リリカの効果と副作用は?神経障害性疼痛やしびれに対する効果について
この記事のポイント
2.神経性疼痛のメカニズムと『リリカ®』の作用機序
3.痛みの分類:『リリカ®』と『ロキソニン®』の使い分けについて
4.『リリカ®』の全般性不安障害への効果
5.『リリカ®』の副作用:眠気やめまいに注意
『リリカ(成分名:プレガバリン)』はおもに神経が原因となる痛みに対して効果が期待できるお薬です。通常、「痛み止め」というと『ロキソニン』などが思い浮かびますが、帯状疱疹の後遺症や糖尿病性神経障害などの神経性のしびれや痛みに対しては、『リリカ』のような神経障害に特化した鎮痛薬が処方されます。今日は『リリカ』の効果と副作用について解説を行います。
◆神経性疼痛のための鎮痛薬『リリカ®』とは
『リリカ®(成分名:プレガバリン)』は、神経に原因がある痛みなどに対して効果のある薬です。
痛覚(痛みの感覚)が過敏になったり、神経が損傷することにより生じるような神経の痛みには『ロキソニン®(成分名:ロキプロフェンナトリウム)』等の一般的な消炎鎮痛薬(
そこで、このような痛みには『リリカ®』などの神経に対して作用する薬が効果を発揮します。
◆神経障害性疼痛のメカニズムと『リリカ®』の作用機序
神経障害性
神経の興奮が起こる因子の一つにCa2+(カルシウムイオン)があります。Ca2+がCa2+チャネルという通り道から神経前シナプス内へ流入することにより、神経が興奮し様々な神経伝達物質が過剰に放出され、疼痛が引き起こされるのです。
『リリカ®』の主成分であるプレガバリンはCa2+チャネルのα2δサブユニットという部位に結合します。すると神経細胞でのCa2+チャネルの細胞表面での発現量やCa2+の流入が低下し、神経伝達物質の放出が抑えられます。
この結果、鎮痛作用があらわれ神経性の痛みを和らげる効果が期待できます。
またプレガバリンの鎮痛作用には中枢にある鎮痛機構の「下行性疼痛抑制(調節)系」に対しての作用も関係しているとされています。1)
◆痛みの分類:『リリカ®』と『ロキソニン®』の使い分けについて
ひとことに痛みと言っても、その原因によって大きく3種類に分類されます。
- 侵害受容性の痛み
- 神経障害性の痛み
- 心因性の痛み
違う原因による痛みもあります。例えば帯状疱疹の後に残った痛み(帯状疱疹後神経痛)におけるヒリヒリ・ズキズキする痛みや針で刺すような痛み、糖尿病性神経障害におけるピリピリ・ジンジンするような痛みなどは「神経障害性の痛み(神経障害性疼痛)」に分類されます。こうした神経の痛みには一般的な鎮痛薬(NSAIDsなど)では効果が不十分であることが多いため『リリカ®』などの神経へ効果をあらわす鎮痛薬や鎮痛補助薬が必要になります。
ほかに、おもに心理的な要因が関連して起こる痛みは「心因性の痛み」に分類されることがあります。こうした痛みには薬による治療の他、
また、以上3種類の痛みが複雑に絡み合って痛みを生じることもあります。
例えば椎間板ヘルニアなどでは、実際に炎症が起きている部分では「侵害受容性の痛み」、また傷ついた神経により「神経障害性の痛み」が生じることがあります。
このような場合、『ロキソニン®』や『ボルタレン®(成分名:ジクロフェナクナトリウム)』などのNSAIDsに加えて『リリカ®』や『ノイロトロピン®(成分名:ワクシニア
◆『リリカ®』の全般性不安障害への効果
『リリカ®』の主成分であるプレガバリンは、全般性不安障害に対する効果も報告されています。2,3)
一部の
◆『リリカ®』の副作用:眠気やめまいに注意
『リリカ®』の副作用の中でも比較的頻度が高く特に注意が必要なものとして眠気やふらつきなどがあります。高齢者や
通常、服用の際には眠気やめまいなどを考慮して薬剤の量を少ない量から開始するなどの配慮がされたり、継続して服用しているうちに次第に薬に慣れてきて眠気などが減少することが多いとされています。それでも薬を飲み始めて初期の頃や薬剤を増量する際などには特に注意が必要です。
その他の注意すべき副作用としては頭痛、不眠、便秘、
今回は神経障害性疼痛に対する『リリカ®』を一般的な痛み止めであるNSAIDsとの違いなどから、おもにその有用性や注意点についてみてきました。『リリカ®』は神経障害性疼痛のほか、線維筋痛症にも保険適用を持ち、多くの神経性の疼痛などに対して効果が期待できる薬剤になっています。
「痛み」は種類により様々な原因があり、
【編集部注】この記事は、「お薬Q&A ~Fizz Drug Information~」のサイト内で公開中の記事をもとに作成しています。
※ 本記事に登場する薬剤に関して、株式会社メドレーは特定の製薬企業との利害関係はありません
1) リリカ®カプセル インタビューフォーム
2) Am J Psychiatry.160:533-40,(2003)
3) Int Clin Psychopharmacol.24:87-96,(2009)
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。