すいじんしょう、すいにょうかんしょう
水腎症、水尿管症
尿管が何らかの原因で詰まって尿がうまく流れなくなり、尿管や腎臓に尿が溜まり拡がった状態
11人の医師がチェック 91回の改訂 最終更新: 2019.01.30

水腎症を診断するための診察や検査について:エコー検査・CT検査など

腎臓で作られた尿が身体の外に出るまでの道のりに狭くなっている場所(狭窄部位)や閉塞している場所(閉塞部位)があると、水腎症が起こります。水腎症は原因によって治療が異なるので、疑われる人には診察や検査が行われて詳しく調べられます。

1. 問診

患者さんとお医者さんの対話による診察を問診といい、患者さんの身体の状況や背景を確認する目的があります。患者さんは自分の困っている症状をお医者さんに伝え、お医者さんからは症状について詳しい質問を受けます。また、その他にも今までにかかった病気や持病、定期的に飲んでいる薬について聞かれます。

質問の具体例は次のものです。

  • どんな症状があるのか
  • いつから症状があるのか
  • 症状が軽くなったり重くなったりする変化はあるか
  • 過去に膀胱炎腎盂腎炎になったことはあるか
  • 健康診断の尿検査や血液検査で異常を指摘されたことはあるか
  • 現在治療中の病気はあるか
  • 定期的に飲んでいる薬はあるか

症状を上手に伝えるのは簡単ではありませんが、かまえる必要はありません。難しく考えすぎず、自分の言葉で症状を表現してください。例えば、「腰が張る」「背中に重い感じがする」といった表現でも充分です。また、水腎症に腎盂腎炎腎盂に感染が起こること)がともなっている場合には抗菌薬による治療が行われます。お医者さんが薬を選ぶ際には定期的に飲んでいる薬や持病を考慮しなくてはならないので、定期的に飲んでいる薬や治療中の病気があれば伝えてください。

2. 身体診察

お医者さんがくまなく身体の状態を調べる診察を身体診察といいます。身体診察にはいくつも方法があります。バイタルサイン(脈拍数・呼吸数・体温・血圧・意識レベル)を測定するのも診察の1つですし、身体の表面を観察したり、聴診器で音を聞いたりすることも診察にあたります。身体診察を行うことによって、客観的に身体の状態を判断することができ、原因の絞り込みに役立てられます。

例えば、水腎症は背中や腰に強い痛みをともなうことがあり、これと似た症状が現れる病気には大動脈解離や腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。身体診察を行うことで、お医者さんは、想定される病気の中から可能性の高そうな病気を推測しています。

3. 尿検査

尿検査では尿の内容から臓器の異常や感染の可能性について調べられます。水腎症になると、腎造の機能が低下したり、腎盂腎炎をともなったりすることがあるので、その推定に尿検査が役立ちます。具体的に言うと、タンパク質が正常より多く含まれていると腎臓にダメージが起こっている可能性が考えられ、白血球や亜硝酸塩が基準値より多く含まれていると腎盂腎炎を含む尿路感染症が起こっている可能性が考えられます。 尿検査についての詳しい説明は「膀胱炎になったらどんな検査をする?」で説明しているので参考にしてください。

4. 血液検査

血液検査の結果から水腎症が起こっているかの判断はできませんが、臓器の機能や全身状態を調べるのに役立ちます。水腎症が疑われる人に行う血液検査では次のポイントが注目されます。

  • 腎臓の機能
  • 電解質の異常の有無

2つのポイントが重要視されている理由について説明します。

■腎臓の機能

水腎症によって腎臓の機能が低下することがあり、クレアチニンや尿素窒素などの血液検査項目から推定されます。腎臓の機能が低下していると、薬の量の調節などが必要になるので、水腎症の人では確認されることが多いです。

■電解質の異常の有無

身体の中にはナトリウムやカリウムといった電解質があります。電解質のバランスを整えることも、腎臓の役割の1つです。腎臓の機能が低下して電解質のバランスが乱れると、身体に影響が現れます。例えば、カリウムが溜まり過ぎると、心臓に影響が及んで、生命に関わるような不整脈を起こすことがあるので、治療が必要です。

5. 画像検査

画像検査では腎臓や尿管の形を調べることができます。腎臓や尿管の形に異常が起こる水腎症の診断では決め手になります。水腎症が疑われる人には主に超音波検査CT検査、MRI検査が行われます。それぞれ性質が違う検査なので個別に説明します。

超音波検査(エコー検査)

エコー検査では超音波が反射する程度を利用して身体の中を画像化することができます。実際には、観察をする場所にジェルを塗ってプローブという超音波が出る機械を優しく当てて検査をします。プローブの先にあるものが画像として映し出されます。超音波検査を行うと水腎症になっているかどうかが分かります。超音波検査はCT検査やMRI検査に比べて簡単にできるので、治療中にも経過を見るために繰り返して行われます。水腎症かどうかを調べるのに超音波検査は有用ですが、観察できる範囲が限られているので、尿路のどこに原因があるかまでは特定できないことが多いです。水腎症の原因を調べるにはこの後に説明するCT検査やMRI検査の方が優れています。

CT検査

CT検査とは放射線を利用して身体の断面を画像化するものです。身体の断面を画像化する点で超音波検査と似ていますが、CT検査ではより詳しく尿路を調べられます。このため、水腎症の原因を特定するのに有効です。さらに詳しく調べる場合は、特殊な薬(造影剤)を注射してCT検査(CTウログラフィー)を行います。造影剤を注射してCT検査を行うと、画像の尿管を色づかせることができるので、水腎症の原因をより詳しく調べることができます。

CT検査の詳しい説明は「CT検査を受けるまえに知っておきたいこと」を参考にしてください。

MRI検査

MRI検査では磁気を利用して身体の断面を画像化します。CT検査とは異なり放射線を用いないので、被曝の心配はありません。水腎症の原因はCT検査で判断がつくことが多いので、MRI検査が行われることは少ないです。しかし、CT検査で判断がつきにくい場合にはMRI検査が行われて、水腎症の原因をさらに詳しく調べます。

MRI検査の詳しい説明は「MRI検査を受けるまえに知っておきたいこと」を参考にしてください。

6. 内視鏡検査

内視鏡検査は胃カメラ大腸カメラといった名前で聞いたことがあるかもしれません。膀胱や尿管も内視鏡を使って検査することができ、それぞれを膀胱鏡検査と尿管鏡検査と言います。膀胱鏡も尿管鏡も尿道口(尿が出る所)から入れて、検査をします。ともに身体への負担は大きいので、限られた時のみ行われます。具体的には、超音波検査やCT検査、MRI検査といった画像検査で水腎症の原因がわからない場合や、内視鏡による治療が必要な場合です。なお、内視鏡による治療は「水腎症の治療」を参考にしてください。

7.水腎症のグレード分類

水腎症の程度を表す指標としてグレード分類があります。グレード分類は主に腎盂尿管移行部狭窄症(「水腎症の原因」を参考)に代表される先天異常によって起こった水腎症に対して用いられます。

グレード分類は次の2つをもとにして判断されます。

  • 腎盂の広がりの程度
  • 腎臓の実質の厚さ

水腎症の程度が重くなると、腎盂の広がりが強くなり、腎臓の実質(実の部分)が薄くなっていきます。この程度を参考にしてグレードが0から4までの5段階で評価され、数字が大きくなるほど重症です。グレード分類によって水腎症の程度が軽いと判断された場合は、手術をせずに経過観察を見ることも可能です。

【参考文献】

・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011