クラゲに刺されたらどうする? 応急手当を解説
梅雨が明けて海水浴に行く人も多い時期となってきました。混雑を避けるなど新型コロナウイルス感染症の対策も心がけつつ、海では多くのトラブルが起こりうることにも留意したいものです。その一つがクラゲに刺されることです。クラゲは夏の海によく現れ、お盆以降に多くなりやすいタイプのクラゲもいます。
このコラムではクラゲに刺されてしまった時に、どのように対処すればよいかポイントを説明します。
1. まずは海から上がって、海水でよく洗い流す
クラゲの種類によりますが、クラゲに刺されると強い痛みや痒みが出ます。触手の触れた部位が線状に腫れ上がることもあります。
海の中でクラゲに刺されるとパニックになってしまうこともありますが、まずは二次被害を防ぐためにも落ち着いて海から上がってください。海の中にいると再度刺されたり、重症で倒れてしまった際にそのまま溺れる危険があります。
陸に上がったら、腫れている部分を海水でよく洗い流してください。クラゲに刺されたところに、毒入りの針(刺胞)が残っている場合があるからです。この際、水道水で洗い流すことは避けてください。淡水は刺胞を刺激して、さらに毒液が出てくる可能性があります。
また、触手が残っているのが肉眼的に分かる場合には、可能であればピンセットなどで触手を取り除きます。素手で取り除くのは危険なので避けてください。ピンセットがなければ、手袋やタオル越しでも構いません。ただし、取り除く際に触手を刺激するとさらに
2. 地元のライフセーバーや医療機関に相談を
自分や付き添いの人で上記の処置をしたら、近隣に地元のライフセーバーさんなどが居ないか確認してみてください。その季節にその地域でよく現れる種類のクラゲと、その対処法に詳しいことが多いです。
また、近隣の医療機関にまずは電話で相談してみるのも良い方法です。現地の医療機関であれば周辺のクラゲ事情に詳しく、速やかに受診したほうがよいのか、あるいはあまり問題にならない可能性が高いか、など参考になる情報を教えてくれると思います。
参考までに、例えばハブクラゲ(沖縄周辺などに生息)やオーストラリアウンバチクラゲ(オーストラリアなどに生息)に刺された人では命に関わることもあるので、速やかに医療機関を受診する必要があります。一方で、本州でお盆前後の時期に増えるアンドンクラゲ(日本中広範囲に生息)に刺された人であれば、痛みはそれなりにありますが重大な事態になることは少ないです。腫れている部分に塗り薬(外用ステロイド薬など)を使用していれば、次第に症状は落ち着いてきます。
ただし、毒性がそれほど強くないとされているクラゲに刺された人でも、強い
3. おわりに
ここまでクラゲに刺された時の対応について解説しました。もしもの時には慌ててしまうこともあると思いますので、下記に簡単にポイントをまとめます。
【海中でクラゲに刺された時の対応のポイント】
①まずは速やかに海から上がる
②刺された部分を海水でよく洗い流す
注意:水道水では洗わない
③触手はピンセットで取り除けそうなら、取り除く(ピンセットがなければ手袋やタオル)
注意:素手では触らない
④ライフセーバーや近隣の医療機関に相談する
このポイントを押さえておけば最低限の応急手当として十分ですが、より詳しく知っておきたい人はこちらのページも参考にしてください。
海に行く人は、海での事故や過度な混雑に十分気をつけて、マリンレジャーを楽しんでください。今回のコラムが、万が一クラゲに刺された時に落ち着いて対処できる一助になれば幸いです。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。