングで力が発揮出来なくなった場合に、電気の力で外部から筋肉を刺激し、意図したタイミングで動かす訓練が行われることもあります。

 

身体のコントロールがうまくできない小脳梗塞では、運動が困難になることがあります。障害が起こった部位によって、現れる症状が異なるため、専門家と話し合いながら治療を進めて行きましょう。

執筆者

NK

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。