きゅうせいすいえん

急性膵炎

膵臓が作り出している消化液(膵液)によって、膵臓の周りにある臓器がダメージを受けてしまう病気

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14人の医師がチェック 110回の改訂 最終更新: 2017.06.15

急性膵炎の基礎知識

急性膵炎について

  • 膵臓が作り出している消化液(膵液)によって、膵臓の周りにある臓器がダメージを受けてしまう病気
    • 通常は消化液が自分の内臓を「消化」してしまうことはないが、アルコールや腹部のけがなど様々な原因で、消化液(膵液)が漏れてしまうことがある
    • 「胆石」と言って、肝臓や胆のうといった臓器で、砂つぶのようなもの(コレステロールヒトの全ての細胞の膜を作るのに必要な脂質。LDLコレステロールとHDLコレステロールがあり、前者は動脈硬化などの原因となるなどのかたまり)ができ、それが膵臓の内部に詰まり、急性膵炎を引き起こすことがある
  • 急性膵炎は重症化しやすく死亡率は高い
    • 重症化するのは10-15%程度
    • 死亡率は全体の2-3%程度、重症例では10%程度

急性膵炎の症状

  • 典型的な症状
    • みぞおちから、へそ周囲にかけての強い痛み
    • 背中の強い痛み
    • 吐き気
    • 食欲の低下
  • お腹の痛みは、姿勢よく真っ直ぐ立ったり座ったりすることで強くなり、前かがみになった方が改善されることが多いと言われている

急性膵炎の検査・診断

  • 血液検査:リパーゼ、アミラーゼやカルシウムの値などを調べる
    • 急性膵炎がどの程度重症化しているかの参考となる
  • 尿検査
  • 画像検査:膵臓に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起こっていないかなどを調べる
    • 腹部超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、腹部の状態を調べる検査
    • 腹部CT検査X線(放射線)を用いて腹部の状態を調べる検査。肝臓や腸などの内蔵から骨や筋肉まで、様々な組織の状態を確認することができる
  • 日本では、急性膵炎は厚生労働省の基準に基づき診断され、重症度が判定される
    • みぞおち付近に、急な強い痛み、押したときの痛みがある
    • 血液検査や尿検査で膵臓から出る消化酵素体内で起こる化学反応を助け、速やかに反応が進むようにする物質(アミラーゼ、リパーゼなど)の上昇がみられる
    • 画像検査(主に腹部造影CT検査X線(放射線)を用いて腹部の状態を調べる検査。肝臓や腸などの内蔵から骨や筋肉まで、様々な組織の状態を確認することができる)で膵臓に炎症が起こっている
       上記3項目のうち2項目以上が当てはまり、他の病気が除外されれば急性膵炎の診断になる
  • 重症かどうかは全身の状態や血液検査、CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査の結果で判定される
    • 急性膵炎の診断基準
      ・上腹部に急性腹痛発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多いと圧痛がある。
      ・血中、または尿中に膵酵素の上昇がある。
      ・超音波、CT検査またはMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査で膵に急性膵炎に伴う異常所見検査や診察から分かる情報のことがある
    • 急性膵炎の重症度判定基準(3つ以上当てはまると重症と考える)
      ・1.Base excess ≦ -3 mEq/lまたはショック十分な血流が保てず、全身の臓器に十分な酸素や栄養が届かなくなってしまった危険な状態。全身の臓器がダメージを受け、すぐに治療を行わないと命に関わる
      ・2.PaO2(動脈の血液中に含まれる酸素の量) ≦ 60 mmHg (room air)または呼吸不全肺や気道の異常によって、血液中の酸素の圧力が低下していて、全身に必要な酸素が供給できていない状態
      ・3.BUN ≧ 40 mg/dl (またはCr≧2.0 mg/dl)または乏尿
      ・4.LDH ≧ 基準値上限の2倍
      ・5.血小板血液中にある成分の1つ。出血が起こると、出血している部分に集まって出血を止める役割をもつ数 ≦ 10万/mm3
      ・6.総Ca値 ≦ 7.5 mg/dl
      ・7.CRP血液検査の項目の一つで、体内の炎症の程度を表す指標の一つ。感染症、腫瘍、外傷など、様々な原因で数値が上昇する ≧ 15 mg/dl
      ・8.SIRS診断基準における陽性項目数 ≧ 3
      ・9.年齢 ≧ 70歳

急性膵炎の治療法

  • 基本的に、内臓がダメージから自力で回復するまでの間、安静にして待つことが治療の中心となる
    • 食事を摂取すると膵臓に負担を減らす目的で絶食して入院管理となる
    • 炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが強いと血管内の水分が不足するため、十分な点滴をする
    • 栄養は点滴から補充するほか、鼻から腸まで管を入れて栄養剤を注入(経腸栄養)することもある
    • 重症化を見逃さないことが重要
  • 重症の場合には、抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がないや、消化液の影響を和らげるような点滴を行うこともあるが、特効薬はない
    • 血圧・脈拍や呼吸などが不安定になることがあり、その際には集中治療が必要になる
    • 周囲の組織や臓器に炎症が広がって細胞が広く壊死ある部位の細胞が死んでしまうこと。多くの場合、血管が詰まったり、つぶれたりして、血液が流れなくなってしまうことが原因となるしてしまっているような状態では内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途がある治療や外科手術を行うこともある

急性膵炎に関連する治療薬

膵炎治療薬

  • 膵液に含まれるタンパク分解酵素を阻害し膵臓の炎症による腹痛、吐き気などを改善する薬
    • 膵臓から出される膵液には膵臓自体を消化してしまう作用もあり、これにより膵臓に炎症がおこる場合もある
    • 膵液にはタンパク分解酵素などが含まれていてこれが膵臓に炎症をもたらす
    • 本剤はタンパク分解酵素阻害作用をあらわす
  • 血液凝固因子(血液が固まる要因となるもの)の阻害作用などをもつ薬剤もある
膵炎治療薬についてもっと詳しく

急性膵炎の経過と病院探しのポイント

急性膵炎かなと感じている方

急性膵炎ではお腹や背中の痛み、吐き気などの症状が特徴です。このような症状に該当してご心配な方は消化器内科のある医療機関での受診をお勧めします。急性膵炎を診るのは消化器内科です。入院治療が必要となるため、クリニックではなく病院で診療を受けることになります。

急性膵炎の診断は血液検査とCTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査検査で行います。病院によってはMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査(MRCPとも呼ばれます)でより細かな診断を行う場合もありますが、急性膵炎の診断にMRI検査が必須である、ということはありません。

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急性膵炎でお困りの方

急性膵炎の治療は、その原因によって分かれます。

胆石と呼ばれるコレステロールヒトの全ての細胞の膜を作るのに必要な脂質。LDLコレステロールとHDLコレステロールがあり、前者は動脈硬化などの原因となるのかたまりが膵臓内にある場合には、ERCP鼻もしくは口から小さいカメラを入れて、膵臓や胆管、胆のうの状態を調べる検査といって、胃カメラ口もしくは鼻から小さいカメラを胃まで進めて、胃の中の状態を見る検査。「上部消化管内視鏡検査」とも呼ばれるのような内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるを用いた治療を行います。これは大学病院のような専門施設でなくともできる治療ではありますが、ある程度の規模のある総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないを受診するのが望ましいと言えます。例えば一般的な消化器内科のクリニックなどでは、胃カメラや大腸カメラ肛門から小さいカメラを直接大腸の中に入れて、大腸の内側の状態を見る検査。小腸まで観察することはできないの検査、治療は行っていたとしても、ERCPは通常行っていません。また、急性膵炎では入院での治療が必要となるため、クリニックで治療が終えられる病気ではありません。

次に、胆石がないような急性膵炎の場合ですが、こちらの場合はERCPを行わずに、点滴を中心とした治療を行います。その場合であっても重症化するとやはりERCPが必要であったり、消化器外科と連携して治療のための様々な処置(ドレナージ体の中に溜まった液体や血液、膿などを、細いチューブを通すなどして溜まった場所の外へ流し出す治療法と呼ばれます)を行ったりすることがあります。

最後になりますが、胆石が原因の急性膵炎の場合、一旦急性膵炎の治療が落ち着いた後に胆のう結石の手術を行うことが勧められます。胆のうの中に結石が残っていると、これが動いた際に急性膵炎を再発するリスクがあるためです。詳細は胆石症のページで解説しますが、外科の中でも消化器外科、肝胆膵外科、腹部外科などと呼ばれる診療科が、こちらの手術の専門となります。

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