2017.01.16 | ニュース

脈拍がバラバラ、脳梗塞の原因になる心房細動にカテーテルは効く?

文献の調査から
from The Cochrane database of systematic reviews
脈拍がバラバラ、脳梗塞の原因になる心房細動にカテーテルは効く?の写真
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脈の間隔が不規則になる心房細動は、不整脈の中でも多くの人に起こり、ときに長年続きます。治療には薬のほか、カテーテルという細い管を心臓に届かせて行う方法があります。カテーテル治療の効果として報告されているデータの調査が行われました。

心房細動不整脈の一種です。心臓が正常な規則的なリズムではなく、バラバラの間隔で脈を打つようになります。不規則になった脈拍は手首などで触れて感じることもできます。突然心房細動が始まって自然に収まる「発作心房細動」と、ずっと心房細動が続くタイプに分けられます。

心房細動があると、人によって動悸などの症状が現れます。しかし、心房細動があるだけではすぐに命の危険はありません心房細動を持って長年普通に生活している人も大勢います。

心房細動による大きな危険のひとつが脳梗塞です。心房細動が続いていると、心臓の中で血液の流れが異常になります。すると心臓の中に血栓ができやすくなります。血栓が血液に乗って心臓から流れ出し、脳までたどり着いて血管を塞いでしまうと、脳梗塞の原因になります。

 

心房細動による危険性を抑えるためにいくつかの治療法があります。

抗凝固薬という薬は、血液を固まりにくくし、心臓の中にも血栓ができにくいようにします。脳梗塞を予防する効果の一方で、出血しやすいなどの副作用にも注意が必要です。

心房細動を正常な心拍に戻す、不整脈という薬もあります。ただし、抗不整脈薬を使っても心房細動が残る場合もあり、副作用としてはまれにほかの不整脈を引き起こすなどの可能性もあります。

カテーテル治療も選択肢のひとつとされます。カテーテルとは直径2-3mm程度の細い管です。血管の中にカテーテルを通し、心臓まで送り込んで治療を行います。心房細動に対するカテーテル治療として、高周波カテーテルアブレーション(RFCA)があります。

RFCAには、先に電極のついたカテーテルを使います。高周波の交流電流を流すことでカテーテルの先に熱を発生させ、不整脈の原因になっている一部の組織を焼いて固まらせます

RFCAにもまれに起こる合併症があります。心臓を操作することで別の不整脈を引き起こしたり、心臓を意図せず傷付けてしまうことがまれにあります。

 

RFCAの効果として2016年4月1日までに報告されているデータをまとめた結果が、『Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告されました。

この研究では、過去の文献を集める方法を使っています。調査対象として、発作性心房細動を除く、長続きするタイプの心房細動(非発作性心房細動)がある成人に対して、RFCAまたは手術による治療を抗不整脈薬と比較し、治療後の経過を12か月以上追跡した報告を集めました。

 

調査の結果、RFCAと抗不整脈薬を比較した3件の研究報告が見つかりました。内容をまとめると次の結果となりました。

証拠から、RFCAは抗不整脈薬に比べて、12か月のフォローアップの時点で心房細動がなくなる状態の達成(リスク比1.84、95%信頼区間1.17-2.88、3件の研究、261人の参加者、低い質の証拠)[...]において勝ることが示された。

治療後12か月の時点で、不整脈薬よりもRFCAのほうが、心房細動がなくなっている割合が多くなっていました。

RFCAによって徐脈(心拍数が少なくなる)などを引き起こす危険性がどの程度あるかについて、報告されているデータからは結論が出ませんでした。

 

カテーテルを使ったRFCAが心房細動を治療する効果の報告を紹介しました。研究結果がこのように要約されることで、治療法を選ぶための参考にすることができます。薬のほかの選択肢としてRFCAの効果が期待できるかもしれません。

一方で、心房細動が長年続いても必ず脳梗塞になるとは限りません。危険性は人によっても違います。治療によって悪い結果を起こす可能性もごくわずかにあることと比べて、それぞれの治療でどの程度危険性を減らせるのか、ひとりひとりの状態を詳しく理解したうえで判断することも大切です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Efficacy and safety of ablation for people with non-paroxysmal atrial fibrillation.

Cochrane Database Syst Rev. 2016 Nov 22.

[PMID: 27871122]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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