2020.11.25 | コラム

アスピリンで血液がサラサラに…。〔アスピリンシリーズ③〕

医療用医薬品と市販薬の適正使用

アスピリンで血液がサラサラに…。〔アスピリンシリーズ③〕の写真

一般的にアスピリンと聞くと、「バファリンA」などの市販薬(一般用医薬品)を浮かべる方多いかもしれませんが、アスピリン自体は処方箋の治療薬(医療用医薬品)としても広く活躍している医薬品でもあります。今回は特に、医療用医薬品として“少ない量のアスピリン”を飲んでいる場合の注意に関してご紹介します。

◆処方箋で出される2種類のバファリン

いわゆる解熱鎮痛薬としてのアスピリンは医療用では「バファリン配合錠A330」という名称で処方されていますが、医療用のバファリンにはもう一つ「バファリン配合錠A81」という薬があります。

「バファリン配合錠A81」はアスピリン(正式な成分名はアセチルサリチル酸)を1錠中に81mg含む製剤で、以前は医療用「小児用バファリン」の名称で製造されていました。小児に対してはアスピリンが"原則"使用できないこと(川崎病などへの治療において医療機関で処方される場合は除く)は以前のコラムでもご紹介したこともありましたが、では何故、小児へ使用できない薬が現在も名前を変えて造られているのか? ちょっと不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか? 

 

◆アスピリンを少ない量で飲む意義は…

アスピリンには「血液が固まる反応を妨げる作用(抗血小板作用)」があり、狭心症や心筋梗塞などの治療に効果を発揮することがわかっています。少ない量でも効果が発揮されることから、アスピリンの低用量規格であった「小児用バファリン」は「バファリン配合錠A81」と名前を変え、現在も色々な診療科で使用される薬となっているのです。注意したいのは、低用量アスピリン製剤を服用している場合で解熱鎮痛薬としての市販の「バファリンA」や医療用の「バファリン配合錠A330」(どちらの薬剤も1錠中にアスピリンを330mg含む)などを飲んでしまうとどうなるか?ということです。

以前はアスピリンの量を増やして飲んでしまうと、抗血小板作用が大幅に減少する又は無くなってしまうという可能性が示唆されていましたが、現在では仮にアスピリンの量を増やした場合でも作用減弱などへの懸念はあるもののある程度の抗血小板作用は期待できるとされています。ただし、アスピリン量を増やすことで胃腸障害などの副作用が増加する可能性があるので、やはり低用量アスピリン製剤を飲んでいる場合には解熱鎮痛薬としてのアスピリンをむやみに服用するのは避けた方が無難でしょう。またいくら低用量とはいえ、特に長期的に服用を継続していく場合には、胃腸への負担も考慮した方がよいでしょう。アスピリン製剤の中には胃腸への負担が軽くなるように工夫されている薬もありますし、胃薬と併用することも可能です(現在では、低用量アスピリンと胃薬(PPI)が一緒に配合された製剤(タケルダ配合錠キャブピリン配合錠)も使われています)。アスピリン製剤を服用することになった上で、体質的に胃が弱いなどがある方は事前に医師や薬剤師へ相談しておくとよいでしょう。

医療用、一般用の両面で"アスピリン"という薬をよく理解して、正しく有効に使っていきたいですね。

 

参考情報:本文中に登場した薬については、こちらのページに詳しい情報を掲載しています。

 

*2015/06/26配信の記事を更新しました

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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