2015.07.24 | コラム

ステロイド内服薬の副作用とは

知っておきたい治療薬のメリットとデメリット
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ステロイドと聞くとなんとなくマイナスなイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、医療用で使用されるステロイドは、元々私たちの体内で作られ分泌されるホルモンとほぼ同じ物質です。ステロイドの薬剤は免疫疾患などの治療において非常に有益な効果をもたらす反面、副作用にも注意が必要となります。今回はおもにステロイド内服薬の副作用に関してご紹介します。

◆ステロイド薬とは?

臨床現場で使用されているいわゆる"ステロイド"という薬は私たちの体内の副腎という臓器から分泌されるコルチゾールというホルモンとほぼ同じものです。

コルチゾールは糖の代謝、蛋白代謝、脂質代謝、骨など体内の様々なところで働く生命維持にとって重要なホルモンです。抗炎症作用や免疫抑制作用、抗アレルギー作用などをもち、ステロイドという薬剤が様々な疾患に使用される理由となっています。しかし体内に必要以上にある状態では不利益が生じる場合があり、これがステロイドの副作用となるのです。

 

◆ステロイド薬は有益な作用の裏側に副作用も

繰り返しになりますが、ステロイドは元々体内に存在するコルチゾールと同じ様な作用を持つように造られた薬剤です。様々な有益な作用をもち、免疫疾患、アレルギー性疾患、神経疾患、血液疾患などその用途は多様であり臨床現場においては無くてはならない薬剤の一つと言っても過言ではありません。しかし様々な作用を持つということは一方で体に様々な不利益をもたらす可能性があるともいえます。以下はステロイド内服薬によって起こりうる副作用に関して例を挙げてみたものです。

 

・免疫不全による易感染性(いかんせんせい)

ステロイドはリウマチなど多くの免疫異常疾患に対する治療薬として使われます。異常な免疫反応を抑えることで効果を発揮しますが、ステロイドを大量に投与した場合では正常な免疫も抑えてしまい、感染症にかかりやすくなること(易感染性)が考えられます。

 

・糖の代謝に対する作用による高血糖

ステロイドは体の組織での糖の利用を低下させます。これにより血糖値が下がりにくくなり高血糖を引き起こす可能性があります。

 

・蛋白代謝に対する作用による蛋白異化

ステロイドは大量に投与すると蛋白異化という作用があらわれ、皮膚が薄くなったり、筋力の低下、白内障の進行などがおこる可能性があります。

 

・脂質代謝に対する作用による脂質代謝異常や動脈硬化

ステロイドは血液中の脂質合成や脂肪の合成を促進させます。これにより脂質異常症や動脈硬化、満月様顔貌(ムーンフェイス)などがおこる可能性があります。

 

・骨や軟骨に対する作用による骨折

大量のステロイドは軟膏の発育やカルシウムの吸収を抑えます。これにより小児では発育障害、成人では骨粗しょう症などがおこる可能性があります。

 

・胃や腸に対する作用による消化性潰瘍

ステロイドは胃粘膜保護作用のあるムチンという物質を減少させるなどの作用があり、これによって消化性潰瘍がおこりやすい状態になる可能性があります。

 

他にも高血圧や緑内障をおこす一因となったり、不眠などを引き起こす神経系への作用などもステロイドの副作用として考えられます。

 

このようにステロイドによって様々な影響が考えられるわけですが、使用するにあたっては当然これらを見据えた上での治療が行われます。つまり副作用を考慮してもその病気や症状に必要だからこそステロイドの薬剤は使用されているのです。副作用に関してもただ手をこまねいているわけではなく、肺炎などの感染症を考慮して抗菌薬を併用する、消化性潰瘍を防ぐため胃薬を併用する、ステロイドの使用量を抑える代わりにステロイドを補助する作用をもつ漢方薬を併用するなど様々な方法で体への負担を少しでも軽減させる治療方法が一般的です。

避けていただきたいのが、ステロイドに対する誤解などにより自己判断でステロイドを調節したり、治療に直接関係ないからとステロイドと一緒に処方されている薬を飲まなかったりすることです。これらにより治療の対象となっている病気・症状の悪化やステロイドによる副作用が起こりやすくなるなど、かえって体に不利益をもたらす場合もあるのです。

もちろん適切に薬を服用していても症状や体調の変化が起こる場合もあります。大切なのはどのような目的でステロイドやその他の薬が使用されているかをしっかり理解することです。その上で適切に薬を服用していき、もし治療中に何らかの体調の変化を感じた場合はその変化を医師や薬剤師にご連絡下さい。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。