急性膵炎で腹痛、しかし飲酒も胆石もなかった74歳男性

急性膵炎の原因になるものとして飲酒や胆石が知られていますが、原因がわからない場合もあります。薬が原因と思われた人の例が報告されました。
フロセミドによる薬剤性急性膵炎の症例報告
アメリカの医学健康科学大学の研究者らが、利尿薬のフロセミドによると思われた急性膵炎の患者の例を、専門誌『The American Journal of Case Reports』に報告しました。
この患者は74歳男性で、朝から強い上腹部痛がありました。痛みは背中まで広がりがあり、軽い吐き気もありました。妻と一緒に散歩をして痛みを紛らわそうとしましたが、痛みが続くため救急部を受診しました。
以前に
発熱・
喫煙したことも飲酒したこともありませんでした。6週間ほど前に、両脚の
診察では上腹部を押すと痛みが強くなりました。血液検査でアミラーゼ1,022U/l、リパーゼ600U/lとともに高値でした。
本当にフロセミドが原因だったのか?
報告の著者らは、最近フロセミドを飲み始めていたこと、フロセミドを中止すると治まったことなどから、フロセミドが原因の急性膵炎だったとする考えを記しています。
フロセミドによる
ほかに考えられる原因については、例として神経内分泌腫瘍は
薬の影響にどう気を付ける?
フロセミドによると思われた急性膵炎の患者の例を紹介しました。
フロセミドが急性膵炎を起こすことはあるとしてもごく少数と思われますが、一般に、原因がはっきりしない病気が現れた時には最近変えた薬の影響を考えることが欠かせません。
どんな薬にも副作用はあります。まれな副作用も含めれば、どの薬からどのような影響が出るかは多岐にわたる可能性があり、予測がつきません。何かあったときに素早く適切に対応するためには、お薬手帳を活用するなどして、いつから・どのような薬を飲んでいるかをできる限り正確に医師に伝えることが大切です。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。