COX阻害薬(抗血小板薬)
COX(シクロオキシゲナーゼ)という体内の酵素の働きを阻害することで血小板凝集を抑える作用(抗血小板作用)をあらわし、血栓の形成を抑えて血管をつまらせないようにする薬
COX阻害薬(抗血小板薬)の解説
COX阻害薬(抗血小板薬)の効果と作用機序
- COXという体内の
酵素 の働きを阻害し血小板 凝集を抑え、血栓 の形成を抑えて血管をつまらせないようにする薬- 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
- 体内で血小板凝集を促進させるTXA2という物質はCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素によって生成される
- 本剤はCOXを阻害することでTXA2の生成を抑える作用をあらわす
- 薬剤の中には川崎病の治療などに使用される薬もある
COX阻害薬(抗血小板薬)の薬理作用
血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓(血の塊)ができやすくなる。血栓自体は体内での止血に不可欠だが、血栓形成が過度に亢進すると、脳梗塞や心筋梗塞などがおこりやすくなる。
体内でTXA2(トロンボキサンA2)という血小板の凝集を促進させる物質がある。TXA2は体内でCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素などの働きによって生成されるため、COXを阻害すれば血小板の凝集を抑えることができる。
解熱鎮痛薬としても使われるアスピリン(アセチルサリチル酸)はCOXを阻害する作用をあらわすため、TXA2の生成を抑え、血小板凝集を抑えることで血栓の形成を抑える効果も期待できる。一般的に解熱鎮痛薬として使う場合のアスピリンは1回用量が成人で330〜660mg程だが、抗血小板薬としてアスピリンを使う場合は1回(1日)75〜162mg程が望ましいとされ、解熱鎮痛薬として用いられる用量に比べ低用量で使われ、これは出血性合併症や消化性潰瘍といった副作用などを考慮してのものとされている。副作用の中でも特に胃潰瘍などの消化性潰瘍は長期に渡り低用量アスピリンを服用する場合などの懸念となるため、抗血小板薬としてのアスピリン製剤には胃薬(胃酸分泌抑制薬)であるPPI(プロトンポンプ阻害薬)を配合した製剤(タケルダ配合錠、キャブピリン配合錠)もある。
なお、体内でCOXは炎症や熱などを引き起こすPG(プロスタグランジン)を合成する酵素でもある。そのため、アスピリンはCOX阻害作用によるPG合成阻害作用やTXA2合成阻害作用などにより、川崎病などの治療薬として使用する場合もある。