2017.06.05 | ニュース

関節リウマチ患者の心血管死亡率は7.1%から2.1%に低下

ミネソタ州オルムステッド群の統計から
from The Journal of rheumatology
関節リウマチ患者の心血管死亡率は7.1%から2.1%に低下の写真
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関節リウマチがあると心筋梗塞の確率が上がります。しかし、2000年以降に診断された患者の統計解析の結果、以前と比べて心血管疾患による死亡率が低くなっていたことが報告されました。

関節リウマチの治療には主に薬を使います。メトトレキサートという薬が重視されていますが、ほかにもさまざまな薬を使い分けます。

2000年以降に、いくつかの薬剤が関節リウマチの治療法に加わりました。生物学的製剤と呼ばれる薬剤などが続々登場したことにより、関節リウマチに対して使える薬のリストは最近20年ほどで大きく様変わりしました。

 

アメリカのメイヨー医科大学などの研究班が、関節リウマチ患者の心血管疾患による死亡率の変化を調べ、結果を専門誌『The Journal of Rheumatology』に報告しました。

研究班は、ミネソタ州オルムステッド群の統計データを解析しました。

対象として、1990年から1999年に関節リウマチを診断された患者、2000年から2007年に関節リウマチを診断された患者、また比較のため関節リウマチがない人を選びました。

関節リウマチがある813人と、関節リウマチがない813人が選び出されました。平均年齢は55.9歳でした。対象者の経過を追跡調査したデータが解析に使われました。

関節リウマチがある人では、将来心筋梗塞が起こる確率が上がっていることが知られています。全身の炎症が長年持続することが動脈硬化に関わっていると考えられています。動脈硬化は心筋梗塞の主な原因の一つです。

動脈硬化と関係が深い、心筋梗塞脳卒中などをまとめて心血管疾患と呼びます。また心筋梗塞やその手前の状態の狭心症などをまとめて冠動脈疾患と呼びます。この研究では、関節リウマチ患者のうち10年間に心血管疾患または冠動脈疾患で死亡する割合の変化が検討されました。

 

統計解析により次の結果が得られました。

診断された年 1990-99 2000-07
10年全心血管死亡率 7.1% 2.7%
10年冠動脈疾患死亡率 4.5% 1.1%

 

2000年から2007年に診断された患者のほうが、1990年から1999年に診断された患者よりも、10年間に心血管疾患または冠動脈疾患で死亡する割合が少なくなっていました。

2000年から2007年に診断された関節リウマチ患者では、10年全心血管死亡率、10年冠動脈疾患死亡率ともに、関節リウマチがない人と統計的に差がありませんでした。

 

関節リウマチ患者のうちで、1990年から1999年に比べて2000年から2007年に診断された人では心血管疾患により死亡する割合が減っているという報告を紹介しました。

この研究はその理由まで特定することを目的にはしていません。

関節リウマチの治療が進歩したことにより致命的な心筋梗塞脳卒中が少なくなったという考えも想定できます。あるいは同じ時期に心筋梗塞脳卒中の治療が進歩して救命されやすくなっているかもしれません。さまざまな可能性が考えられます。

また、アメリカのデータが体質や医療環境の違いなどにより日本には当てはまらない場合もあります。

状況に合わせて、特定の治療法などが良い結果と結び付くことが証明できれば、有効な治療を今後さらに強く推奨するための参考となるかもしれません。

 

誤字を訂正しました。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Decreased Cardiovascular Mortality in Patients with Incident Rheumatoid Arthritis (RA) in Recent Years: Dawn of a New Era in Cardiovascular Disease in RA?

J Rheumatol. 2017 Apr 1. [Epub ahead of print]

[PMID: 28365576]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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