きょけつせいしんしっかん

虚血性心疾患

心臓の筋肉(心筋)が必要な酸素を受け取れなくなってしまい、心臓の働きが弱まってしまう病気

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11人の医師がチェック 134回の改訂 最終更新: 2017.05.02

虚血性心疾患の基礎知識

虚血性心疾患について

  • 心臓の筋肉(心筋)に必要な酸素が行き渡らなくなってしまった状態
    • 心筋に酸素を届けるための血管(冠動脈心臓の外側にある血管で、心臓自体に酸素を含んだ血液を送る血管のこと。ここが詰まると心筋梗塞を発症する)が動脈硬化全身に酸素と栄養を運ぶ動脈の壁が硬くなった状態。加齢の他に、喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが原因となるにより細くなったり詰まったりして起こる
  • 狭心症心筋梗塞を合わせて虚血性心疾患と呼ぶ(詳細はそれぞれの疾患を参照)
    • 狭心症:冠動脈が狭くなり、一時的に心臓に十分な酸素を送れない状態
    • 心筋梗塞:冠動脈が詰まって心筋が壊死ある部位の細胞が死んでしまうこと。多くの場合、血管が詰まったり、つぶれたりして、血液が流れなくなってしまうことが原因となるした状態
    • これらのうち、突然症状が発症症状や病気が発生する、または発生し始めることもしくは悪化したものを、急性冠症候群と呼ぶ
  • 主な原因
  • 高齢の男性に多い

虚血性心疾患の症状

  • 主な症状
    • 強い胸の痛み:胸を締めつけられるような強い痛み
    • 不安感、圧迫感:心筋梗塞では不安感、狭心症では圧迫感が出ると言われている
    • 呼吸困難
    • 冷汗
    • 吐き気
    • 食欲低下
    • 疲れやすさ(倦怠感だるさのこと
    • 意識障害意識に異常が生じた状態の総称で、もうろうとした状態や、不適切な反応をする状態、一切の反応がない状態など多段階の症状が含まれる
  • 高齢者や糖尿病の人は胸の痛みを感じないことがある

虚血性心疾患の検査・診断

  • 血液検査
  • 胸部レントゲン X線(放射線)によって撮影する画像検査の一種で、心臓や肺、骨などの状態を調べるために行われる検査:心臓の大きさ、肺にうっ血血液の流れが悪く、体の一部に血液が溜まってしまった状態がないかを調べる
  • 冠動脈心臓の外側にある血管で、心臓自体に酸素を含んだ血液を送る血管のこと。ここが詰まると心筋梗塞を発症するが狭くなっていないか、心臓の動きに問題がないか、心筋に虚血体の一部に十分な血液が流れなくなってしまうこと。血管が詰まったり、あるいは血管を流れる血液が少なくなると起こる。虚血が進むと梗塞が起こるが起きていないかなどを総合的に検査する
    • 心電図心臓から出ている弱い電気を感知して、心臓の状態を調べる検査
    • 負荷心電図心電図を装着したまま、エアロバイクなどを用いて、運動中の心臓の状態を調べる検査
    • 心臓超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、心臓の状態を調べる検査
    • 冠動脈CT検査X線(放射線)を用いて冠動脈の状態を調べる検査。狭心症や心筋梗塞などの検査で行われることが多い:冠動脈が石灰化したり細くなったりしていないかを調べる
    • 心臓カテーテル細く長い管(カテーテル)を血管内に入れて、心臓の状態を詳しく調べる検査。心筋梗塞などの病気で行われることが多い検査(冠動脈造影検査心臓カテーテル検査の一環として、冠動脈の状態を確かめる検査
    • 心筋シンチグラフィ放射線を出す物質を使って、心臓の筋肉である心筋が正常に働くことができているかを確認する検査:心臓の筋肉の血流量をみて、血流が不足している部分がないかを調べる
  • 虚血性心疾患を起こしやすくるような病気(糖尿病、高血圧、脂質異常症など)がないかも検査を行う

虚血性心疾患の治療法

  • 主な治療
    • 薬物療法
      ・血管拡張薬(ニトログリセリンなど):狭心症に有効
      ・β遮断薬、カルシウム拮抗薬:血圧を下げて動脈硬化全身に酸素と栄養を運ぶ動脈の壁が硬くなった状態。加齢の他に、喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病などが原因となるを進みにくくするとともに、心臓の負担を軽減させる
      抗血小板薬血小板が血栓を作る作用を抑えるための薬。脳梗塞などの予防に使用される抗凝固薬血液を固まりにくくする薬。不整脈に対して、血栓ができるのを予防する目的で用いられることが多い:血液を固まりにくくして冠動脈心臓の外側にある血管で、心臓自体に酸素を含んだ血液を送る血管のこと。ここが詰まると心筋梗塞を発症するが詰まることを予防する
      ・スタチン:血液中のコレステロールヒトの全ての細胞の膜を作るのに必要な脂質。LDLコレステロールとHDLコレステロールがあり、前者は動脈硬化などの原因となるを減らして、動脈硬化を進みにくくする
    • リハビリテーション:有酸素運動を行うことで、心臓の働きを改善し再発防止につなげる
    • 手術
      カテーテル治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法:狭くなった冠動脈を広げる手術
      ・バイパス手術:冠動脈に別の場所から血管をつなぎ、心臓へ血液を送れるようにする手術
  • 予防、再発予防方法
    • 日常生活において心臓に負担をかけないような運動方法を学ぶことが必要
    • 食事などの生活習慣を改めることが重要
  • 長期的な経過
    • 再発しやすい病気のため、定期的な通院が重要

虚血性心疾患に関連する治療薬

硝酸薬

  • 心臓のまわりの冠動脈を広げ血流量を増やし、心臓に酸素などを補給することで、全身の血管抵抗を減らして心臓の負担を軽くする薬
    • 狭心症では血管が狭くなることで、心臓の筋肉に十分な酸素などが届かなくなっている
    • 体内で一酸化窒素という物質は血管壁などの細胞に作用し、血管を広げる作用をもつ
    • 本剤は硝酸薬として体内に入った後、一酸化窒素を生成し血管を広げ心臓の負担を軽くする
  • 本剤には狭心症などの発作の予防的な治療薬と、発作時の治療薬がある
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FXa阻害薬(抗凝固薬)

  • 体内の血液が固まる作用の途中を阻害し、血栓の形成を抑え脳梗塞や心筋梗塞などを予防する薬
    • 血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなる
    • 血液凝固(血液が固まること)には血液を固める要因になる物質(血液凝固因子)が必要である
    • 本剤は血液凝固因子の因子Xa(FXa)を阻害し、抗凝固作用をあらわす
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心抑制型カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム、ベラパミル)

  • 血管や心筋の細胞内へのカルシウムイオンの流入を阻害し、血管を広げ、心臓の負担を軽減する薬
    • 狭心症では血管が狭くなることで心臓に十分な酸素などが届かなくなっており、胸のしめつけや息苦しさなどがあらわれる
    • 血管の収縮や心臓の拍動はカルシウム(Ca)イオンの細胞内への流入が関与する
    • 本剤は血管や心筋でのCaイオンの流入を阻害する作用をあらわす
  • 薬剤によっては、頻脈性の不整脈や高血圧などへ使用するものもある
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虚血性心疾患の経過と病院探しのポイント

虚血性心疾患かなと感じている方

虚血性心疾患は心臓の血管が詰まって生じる疾患で、心筋梗塞狭心症の総称です。急激な胸の痛みと息苦しさ、そして冷や汗が出て、いかにも「緊急事態」という病状が周囲の方にも見えるのが典型的な虚血性心疾患です。このようなものであれば、救急車を呼ぶかどうかの判断で迷うことは少ないでしょう。しかし、虚血性心疾患の中には症状が出にくいものがあり、そのようなものは医療者であっても見分けるのが困難な場合があります。

典型的でない虚血性心疾患の症状として、胸の痛みがないもの、胸ではなく肩やあご、時には歯の痛みが出るものなどがあります。このような典型的でない虚血性心疾患は男性よりも女性、若年者よりも高齢者、そして特に糖尿病のある方に多いことが知られています。このような項目に当てはまる方については、軽めの胸痛であっても一度かかりつけの内科医を受診して判断を仰ぐことをお勧めします。

虚血性心疾患の診断は血液検査、心電図心臓から出ている弱い電気を感知して、心臓の状態を調べる検査心エコー空気の細かな振動である超音波を使って、心臓の状態を調べる検査を用いて総合的に行います。その中でも特に重要なのは心電図です。内科のクリニックであれば心電図検査心臓から出ている弱い電気を感知して、心臓の状態を調べる検査が行えるところは多いですし、循環器系のクリニックであれば心エコーを含めて多くの検査に対応が可能です。

どのような場合にクリニックを受診して、どのような場合に救急車を呼ぶかという判断を自分で下すのは難しいところです。例えば胸や背中に動けなくなってしまうような強い痛みがあれば救急車での受診が良いでしょうし、それ以外では冷や汗(暑さのせいではなく、急激に大量の汗が出る)や、長く続く息苦しさも重症の病気を示唆するサインです。一方で、肩の痛みや歯の痛みだけしかない状況で、ご自身で虚血性心疾患の可能性を思いつくことは難しいのではないかと思います。そして、実際に肩の痛みの原因が骨や筋肉の問題だったり、歯の痛みが炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る虫歯によるものだったりすることもあるわけですから、全身の調子は悪くなく局所の症状に留まっている場合には、まずはその専門の診療科(整形外科、歯科など)を受診して判断を仰ぐのが良いかもしれません。

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虚血性心疾患でお困りの方

虚血性心疾患については、診断がつき次第その場で治療が開始されます。クリニックで診断がついたとしたら、その場では根本的な治療ができないため、総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないを紹介されることになるでしょう。そのような場合、救急車でクリニックから病院へ移動することになります。

心筋梗塞の大半、そして狭心症の一部は緊急でのカテーテル治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法が必要となります。ほとんどの病院では、カテーテル治療は循環器専門医、冠動脈心臓の外側にある血管で、心臓自体に酸素を含んだ血液を送る血管のこと。ここが詰まると心筋梗塞を発症するバイパス術は心臓血管外科専門医が担当します。後者の手術を行っている病院は限られるため、病院を探す上では年間の冠動脈バイパス術手術件数や、心臓血管外科専門医の数などが参考になるかもしれません。何件以上ならば良いと言うのはそもそも地域によって件数が異なるため比べることができませんが、同じ地域の病院間で比較して手術件数が少なすぎないことは、病院を探す上で参考になる基準の一つです。しかし実際は、そもそも治療のための時間的余裕がなく、できるところですぐに手術を受けなければならないケースが大半かと思われます。

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