2015.10.17 | コラム

ステロイド外用剤の“強さ”って??

ステロイド外用剤の適正使用〔その①〕
ステロイド外用剤の“強さ”って??の写真
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アトピー性皮膚炎をはじめとして多くの皮膚疾患で使用されているステロイド外用剤。その効果と副作用は主薬となる薬剤や剤形、使用部位などによっても異なってきます。今回はステロイド外用剤の作用の強弱などによる分類と適正使用に関して考えてみます。

◆ ステロイド外用剤の5段階の分類とは?

ステロイドと聞くとなんとなく(?)マイナスなイメージがあるかもしれませんが、医療用で使用されるステロイドの多くは、私たちの体内で生成されるコルチゾールという副腎皮質ホルモンを元にして造られた薬です。コルチゾールは抗炎症作用、免疫抑制作用、血管収縮作用など多様な作用をもち生体維持に欠かせないホルモンです。

医療用ステロイドの中でも皮膚疾患で使用されるステロイド外用剤(注射剤を除く)は全身的な副作用をできるだけ減らし、皮膚炎などがおこっている部位に局所的に効果をあらわす様に造られた製剤となります。

皮膚疾患で使用されるステロイド外用剤は抗炎症作用や免疫抑制作用により湿疹、赤み、痒みなどの皮膚症状を改善する効果をあらわします。また細胞増殖抑制作用などにより、表皮の過剰増殖などが原因でおこる乾癬の治療などにも使用されています。

 

ステロイド外用剤を使用する場合に重要な要素となるのが、薬剤ごとの効果の度合いです。薬剤がもつ血管収縮作用(抗炎症作用にもつながります)の強さや臨床上での効果などにより一般的に大きく5段階に分類されています。

以下挙げたのはステロイド外用剤の5段階の分類と、一般的にその強さに属するとされる製剤名の一例です。[一般的に、I群(ストロンゲスト)が最も強く、V群(ウィーク)が最も弱い]

  • I群(ストロンゲスト):デルモベート®、ダイアコート® など
  • II群(ベリーストロング):フルメタ®、アンテベート®など
  • III群(ストロング):メサデルム®、リンデロン®-Vなど
  • IV群(ミディアム〔又はマイルド〕):リドメックス®、アルメタ®、ロコイド® など
  • V群(ウィーク):プレドニゾロン®

ステロイド外用剤には軟膏剤、クリーム剤、ローション剤など様々な剤形が存在し、同じ主薬を同じ濃度で含有していても剤形の違いによって使用部位への薬剤の経皮吸収性、保湿性などが異なり効果などに差が出る場合もあります。また、同じ「リンデロン®」の名称をもつ製剤でも、リンデロン®Vは一般的にIII群(ストロング)、リンデロン®-DPは一般的にII群(ベリーストロング)に属するというように効果などが異なる場合もあり注意が必要です。

 

◆ 皮疹の程度や使用部位などによって薬剤が選択されるが・・・

皮膚症状に応じてステロイド外用剤の種類が選択されます。

例えばアトピー性皮膚炎では中等症(中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などを主体とする)皮疹において、ストロングないしミディアム(マイルド)クラスのステロイド外用剤を第一選択とする(乳幼児・小児の場合は通常、1ランク低いクラスを使用)・・・などある程度の指標が存在する場合もあります。

ほかの例も挙げておきましょう。春と秋の年2回発生する茶毒蛾(チャドクガ)の幼虫(茶や椿などの葉を捕食する)はその名の通り毒針毛をもち、刺されると赤く腫れ上がり、場合によっては発熱やめまいなどを伴いそのまま放置すると長期にわたって痒みなどが続きます。この毒針毛による皮疹には通常ステロイド外用剤が使用されますが、一般的にII群(ベリーストロング)以下の強さでは効果不十分となる場合も多く、患部の部位などにもよりますが、I群(ストロンゲスト)を使用するのが一般的とされています。

 

また、ステロイド外用剤は部位によっても種類を分けて使用します。

皮膚が薄い部位ではその分ステロイドの吸収度が高いとされています。例えば、「前腕内側を1」と基準にした場合、「頭皮で3.5」、「首で6.0」などとされます。顔などの皮膚の薄い部位では通常の皮疹では弱めのステロイド外用剤で効果が十分でます。しかし、急性でなおかつ、症状が重度の場合は皮膚が薄い部位に対しても強めのステロイド外用剤が使用されることもあります。

そのほか症状の程度や使用期間、患者の年齢・体質などによっても使用する薬剤が異なる場合があります。

 

このようにステロイド外用剤は湿疹などの皮膚症状の程度を診断し、使用部位、患者の年齢・体質、季節・気候などを加味した上で適切な薬剤の強さ、適切な剤形が選択されるのが一般的です。

勿論、ステロイド自体は多様な作用をもち高い有効性をあらわす反面、様々な副作用に注意が必要となりますし、内服薬や注射剤に比べて副作用が少ないとされる外用剤においても副作用がゼロということはありません。しかし副作用を過度に警戒するあまりに先の茶毒蛾の例のように、症状に対して効果不十分な強さを選択してしまっては、かえって症状が長引いてしまったりする可能性もあるのです。

 

副作用や注意事項などの詳細に関してはまた別の機会に紹介するつもりですが、正しい認識のもと適切に使用するため、ステロイド外用剤を使用するにあたり不明な点などがある場合は事前に医師や薬剤師に相談しておくとよいでしょう。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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