水腎症、水尿管症の基礎知識
POINT 水腎症、水尿管症とは
尿は腎臓で作られ、腎盂(じんう)→尿管→膀胱→尿道、と流れていきます。水腎症は腎盂(じんう)が拡張した状態で、水尿管症は尿管が拡張した状態です。水腎症・水尿管症の原因は結石、がん、生まれつき尿管や腎盂が狭い場所があることなどです。超音波検査や腹部CT検査などで診断します。原因によって治療法が変わり、背中から腎臓に針を刺したり、尿管にステントという管を内視鏡で挿入したりします。その状況で適した治療を選ぶので、検査でどの治療が適切かを見極めます。水腎症、水尿管があると言われたら泌尿器科や内科を受診してください。
水腎症、水尿管症について
水腎症、水尿管症の症状
- 急に進行する場合とゆっくり進行する場合で
症状 が異なる - 急に進行する場合
- わき腹から腰、下腹部にかけて激しい痛み
- ゆっくり進行する場合
- 何も症状が無い場合もある
- わき腹にうずくような痛み
水腎症、水尿管症の検査・診断
腹部超音波検査 - 体に負担がなく水腎症がないかを素早く検査できる
腎盂造影検査 - 実際に
尿管 の広がり具合を詳しく調べる
- 実際に
腹部CT検査 、MRI 検査- 尿管が詰まっている原因を詳しく調べる
水腎症、水尿管症の治療法
- 尿の通り道をふさいでいる原因の治療が行われる
- 例)
尿管 結石が原因の場合は結石の破砕を行う - 例)尿管がんが原因の場合は手術で
がん を取り除く
- 例)
- 一時的な治療
- 腎臓の機能が低下するのを防ぐ目的がある
- 腎ろう造設術と尿管
ステント 留置術という2つの方法がある- 腎ろう造設術
- 背中から腎臓に針をさしてチューブを挿入して尿を排出させる
- 尿管ステント留置術
- 尿管に管を挿入する
水腎症、水尿管症の経過と病院探しのポイント
水腎症、水尿管症が心配な方
水腎症、水尿管症は病気というよりも、他の病気が原因で生じる症状の一つです。急に発症したものか、それとも数週間以上続いているものかによって病状も変わってきます。
頻度として多いのは尿路結石による急性の水腎症です。結石が尿管に詰まると尿が流れなくなるため、尿管と、腎盂と呼ばれる尿管の入り口に尿が溜まって張ることになります。このことで腹部から背部の強い痛みが生じ、立ち上がれずに救急車で病院を受診される方がいます。このような場合には救急外来の受診でも良いですし、まだ余裕があって自力で病院を受診できるようであれば、泌尿器科の受診が良いでしょう。
水腎症の診断は腹部超音波や腹部CTで行います。国内の総合病院であればほとんどのところに超音波やCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。レントゲンでは水腎症そのものは判断がつきません。尿管結石のうち大きなものは写るのですが診断の精度が低く、レントゲンだけではやはり十分ではありません。
また、尿路結石以外が原因の水腎症や水尿管症では、何らかの腫瘍(尿管がん、膀胱がん)や、尿閉(神経因性膀胱など)と呼ばれるものが多いです。詳細はそれぞれの疾患のページもご参考になさってください。
水腎症、水尿管症でお困りの方
水腎症に対する治療の原則は、その原因となっている疾患の治療です。つまり、尿管結石の治療や、尿路の腫瘍の治療ということになります。しかし、水腎症が重症で時間的余裕がない場合には、尿管ステントや腎ろうといった治療があります。
尿管ステントでは、膀胱鏡といって尿道から細いカメラを入れていき、細くなった尿管の部分を内側から広げます。シリコンのチューブを尿管に入れておき、尿の流れるスペースを確保します。
腎ろうは皮膚から腎臓へ直接チューブを留置する処置のことで、麻酔をした上で背中から針を刺してチューブを通します。このチューブから溜まった尿が出てきますので、水腎症が改善することになります。
尿管ステントも腎ろうも、一時的なその場しのぎの処置ですが、腎臓を守るために大切な治療です。これらが必要になった場合には、入院が必要です。クリニックや通院で可能な治療ではありませんので、泌尿器科のある総合病院を紹介してもらってください。
水腎症、水尿管症のタグ
水腎症、水尿管症に関わるからだの部位
