しんぼうさいどう

心房細動

高齢者では最も多く見られる不整脈である。血流が滞ることで心臓内に血栓を作ることがあり、脳梗塞などの原因となる

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18人の医師がチェック 141回の改訂 最終更新: 2017.07.21

心房細動の基礎知識

POINT心房細動とは

心房細動は心臓の中でも心房という部位で異常な電気信号が起こることが原因で生じる不整脈です。加齢や弁膜症、高血圧症などが心房細動の原因となります。主な症状は動悸・ふらつき・失神などですが、症状が続いて心不全になると息切れやむくみなどが出現します。 症状や身体診察に加えて、心電図検査や心臓エコー検査を用いて診断します。治療は薬物療法がメインですが、血圧が下がったり失神したりした場合は電気的除細動を行う場合もあります。心房細動が心配な人や治療したい人は、循環器内科を受診して下さい。

心房細動について

  • 不整脈の一種。心房が異常に細かく動くことで、血液を全身に送り出す効率が悪くなってしまう
  • 持続時間により発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多い性心房細動と慢性心房細動に分けられる
    • 発作性心房細動
      ・発作のように一時的に心房細動が出現する
    • 慢性心房細動
      ・ずっと持続的に心房細動の状態である
      ・発作性心房細動から慢性心房細動になることもある
  • 主な原因
  • 高齢者に多く見られる不整脈であり、80歳以上では10人に1人が罹患していると言われている
  • 心房細動自体で命に関わることは少ない
  • 心房細動によって心臓の中にできた血のかたまり(血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多い)が脳梗塞を起こすことがあり、血栓を作らないように予防する治療が重要
    • 心房細動では心臓が細かく不規則に動き、心臓が血液をしっかりと送り出せなくなる
    • すると心房内でよどんだ血液の中に血のかたまりができやすくなってしまう
    • 脳の血管に血のかたまりが飛ぶと、心原性脳梗塞脳梗塞の一種)を起こす

心房細動の症状

  • 主な症状
    • 発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多い性心房細動の場合
      ・突然開始する動悸心臓や太い動脈の脈拍を自覚すること。精神的な緊張や運動だけでなく、ホルモンバランスの異常や貧血など、様々な病気の症状として起こる
      ・無症状の場合も多い
    • 慢性心房細動の場合
      ・慣れてしまうため症状を感じないことが多い
  • 症状の特徴
    • 動悸(ドキドキを実感したり、脈が速くなったり、脈が飛んだりする)
    • ふらつき
    • 失神脳への血流が一時的に足りなくなることによって、意識を失うこと
  • 心房細動が長期に続くと心不全を起こすことがある

心房細動の検査・診断

  • 心電図心臓から出ている弱い電気を感知して、心臓の状態を調べる検査:心臓の電気の流れに異常がないかなどを調べる
    • 必要に応じてホルター心電図首からかけられるサイズの心電図計を丸一日間着用して、心臓の状態を調べる検査。通常の心電図検査よりも情報量が多い(24時間型心電図)を行う
  • 心臓超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、心臓の状態を調べる検査:主に以下を調べる
    • 心臓の中の血のかたまり、弁膜症の有無
    • 左房が拡大しているかどうか
    • 心機能
  • 経食道心臓超音波検査胃カメラとエコー検査の機械が一体化した管状の機器を用いて、食道の内側から心臓を詳細に観察する検査
    • 心臓の中の血のかたまりがあるかどうかを詳しく調べる必要がある場合に行うことが多い
    • 食道に内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるを入れて検査を行う
    • 肋骨が邪魔しないので通常の超音波検査空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができるよりも調べやすい

心房細動の治療法

  • 心房細動の治療は大きく2つに分類される
    • 心房細動の治療
    • 脳梗塞などの血栓血管や心臓の中にできた、血のかたまりのこと。血流が悪くなることが原因で、生じることが多い塞栓血液中を流された血栓などの異物が、細い場所で血管に詰まった状態。その先へ血流が流れにくくなってしまう症の予防のために抗凝固薬血液を固まりにくくする薬。不整脈に対して、血栓ができるのを予防する目的で用いられることが多いを使った治療(血液を固まりにくくする治療)
  • 心房細動の治療
    • 心房細動自体は、症状がなければ治療しなくても問題ない
    • 動悸心臓や太い動脈の脈拍を自覚すること。精神的な緊張や運動だけでなく、ホルモンバランスの異常や貧血など、様々な病気の症状として起こるなどの症状に対しては時間と共に慣れるのを待つことがある
    • 症状が強い場合は治療を行う
      ・脈が早い場合はカルシウム拮抗薬(商品名ワソランなど)やβ遮断薬が使われる
      ・脈が遅い場合は、ペースメーカー不整脈の治療に用いる小型の機械。心臓に電気刺激を与えて、脈を一定にコントロールするを埋め込む
    • ほか使われることがある薬剤
      ・ACE阻害薬
      ・ARB
      ・その他の抗不整脈薬(脈のリズムを整える)
    • 症状が強い場合や、血圧が下がってしまう状態(ショック十分な血流が保てず、全身の臓器に十分な酸素や栄養が届かなくなってしまった危険な状態。全身の臓器がダメージを受け、すぐに治療を行わないと命に関わる状態)のときは、電気的除細動不整脈の原因となる心室細動や心房細動を抑えて、正常な調律に戻す方法(電気ショック)で心房細動を止める処置を行うこともある
    • 薬で治療しきれない場合や症状が強い場合は、カテーテル治療カテーテルと呼ばれる細い管を、腕や脚の付け根の血管から挿入し、治療したい部位の近くまで血管内を進めて治療する方法不整脈を止めることもある
  • 抗凝固薬を使った治療
    • ワーファリンという薬が昔から使われている
    • ワーファリンは値段が安いが、適切な使用量を保つために定期的な採血(INR値を見る)が必要
      ・飲み始めは1週間に1回の採血、その後も1-2ヶ月ごとの採血が必要
      ・また薬を毎日飲まないと治療の効果が極端に落ちてしまう
    • ワーファリンは納豆やクロレラなど、ビタミン生物が生きていく上で必要な栄養素の一種。炭水化物、タンパク質、脂質以外の有機化合物のことKが含まれた食べ物を食べると効き目が落ちてしまう
    • 最近は定期的な採血が不要な抗凝固薬が登場し、治療の幅が広がっている
      ・食事制限をしなくて済む薬剤
      ・新しい薬は値段が高い
      ・どのくらい薬が効いているのかを客観的に評価しづらい(ワーファリンはINRという血液検査項目を見れば評価できる)
    • 抗血小板薬血小板が血栓を作る作用を抑えるための薬。脳梗塞などの予防に使用されるであるアスピリンは、血栓予防には通常用いない

心房細動に関連する治療薬

FXa阻害薬(抗凝固薬)

  • 体内の血液が固まる作用の途中を阻害し、血栓の形成を抑え脳梗塞や心筋梗塞などを予防する薬
    • 血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなる
    • 血液凝固(血液が固まること)には血液を固める要因になる物質(血液凝固因子)が必要である
    • 本剤は血液凝固因子の因子Xa(FXa)を阻害し、抗凝固作用をあらわす
FXa阻害薬(抗凝固薬)についてもっと詳しく

クマリン系抗凝固薬(ワルファリンカリウム製剤)

  • ビタミンKが関与する血液凝固因子の産生を抑え、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬
    • 血液が固まりやすくなると血栓ができやすくなる
    • 体内で血液を固める要因になる物質(血液凝固因子)の中にビタミンKを必要とするものがある
    • 本剤は体内でビタミンKの作用を阻害し、ビタミンKを必要とする血液凝固因子の産生を抑えることで抗凝固作用をあらわす
  • ビタミンKを多く含む食品などを摂取すると薬の効果が減弱する場合がある
    • 納豆、クロレラ、青汁などはビタミンKを多く含む
    • 本剤を服用中は上記に挙げた食品などを原則として摂取しない
クマリン系抗凝固薬(ワルファリンカリウム製剤)についてもっと詳しく

β遮断薬

  • β受容体遮断作用により血圧、心拍数などを抑えることで高血圧、狭心症、頻脈性不整脈などを改善する薬
    • 心臓の拍動が過剰だと高血圧、狭心症、頻脈性不整脈などがおこりやすくなる
    • 心臓のβ1受容体というものが心臓の機能に関与し、β1受容体を遮断すると心機能が抑えられる
    • 本剤は交感神経のβ1受容体遮断作用をあらわす
  • β1受容体に選択的に作用するβ1選択性薬剤とβ1以外のβ受容体にも影響を及ぼしやすいβ1非選択性薬剤がある
β遮断薬についてもっと詳しく

心房細動が含まれる病気


心房細動のタグ


心房細動に関わるからだの部位