きゅうせいしんふぜん
急性心不全
何らかの原因で心臓の機能が低下し、全身に十分な血液を送れないことによる症状が急に出現した状態
15人の医師がチェック 92回の改訂 最終更新: 2017.07.20

急性心不全の基礎知識

急性心不全について

急性心不全の症状

  • 主な症状
    • 急激に進む呼吸困難
      ・横になると苦しくなる(起座呼吸)
    • 痰と咳
      ・痰はピンク色の泡状のことがある
    • 唇が紫色になる(チアノーゼ
    • 冷や汗
    • 脈が速くなる
    • 尿量の減少
    • むくみ、体重の増加
  • うっ血性心不全の症状が急激に起こる

急性心不全の検査・診断

  • 血液検査:心臓への負担のかかり度合いなどを調べる
  • 心臓の動きや大きさを調べる
    • 心電図
    • 胸部レントゲン検査(X線写真)
    • 心臓超音波検査
  • 心不全の程度を検査することと、原因となっている病気が何かを調べることが重要

急性心不全の治療法

  • 治療は一刻を争うため、診断と治療は同時に行う
  • 主な治療
    • 酸素吸入
    • 利尿薬:体の水分を減らして心臓の負担を軽くする
    • 血管拡張薬:血管を拡げて血液を流れやすくする
    • 強心薬:心臓の働きを良くする
    • カルペリチド:利尿と血管拡張の作用がある
    • 呼吸の状態が悪い場合は人工呼吸
  • 診断がつき次第、原因の病気(急性心筋梗塞不整脈など)に対する治療を行う

急性心不全に関連する治療薬

ループ利尿薬

  • 尿による水分排泄を増やし体の過剰な水分や塩分を排泄し、むくみなどを改善する薬
    • 腎臓の尿細管という管のヘンレループという水分吸収に関わるところで血管へ水分が吸収される
    • 本剤はヘンレループでの水分移動を阻害し体内の水の量を減らし、尿として水分を体外へ排泄する
    • 体の水の量が減るとむくみが減り、血圧が下がる
  • 薬剤によっては高血圧症などへ使用する場合もある

ループ利尿薬についてもっと詳しく

カリウム保持性利尿薬

  • 尿を増加させ、体の過剰な水分などを排出し、むくみや血圧を改善する薬
    • 腎臓における尿細管というところでは尿から血管へ水分の吸収がされる
    • 本剤は尿から血管への水分吸収を阻害し、尿量を増やして体内のむくみなどを減らしたりすることで血圧などを改善する薬
    • 本剤は体内からカリウムイオンが排泄されるのを抑える作用がある

  • 他の種類の利尿薬(ループ利尿薬 など)との併用で使用される場合もある
    • 他の利尿薬によるカリウム排泄を抑えることで、体のつりやこむら返りなどを抑える効果が期待できる
  • 心性浮腫、腎性浮腫の他、薬によっては栄養失調性の浮腫などにも使用する
カリウム保持性利尿薬についてもっと詳しく

ピモベンダン(心不全治療薬)

  • 心筋におけるCa(カルシウム)イオンの感受性の増強作用などにより、心筋機能を改善させ、心不全による症状を改善する薬
    • 心不全は何らかの原因により心臓の働きが弱くなり、息切れや息苦しさなどの症状があらわれる
    • 心筋の収縮は心筋細胞内のCaイオンなどの働きによっておこる
    • 本剤は心筋のCaイオン感受性の増強作用やPDE3(ホスホジエステラーゼ3)という酵素の阻害作用により心筋機能の改善作用をあらわす

ピモベンダン(心不全治療薬)についてもっと詳しく

急性心不全の経過と病院探しのポイント

急性心不全が心配な方

心不全は、病名というよりも状態を表す言葉です。心臓の働きは全身へ血液を送り出すことで、この役目が十分にこなせていない状態を心不全と呼びます。心臓そのものに異常があって心臓の収縮力が低下してしまうのも原因の一つですし、心臓の隣りにある肺(の血管)が原因だったり、肺に限らず全身の血管の動脈硬化や血管内の水分が多すぎることが原因となったりします。

このようなことが原因となって心不全に至ると、全身のむくみや息切れが生じます。このうち数時間から数日の経過で急に心不全に至った場合に急性心不全と呼ばれます。

息切れやむくみが生じている場合には、心不全の可能性があります。どちらか一方だけであれば心不全以外の原因のことも多いのですが、息切れとむくみが両方揃うと心不全の可能性は高まってきます。そのような症状があって心配になった時には、もしかかりつけの内科クリニックがあれば、まずはそこで相談してみることをお勧めします。特に普段かかっている病院がなければ、一般内科、もしくは循環器科クリニックの受診も良いでしょう。

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急性心不全でお困りの方

急性心不全の治療は、病状やその原因によって変わってきます。体内に必要以上の水分が溜まってしまっていることが原因の心不全であれば、利尿薬や血管拡張薬と言われる薬を使用します。体内の水分を尿として排泄したり、血管を拡げて水分の収まるスペースを作り出したりといった目的です。

心臓が脈打つ力が弱まっていることが原因の場合には、心臓の拍動を強めるような薬が有効です。しかし薬剤ではカバーしきれないような時は大動脈内バルーンパンピングといって大動脈(心臓から出る太い血管)内に長い風船状の機器を入れる処置を行うことがあります。これには大切な冠動脈へ血液を送りこむ目的と、心臓の負担を減らす目的があります。

ここまでは心不全を補うための治療ですが、心不全を引き起こしている明らかな原因がある場合には、それを解決しなければいつまでも心不全は改善しません。例えば全身の感染症が原因になっていたら抗生物質(抗菌薬)が心不全の治療薬にもなりますし、心筋梗塞が原因であればカテーテル治療が必要となるかもしれません。(急性)心不全という病気があるわけではなく、心不全はあくまでも病状の一つなのです。

このように色々な原因があってさまざまな治療法が必要な急性心不全を治療するには入院の上での治療が必要です。循環器内科に入院して治療を受けることになるでしょう。基本的には循環器内科がある病院であれば対応は可能なのですが、大量の酸素を吸入しても呼吸が落ち着かなかったり、先述した大動脈内バルーンパンピングが必要であったりするような重症の場合にはより専門性の高い施設に移動した上で治療を受けることがあります。ICU(集中治療室)やCCU(冠動脈集中治療室)と呼ばれるような設備がある病院や、循環器専門医の多くいる病院などです。重症度が極めて高い場合には、虚血性心疾患弁膜症など心不全の原因によって心臓手術が必要になります。そのような時には循環器内科医だけでなく心臓血管外科医(心臓外科医)もいる病院であることが条件となるでしょう。

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