2017.10.04 | ニュース

乳がんの抗がん剤ほか、新薬5製品はどんな薬?

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9月27日に厚生労働省が新薬15製品を承認しました。そのうちイブランス、ダラザレックス、バベンチオ、エイフスチラ、アラグリオの効果・効能などを紹介します。

イブランスとは?

イブランス®(一般名パルボシクリブ)は飲み薬の抗がん剤悪性腫瘍(がん)に効果を発揮する薬剤。ただし、がん以外の良性疾患に用いられることもあるです。乳がんホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれる療法と同時に使います。「手術不能又は再発乳癌」が効能・効果とされています。

臨床試験の結果として2件が添付文書に記載されています。どちらもがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるの性質がHR陽性・HER陰性である患者を対象にした試験です。

1件の試験は、以前にホルモン療法を使っていない人を対象としました。対象者はレトロゾールによるホルモン療法と同時にパルボシクリブを使うグループ、レトロゾールと偽薬を使うグループに分けられました。

グループごとに半数の人ががんの進行なく生存した期間は、パルボシクリブを使うグループで24.8か月、偽薬を使うグループで14.5か月でした。

もう1件の試験は、以前にホルモン療法を使ったことがあるがホルモン療法中に進行したか再発した人を対象としました。フルベストラントによるホルモン療法とパルボシクリブの併用を、フルベストラントと偽薬の組と比較したところ、半数の人が進行なく生存した期間はパルボシクリブのグループで9.2か月、偽薬のグループで3.8か月でした。

どちらの試験でも90%以上の人に何らかの副作用が現れました。主な副作用は好中球減少症白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担う減少症、疲労などでした。

 

関連記事:抗がん剤が効かない乳がんに、新薬イブランス®が有効

 

ダラザレックスとは?

ダラザレックス®(一般名ダラツムマブ)は点滴で使う抗がん剤です。効能・効果は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」です。多発性骨髄腫は血液の細胞に由来するがんの一種です。以前に標準的治療を行ったあとの人がダラツムマブを使用可能とされています。

臨床試験の結果として2件が添付文書に記載されています。

1件の試験は、レナリドミド・デキサメタゾンの2剤による治療と、レナリドミド・デキサメタゾンに加えてダラツムマブの計3剤を使う治療を比較しました。半数の人が生存した期間で効果を判定する計画でしたが、2剤のグループで20.3か月という結果が出たあと、ダラツムマブを使うグループで半数を超える人が生存したまま統計的な差が確認され、ダラツムマブを使ったほうが優れていると見られました。

もう1件の試験は、ボルテゾミブ・デキサメタゾンの2剤による治療と、ボルテゾミブ・デキサメタゾン・ダラツムマブの3剤による治療を比較しました。半数の人が病気の進行なく生存した期間は2剤のグループで7.2か月でした。ダラツムマブを使うグループでは半数を超える人が生存したまま統計的に差が確認されました

どちらの試験でも70%を超える人に何らかの副作用が現れました。主な副作用はインフュージョンリアクション、咳、疲労などでした。

 

関連記事:骨が溶け貧血になる「多発性骨髄腫」にダラツムマブほか2剤が有効

 

バベンチオとは?

バベンチオ®(一般名アベルマブ)は抗がん剤です。抗PD-L1抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりするに分類されます。

 

抗PD-L1抗体・免疫チェックポイント阻害薬とは?

抗PD-L1抗体は、ニボルマブ(商品名オプジーボ®)などの抗PD-1抗体と同じように、がんに対する免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患の働きを利用して治療する薬です。総称で免疫チェックポイント阻害薬とも呼ばれます。日本で治療薬として承認された抗PD-L1抗体はアベルマブが初めてです。

ニボルマブはまれな皮膚がん悪性黒色腫)に対する効能・効果で承認されたあと、肺がんにも使えるように効能・効果が追加されたことで使う人が急増した歴史があります。販売開始当初から高額な薬価で知られていましたが、肺がんに使われるようになって医療保険制度を圧迫する懸念が唱えられ、2017年2月に以前の半額に値下げされました。

バベンチオの効能・効果は「根治切除不能なメルケル細胞無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある」です。メルケル細胞がんはまれな皮膚がんの一種です。バベンチオは薬価基準未収載です(2017年9月時点)。

 

バベンチオの臨床成績は?

臨床試験では、遠隔転移がんが離れた他の臓器へ転移すること。転移の中でも、リンパ節転移と対比的に使われる用語のある患者が対象とされました。以前に抗がん剤治療がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称を使っていた人はアベルマブの使用後に88人中28人でがんが小さくなり(完全奏功または部分奏功)、抗がん剤治療を使っていなかった人ではアベルマブの使用後に29人中10人でがんが小さくなりました

生存期間については添付文書に記載された結果はありません。

計117人中85人に何らかの副作用が現れました。主な副作用は疲労、インフュージョンリアクションなどでした。インフージョンリアクションとは、薬剤注入により起こる発熱や発疹皮膚に起こる、何かしらの目に見える変化の総称などの症状の総称です。主に薬剤の注入中から24時間以内にあらわれるものを指してインフュージョンリアクションと言います。

 

エイフスチラとは?

エイフスチラ®(一般名ロノクトコグアルファ)は、血が固まりにくい病気の治療薬です。効能・効果は「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」とされています。

臨床試験では、12-65歳の患者を対象として、定期的にロノクトコグアルファを使用するグループと出血時に使用するグループに分けて比較しました。

定期的に使用したグループでは1回も自然出血しなかった人が半数を超えていましたが、出血時に使用したグループでは半数の人が1年あたり11.73回以上自然出血していました。

別の臨床試験で12歳未満を対象としても類似した結果が得られました。

主な副作用は過敏症(1.2%)などでした。

 

アラグリオとは?

アラグリオ®顆粒剤分包1.5g(一般名アミノレブリン酸塩酸塩)は膀胱がんの手術の際に使う薬です。「筋層非浸潤性膀胱がんの経尿道的膀胱腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類される切除時における腫瘍組織の可視化」が効能・効果とされています。

手術前に飲むことで膀胱の組織に色がつき、がんを見分けやすくなります。主な副作用は吐き気・嘔吐などです。

同じ有効成分のアラグリオ内用剤1.5gがほかの病気に対してすでに使用されていますが、剤形などが違います。

 

まとめ

新薬が加わることにより、保険診療として新しい治療法が使えるようになります。効能・効果や副作用に対応して報告されているデータを参考に、従来の治療法と比較することで、ひとりひとりに合わせた治療選択の幅を広げることができます。

なお同日に承認されたほかの新薬については別に紹介する予定です。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

イブランスカプセル25mg/ イブランスカプセル125mg 添付文書、ダラザレックス点滴静注100mg/ ダラザレックス点滴静注400mg 添付文書、バベンチオ点滴静注200mg 添付文書、エイフスチラ静注用250/エイフスチラ静注用500/エイフスチラ静注用1000/エイフスチラ静注用1500/エイフスチラ静注用2000/エイフスチラ静注用2500/エイフスチラ静注用3000 添付文書、アラグリオ顆粒剤分包1.5g 添付文書

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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