たんせきしょう(たんのうけっせき)
胆石症(胆のう結石)
胆のうの中に、砂つぶのようなかたまり(胆石)ができた状態。突然の痛みが起こることがある
12人の医師がチェック 144回の改訂 最終更新: 2021.03.31

胆石症(胆のう結石)の基礎知識

POINT 胆石症(胆のう結石)とは

胆石症は胆のうの中に結石ができた病気です。コレステロール値の高い人・40代・女性・肥満の人に起こりやすいことが分かっています。主な症状はみぞおちの痛み・右肩の痛み・吐き気・嘔吐・食欲の低下などになりますが、特に症状が出ないことも多いです。 症状や身体診察に加えて、超音波検査やCT検査検査を行って診断します。根治するための治療は手術になります。手術を行わない場合は薬物治療を行います。胆石症が心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。

胆石症(胆のう結石)について

  • 胆のうの中に、砂つぶのようなかたまり(胆石)ができた状態
    • この胆石が胆のうの出口や胆管で詰まると突然の強い痛みを引き起こすことがある
    • 胆石症」という用語自体は、この痛みの発作ではなく、石がある状態を指している
    • 胆のう炎を起こしたり、胆石が胆管へ落ちて詰まると胆管炎や膵炎を起こしたりする
  • 胆汁の中のコレステロールが多いことで固まってしまうことがある
  • 胆石になりやすい人が分かっている
    • 40代
    • 女性
    • 肥満
    • 出産回数が多い
    • 白人
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胆石症(胆のう結石)の症状

  • 主な症状
    • 食後の右脇腹痛
      • 背中やみぞおち、右肩に痛みが出る場合もある
      • 胆石が動いて、胆のうの出口や胆管に詰まってしまうと、激しい痛みが起こる
    • 吐き気
    • 嘔吐
    • 食欲不振
  • 無症状のまま、胆石に気がつかず日常生活を送ることも多い
症状の詳細

胆石症(胆のう結石)の検査・診断

  • 腹部超音波検査:胆のう内に結石があるかを調べる
  • 腹痛があった際に、それが胆石による痛みであると診断を確定することは難しい場合がある
    • 胆石が見つかったとしても、それが痛みの原因と断定できるわけではない
    • 胆石のほとんどは、そこにあるだけで症状を引き起こしているわけではない
    • 多くの場合、他の原因であることが否定されて初めて胆石による痛みと診断される
検査・診断の詳細

胆石症(胆のう結石)の治療法

  • 胆石があるだけで、特に症状がなければ基本的に治療は行われない
    • 胆石が詰まって症状が出た場合には、痛み止めを使用しながら詰まりが取れるのを待つ
    • 胆汁の流れをよくする薬を使うことがある
      • ウルソデオキシコール酸
      • ケノデオキシコール酸
      • フロプロピオン など
    • 狭い箇所を通り抜けた胆石は食べ物と同様に、小腸、大腸を通って便として排出される
  • 胆石が大きい場合や、胆のう炎や胆管炎を起こす場合には、手術を行う
    • 胆のう内にある胆石だけを取り除くことは困難なので、胆のうごと手術で切り取る
    • 腹腔鏡での手術が一般的
    • 症状がなくとも、胆石の大きさなどを総合的に考慮して、症状が出る前に予防的に治療を行うこともある
  • 胆のうがなくても、食べ物の消化に大きな問題はない
    • 手術の後に一時的に下痢をしやすくなるが、ほとんどの場合、時間の経過とともに改善する
治療法の詳細

胆石症(胆のう結石)に関連する治療薬

胆石溶解薬

  • 胆汁の流れの滞りを改善し、胆汁分泌を促進させて胆石症などを改善する薬
    • 胆石症は胆のうの中にかたまり(胆石)ができた状態で、胆汁という消化液の流れが滞ることで胆石ができやすくなるとされる
    • 胆汁の成分である胆汁酸を体内に投与すると胆汁の滞りが改善され胆石が溶けるなどの効果が期待できる
    • 本剤は胆汁酸の成分を含む製剤で胆汁分泌を促進させる作用(利胆作用)をあらわす
胆石溶解薬についてもっと詳しく

抗コリン薬

  • 副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑える薬
    • アセチルコリンは副交感神経を活発にして消化管の運動などを亢進させる
    • 副交感神経が活発になると胃や腸などの痙攣・痛み、潰瘍や胃炎・腸炎の悪化などがおこりやすくなる
    • 本剤はアセチルコリンの働きを抑える作用(抗コリン作用)をあらわす
  • 胆石や尿路結石に伴う痛みなどの改善に使用する薬剤もある
  • 本剤は薬剤の作用や化学構造などにより、ムスカリン拮抗薬、3級アミン類、4級アンモニウム類などに分けられる
抗コリン薬についてもっと詳しく

胆石症(胆のう結石)の経過と病院探しのポイント

胆石症(胆のう結石)が心配な方

胆石症胆のう結石)」は、胆のうの中に砂つぶのようなかたまり(胆石)ができた状態です。この胆石が胆のうの出口や胆管で詰まると突然の強い痛みを引き起こし、これを「胆石発作」といいます。

上記のような症状に心当たりのある方は消化器外科、一般外科、消化器内科の受診をお勧めします。

胆石症は、胆のう内に胆石があることにより診断するため、腹部超音波検査(腹部エコー)が必要となります。専門医がいるような総合病院でなくても、腹部エコーがあるクリニックであれば診断は可能です。エコー以外にも、腹部CTでも診断は可能です。

胆石症がある方で、腹痛がある場合は、胆石発作や胆のう炎を考える必要があります。その場合、血液検査で炎症の上昇があるか、発熱があるかが大切なポイントになります。

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胆石症(胆のう結石)でお困りの方

胆石があっても特に症状がなければ基本的に治療は行いません。

胆石が詰まって胆石発作が出た場合には、痛み止めを使用しながら胆石による詰まりが取れるのを待つか、胆汁の流れをよくする薬を使います。胆石が大きかったり胆石発作を繰り返したりする場合や、胆石によって炎症が起こり胆のう炎や胆管炎を起こした場合は、手術を行うことがあります。

胆のう炎であれば、症状が起こってから48時間未満であれば、小さい傷だけでできる腹腔鏡手術が可能となりますが、それ48時間以上経っている場合は、傷が通常のサイズの開腹手術を行うことが多いです。

胆石症に対して手術を行った場合、胆のうがなくても、食べ物の消化に大きな問題はないと言われています。手術の後に一時的に下痢を起こすことはありますが、ほとんどの場合、時間とともに改善します。

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