心不全 - 基礎知識(症状・原因・治療など) | MEDLEY(メドレー)
しんふぜん
心不全
心臓の機能が低下して血液を十分に送り出せない状態。さまざまな心臓の病気が原因となり起こる
18人の医師がチェック 111回の改訂 最終更新: 2021.10.11

心不全の基礎知識

POINT 心不全とは

心不全とは心臓の機能が低下している状態を指します。急に心機能が低下した場合(急性心不全)と普段から持続的に心機能が低下している場合(慢性心不全)の2つに大別できます。心不全になる原因は心筋梗塞・不整脈・弁膜症など多くのものがあります。主な症状は息切れ・身体のだるさ・食欲低下・呼吸困難感・むくみなどになります。 症状と身体所見に加えて、画像検査・血液検査・心電図検査・心臓エコー検査を用いて診断します。心不全の原因によって治療方法は異なります。心臓カテーテルを用いた治療を行ったり薬物治療を行ったりします。心不全が心配な人や治療したい人は、循環器内科を受診して下さい。

心不全について

  • 心臓の機能や血管に異常が起こり、十分な血液を送り出せない状態十分な血液を送り出せないと、送り出される前の血液が溜まり「うっ血」を起こす
    • 高速道路の料金所が順調に車を通過させないと、料金所の前に渋滞ができるのと同じようなことが起こっている
  • さまざまな心臓の病気が原因で心臓が弱ってしまった結果起こる
  • 時間的に分類として2つのタイプがある(詳細はそれぞれの疾患を参照)
    • 急性心不全
      • 何らかの原因で急激に心臓の機能が低下した状態
    • 慢性心不全
      • 普段から心臓の機能が低下している状態
  • 心臓の右側の機能低下と左側の機能低下で分類する事もできる
    • 右心不全
      • 心臓の右側の機能が低下した状態
      • 体全体の血管にうっ滞が起こる
      • 下半身や顔などに浮腫が起こり、進行すると息切れや動悸を感じる様になる
    • 左心不全
      • 心臓の左側の機能が低下した状態
      • 肺の血管にうっ滞が起こる
      • 浮腫は目立ちにくいが息切れを感じることが多い
詳細な情報を見る

心不全の症状

  • 心不全の主な症状
    • 息切れ、疲れやすさ
    • 全身のだるさ、食欲低下
    • 呼吸困難
    • 足やすねのむくみ
症状の詳細

心不全の検査・診断

  • 診察:症状の程度と様子から、診断する
  • 心電図:心臓を動かす電気信号に異常がないかなどを調べる
  • 血液検査:心臓の負担の程度(BNPという値)などを調べる
  • 画像検査:心臓の大きさや動きに異常がないかなどを調べる
    • 胸部レントゲン検査
    • 心臓超音波心エコー)検査
  • 冠動脈造影検査:心カテーテルを使って、心臓の精密な動きや血管の流れの状態を調べる
検査・診断の詳細

心不全の治療法

  • 治療の原則は「まず症状を改善し、その上で心臓にかかる負担を減らす」こと
  • 心臓にかかる負担の減らし方は次の2つがメインとなる
    • 心臓がこなさなければならない仕事量を減らす(前負荷を取る)
      • 安静にする
      • 利尿薬で血液の量を減らす
    • 全身の血管を緩めて、心臓が弱っていても血液が流れやすい状態にする(後負荷を取る)
      • 降圧薬(硝酸薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬など)
    • 心臓に流れ込む血液の量を減らし、うっ血を防ぐ
      • 利尿薬
      • 飲水制限
    • その他
      • 心臓の動き自体を頑張らせるような薬もあるが、慢性心不全に用いると逆効果になる場合がある
      • 糖尿病治療薬であるフォシーガ®は2020年11月27日に慢性心不全に対する治療効果が認められたため使用可能となった
      • 薬の選択は心不全の治療に慣れた医師の元で行うとより安全である
  • 詳細な治療は、急性心不全慢性心不全で異なる
    • 詳しい内容は詳細記事に記載
治療法の詳細

心不全に関連する治療薬

ループ利尿薬

  • 尿による水分排泄を増やすことで体内の過剰な水分などを排泄し、むくみ(浮腫)などを改善する薬
    • 腎臓の尿細管では尿(原尿)に含まれる水分などを血液中へ戻す再吸収が行われている
    • 本剤は主に尿細管のヘンレループという部位での再吸収を抑えることで尿としての水分排出を増やす作用をあらわす
    • 本剤により体内の過剰な水分が排泄されるため、むくみの改善や血圧を下げる効果などが期待できる
  • 薬剤によっては高血圧症や心不全などに使われる場合もある
ループ利尿薬についてもっと詳しく

カリウム保持性利尿薬

  • 尿として体内の過剰な水分などを排泄し、むくみ(浮腫)や血圧などを改善する薬
    • 腎臓の尿細管では尿(原尿)に含まれる水分などを血液中へ戻す再吸収が行われている
    • 副腎皮質ホルモンのひとつアルドステロンは尿細管(主に遠位尿細管)での再吸収を促す
    • 本剤はアルドステロンの働きを抑える作用などにより尿細管での再吸収を抑え尿量を増やすことで、むくみや血圧などを改善する
    • 本剤は体カリウムイオンの排泄を抑える作用もあらわす
  • 他の種類の利尿薬(ループ利尿薬など)と併用される場合もある
    • 他の利尿薬によるカリウム排泄を低減させることで、こむら返りなどを抑える効果も期待できる
  • 心性浮腫や腎性浮腫などのほか、薬剤によっては栄養失調性の浮腫に使用する場合もある
カリウム保持性利尿薬についてもっと詳しく

ジギタリス製剤

  • 心筋の収縮力を強くし、速くなりすぎた脈を整え、心不全などの治療に使用される薬
    • 心不全では心臓や血管の異常により、全身に十分な血液を送り出せていない
    • 心筋は細胞内のカルシウムイオンの濃度が高まると収縮力が増大する
    • 本剤は心筋細胞内のカルシウムイオン濃度を高め、心臓の拍動を強め、強心作用をあらわす
  • 治療有効域が狭い薬とされる
    • 薬が治療に役立つ薬物濃度の有効域が狭く、中毒域と有効域が接近している薬
    • 薬が適切に効いているかなどを血液中の薬の濃度を測定して観察していく必要がある
    • 体の状態の変化や併用薬などによっても副作用がおこる場合がある
ジギタリス製剤についてもっと詳しく

心不全の経過と病院探しのポイント

心不全が心配な方

心不全は、病名というよりも状態を表す言葉です。心臓の働きは全身へ血液を送り出すことで、この役目が十分にこなせていない状態を心不全と呼びます。心臓そのものに異常があって心臓の収縮力が低下してしまうのも原因の一つですし、心臓の隣りにある肺(の血管)が原因だったり、肺に限らず全身の血管の動脈硬化や血管内の水分が多すぎることが原因となったりします。

このようなことが原因となって心不全に至ると、全身のむくみや息切れが生じます。数時間から数日の経過で急に心不全に至った場合には急性心不全と呼び、元々心臓の機能が低下した状態が続いていることを慢性心不全と呼びます。

息切れやむくみが生じている場合には、心不全の可能性があります。どちらか一方だけであれば心不全以外の原因のことも多いのですが、息切れとむくみが両方揃うと心不全の可能性は高まってきます。そのような症状があって心配になった時には、もしかかりつけの内科クリニックがあれば、まずはそこで相談してみることをお勧めします。特に普段かかっている病院がなければ、一般内科、もしくは循環器科クリニックの受診も良いでしょう。

急性心不全慢性心不全では対応が変わってきますので、治療法や対応についてはそれぞれのページもご参考になさってください。

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