にゅうがん

乳がん

乳腺に発生する悪性腫瘍。女性に多いが、男性に発症することもある

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14人の医師がチェック 154回の改訂 最終更新: 2017.05.21

乳がんの基礎知識

乳がんについて

  • 乳腺に発生する悪性腫瘍無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある
    • 乳房には、母乳を作る乳腺がある
  • 乳がんの発生や成長には女性ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるエストロゲン女性ホルモンの一種で、ステロイドホルモンの仲間。女性生殖器の発達や、子宮内膜の増殖などの作用をもつ)が関わっている
    • エストロゲンが出ている期間が長いと乳がんができやすくなる
  • エストロゲンが長く分泌される原因
    • 初経年齢が若い
    • 閉経が遅い
    • 出産歴・授乳歴がない、高齢出産
    • 経口避妊薬排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑える薬剤。エストロゲンとプロゲステロンといった、いわゆる女性ホルモンを含む薬剤である(ピル)を使っていたことがある
    • ホルモン補充療法の経験がある(更年期障害の治療など)
  • その他に、乳がんの危険が高くなる例として以下のものが挙げられる
    • 乳がんの家族歴
    • 飲酒
    • 肥満
  • BRCA1、BRCA2という遺伝子の異常により乳がんと卵巣がんのできる確率が上がる例があり、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)とも呼ばれる
    • ただしこれは一部の乳がんのみに当てはまることであり、この遺伝子異常がなくても乳がんになることは十分にありえる
    • 遺伝子異常があっても乳がんにならない場合もある
  • 頻度
    • 40歳代から患者数が増加し、50歳前後での発症症状や病気が発生する、または発生し始めることが最も多い

乳がんの症状

  • 乳房のしこり(硬い塊に触れること)
    • 乳房の上外側(脇の下の近く)に最もできやすい
    • 乳がん以外の良性病気の中でも、相対的に経過が悪くないもの。多くの場合、腫瘍をつくる病気に対して、悪性腫瘍と対比させるために使われる用語の病気でもしこりはできる
  • 乳房の皮膚のくぼみ
    • 乳がんが皮膚の近くにあると皮膚を引っ張って、えくぼのようなくぼみができる
  • 脇の下のリンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるに触れる
    • 乳がんがあると脇の下のリンパ節に転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いをきたしやすい
    • 脇の下のリンパ節に転移した場合は、こりこりとした硬いリンパ節を触れることがある

乳がんの検査・診断

  • マンモグラフィX線(レントゲン)を用いて、乳房にがんがないかを調べる検査
    • 乳房を上下、斜めから挟んで撮影するレントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査
    • 40歳以上の女性は2年に1回検診を受けることが推奨されている
  • その他の画像検査:がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるの大きさ、位置、転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いがあるかどうかなどを確認する
    • 超音波検査空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができる
    • CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査リンパ節転移がんが周りのリンパ節に転移している状態。通常、がんは周りのリンパ節に転移した後、さらに遠くの臓器に転移する(遠隔転移)、また全身への転移についても診断できる)
    • 胸部MRI磁力(電磁波)を用いて、胸の中の状態を調べる検査(MRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査のほうがCTよりも乳腺自体は見やすいと言われている)
  • 生検病気(病変)の一部を採取すること。また、それを顕微鏡で詳しく調べる検査のこと。病気の悪性度の確認や、他の検査では診断が難しい病気の診断のために行われる
    • 腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるの存在が疑われた場合に、(超音波で病変病気が原因となって体に生じた、あるいは変化が起きた、その特定の部位のことを見ながら)針を刺して細胞を吸い取って、それが良性腫瘍「がん」ではない腫瘍。無制限に大きくなったり、転移したりする悪性腫瘍とは異なるが、部位やサイズによっては手術が必要となる悪性腫瘍無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるかなどを確認する(針の太さが太いほど取れる組織が大きく診断の正確性、またホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれる製剤などへの反応性、乳癌の中での悪性度悪性腫瘍(がん)の進行・転移・再発のしやすさを総合的に判断する指標の高さを示す指標を調べることができる)
    • 生検でとりだした細胞を顕微鏡で見ることで、悪性腫瘍の診断が確定される
  • 乳がんのステージがんの進行の程度を示す言葉。がんの大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響するは「腫瘍の大きさ」「周囲のリンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるへの転移」「離れた臓器への転移」の3つから決定される

乳がんの治療法

  • 乳がんの主な治療法
    • 手術
    • 放射線療法主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法
    • 薬物療法
  • 治療法は以下の要素を総合的に判断して決定する
    • ステージがんの進行の程度を示す言葉。がんの大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響する
    • がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある悪性度悪性腫瘍(がん)の進行・転移・再発のしやすさを総合的に判断する指標
    • ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれる製剤への反応性 など
  • 手術について
    • 比較的早期のがんであれば手術を検討
    • 手術は大きく2種類
      ・乳房部分切除術(乳房を残してがんの部分とその周りを切り取る手術)
      ・乳房切除術(乳房を全部切り取る手術)
    • 乳房再建術:乳房切除後に乳房を再建する手術
    • 脇の下のリンパ節体全体にある、免疫を担当する器官の1つ。感染や免疫異常、血液のがん、がんの転移などで腫れるを取って検査したり、転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いがある可能性を考えて取り除く(腋窩リンパ節郭清)場合が多い
    • 乳がんでは放射線療法や薬物療法を組み合わせる場合が多い
      ・乳房部分切除術をした場合には術後再発予防で放射線治療主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法を行う
  • 薬物療法について
    • 薬物療法は大きく3種類
      化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称
      ・分子標的薬(HER2タンパクが多い乳がんの細胞を狙い撃ちする薬を使う)
      ・ホルモン療法(エストロゲン女性ホルモンの一種で、ステロイドホルモンの仲間。女性生殖器の発達や、子宮内膜の増殖などの作用をもつを抑える治療、閉経前後で使う薬剤が異なる)
    • 乳がんのタイプ(サブタイプという)によって効果的な治療法が異なる
  • 5年生存率診断、治療開始から5年経過後に生存している患者の割合。命に関わるがんなどの病気で用いられることが多い数値(5年間生きる人の割合)は早期(ステージ1か2)で見つかれば90%以上である
  • 転移する臓器としては骨、肺、脳、肝臓などが一般的に多いとされる

乳がんに関連する治療薬

抗がん性抗生物質(アントラサイクリン系)

  • 細胞の増殖に必要なDNAやRNAの合成を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAやRNAの合成が必要となる
    • 本剤は細胞内のDNAに結合するなどしてDNAやRNAの合成を阻害するなどして抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は土壌などに含まれるカビなどの微生物由来の薬剤であり抗がん性抗生物質と呼ばれる
抗がん性抗生物質(アントラサイクリン系)についてもっと詳しく

アロマターゼ阻害薬

  • アロマターゼ阻害作用によりエストロゲンの生成を阻害し、乳がんの発生や成長を抑える薬
    • 乳がんは乳腺や乳管にできたがんであり、乳がんの発生や成長には女性ホルモンのエストロゲンが関与する
    • 閉経後の女性ではエストロゲンは主に男性ホルモンであるアンドロゲンから変換され作られる
    • アンドロゲンからエストロゲンへ変換する酵素をアロマターゼという
  • 本剤の特徴的な副作用として関節痛、骨粗しょう症などがあらわれる場合がある
  • 本剤は成分の化学構造などにより、非ステロイド性とステロイド性に分かれる
アロマターゼ阻害薬についてもっと詳しく

NK1受容体拮抗薬

  • 抗がん薬による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬
    • 抗がん薬投与による悪心・嘔吐は延髄に嘔吐中枢に刺激が伝わりおこる
    • 脳のCTZや中枢神経に多く存在するNK1(ニューロキニン1)受容体が作用を受け嘔吐中枢に刺激が伝わる
    • 本剤はNK1受容体を阻害することで嘔吐中枢への刺激を抑える
  • 原則として、5-HT3受容体拮抗薬と併用して使用する
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