2026.08.19 | コラム

クラゲに刺されたらどうする? 応急処置とアレルギーの注意点

クラゲ刺傷と納豆アレルギーの不思議な関連も紐解きます
クラゲに刺されたらどうする? 応急処置とアレルギーの注意点の写真
(c)stock.adobe.com

夏の海で気をつけたい生き物の一つがクラゲです。クラゲに刺されると、皮膚の痛みや赤みが起こるだけでなく、まれに呼吸困難や血圧低下などの重い全身症状が現れることがあります。

今回は、クラゲに刺されたときに起こる症状、日本の海で注意したいクラゲ、刺された直後の対処法について説明します。また、クラゲに刺された後に納豆アレルギーが起こることがあります。本コラムではクラゲと納豆アレルギーの関連についても説明します。

クラゲに刺されると、どのような症状が起こる?

クラゲの触手には、「刺胞」と呼ばれる小さな毒針が多数あります。触手が皮膚に触れると刺胞から毒が注入され、刺された部分に強い痛み、赤み、腫れ、かゆみなどが現れます。

多くの場合、症状は刺された場所に限られますが、体質やクラゲの種類によっては、全身に症状が広がることがあります。全身に広がる場合にはアナフィラキシーと呼ばれる重いアレルギー反応に注意が必要です。もし、次のような症状が現れた場合は、アナフィラキシーの可能性があります。

 

  • 全身に広がるじんましん
  • 顔や唇の腫れ
  • 喉が締め付けられる感じ
  • 息苦しさ
  • 強い腹痛
  • ふらつき
  • ぼんやりする意識

 

アナフィラキシーでは皮膚の症状が目立たなくても、急に呼吸が苦しくなったり、血圧が低下したりすることがあります。こうした症状があれば、ためらわずに救急車を呼んでください。過去にアナフィラキシーを起こしていている場合には、アドレナリン自己注射薬・点鼻薬(商品名:エピペン®ネフィー®)を処方されることがあります。エピペン®やネフィー®を処方されている人は、医師から説明された緊急性の高い状況で速やかに使用してください。使用をためらって経過を見るのではなく、早く使用することが大切です。

過去にクラゲ刺傷で重い症状が出た人は、海に入る前に、そのことを家族や同行者に伝えておきましょう。

 

クラゲに刺されたときの対処法について

クラゲに刺されたら、まず落ち着いて海から上がり、監視員や周囲の人に知らせることが重要です。強い痛みや体調不良がある状態で泳ぎ続けると、パニックや意識障害によって溺れる危険があります。

触手が見える場合は、手袋やピンセットなどを使って、触手を取り除きます。道具がない場合には、海水で静かに洗い流す方法が選択肢になります。触手を取り除いた後は、痛みを和らげるために温水で患部を温めても問題ありません。(1, 2)

「クラゲに刺されたら酢をかける」と聞いたことがある人もいるかもしれませんが、クラゲの種類にもよるため、自己判断でかけず、海水浴場の監視員や地域の案内に従うのが安全です。強い痛みが続く場合、広い範囲を刺された場合、または呼吸困難、嘔吐、ふらつき、意識の変化などが現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。

 

日本の海で注意したいクラゲ

カツオノエボシ、アカクラゲ、アンドンクラゲ

日本の沿岸にはさまざまなクラゲが生息しています。刺傷による被害が多い、または毒性が強い代表的な種類を紹介します。

 

ハブクラゲ

沖縄県の沿岸に生息する、毒性の強いクラゲの一種です。沖縄県では被害が増える6-9月にハブクラゲ発生注意報を出しています。刺されると激しい痛みを生じ、広い範囲を刺された場合には、呼吸や循環に影響する重い症状を起こすことがあります。(文献3)

 

カツオノエボシ

カツオノエボシは、台風や強い南風の後などには、神奈川県をはじめとする本州の太平洋岸にも漂着します。カツオノエボシは触手に強い毒を持ち、刺されると電気ショックのような痛みが走るとされています。浜辺に打ち上げられたものや、死んでいるように見えるものにも刺される可能性があるため、絶対に触らないでください。(文献4, 5)

 

アンドンクラゲ

お盆付近に日本各地の沿岸で見られるクラゲです。箱型の傘に四隅に触手が4本あり、無色透明で水中では見つけにくいのが特徴です。デンキクラゲと呼ばれ、ビリビリとした強い痛みが起こるのが特徴です。

 

アカクラゲ

日本近海の北海道以南に広く分布し、地域によっては春から夏に見られます。傘に褐色の縞模様があり、長い触手を持っています。刺されると強い痛みを生じるため、海中だけでなく、浜辺に打ち上げられたものにも注意が必要です。(文献6)

 

クラゲと納豆アレルギーの意外な関係

クラゲ刺傷には、もう一つ意外な話があります。それが、納豆アレルギーとの関連です。(文献7)

納豆のネバネバの主成分であるポリγグルタミン酸(PGA)は、納豆アレルギーの主要な原因物質の一つです。PGAはクラゲの刺胞や触手にも関連しており、クラゲに繰り返し刺されることで皮膚からPGAが入り、その後、納豆を食べた際にアレルギー症状が起こる可能性が考えられています。

2018年に報告された研究では、納豆アレルギー患者13人のうち12人にマリンスポーツ歴があり、11人がサーフィンを行っていました。マリンスポーツへの反復参加とPGAへの感作との強い関連が示されてます(文献8)。サーフィンなどのマリンスポーツを頻繁に行っている人や、クラゲに刺された経験がある人が、納豆を食べた数時間後にじんましん、腹痛、嘔吐、息苦しさなどを繰り返す場合には、納豆アレルギーの可能性があるため、アレルギー専門医に相談してください。

 

正しい知識で、夏の海を安全に

クラゲ刺傷の多くは、刺された部分の痛みや腫れで治まります。しかし、まれに重い毒作用やアナフィラキシーが起こることがあります。呼吸困難、繰り返す嘔吐、ふらつき、意識の変化などがあれば、直ちに救急車を呼んでください。

海ではクラゲを見つけても触らず、浜辺に打ち上げられたクラゲにも近づかないようにしましょう。クラゲを刺されたときの正しい対処法と、緊急性の高い症状を知っておくことが大切です。

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。