播種性血管内凝固(DIC)の基礎知識
POINT 播種性血管内凝固(DIC)とは
体内の血を固まらせる作用とサラサラにする作用のバランスが乱れる状態のことを指します。血栓が出来やすくなる一方で、出血もしやすい状態になります。基本的に何らかの重大な病気の影響で起こる状態です。原因となる病気は、白血病やその他のがん、重症な感染症や大きな外傷、急性膵炎などが多いです。主な症状は、紫斑(紫のあざ)・下血・吐血・鼻血などですが、重症になると多臓器不全を起こして昏睡状態になり、生命の危険がおよぶ場合もあります。血液検査を行い、血小板や凝固因子をチェックして診断をつけます。原因となっている病気の治療が最重要ですが、血液を固まらせるバランスをサポートする治療も行います。播種性血管内凝固が心配な人や治療したい人は、救急科・血液内科などを受診して下さい。
播種性血管内凝固(DIC)について
播種性血管内凝固(DIC)の症状
- 出血
症状 紫斑 (内出血で現れる皮膚の斑点やあざのようなもの、皮膚を圧迫しても色素の変化は消えない)血尿 (血が混ざった尿)吐血 (胃や十二指腸での出血による、血が混ざった嘔吐)下血 (血が混ざった下痢)- 意識の混濁(脳の出血による症状など)
- 臓器症状
- 多臓器不全(脳、肺、腎臓などの全身の重要な臓器が正常に働かなくなる)
播種性血管内凝固(DIC)の検査・診断
- 血液検査と心拍数や呼吸回数、体温などから診断される
- 血液検査では、血液を固める成分の量や血液の固まりを溶かす成分の量を調べる
- Dダイマー
- FDP
- フィブリノーゲン
- TAT
- PIC
- プロトロンビン時間(PT)
血小板 - アンチトロンビン など
播種性血管内凝固(DIC)の治療法
播種性血管内凝固(DIC)の経過と病院探しのポイント
播種性血管内凝固(DIC)でお困りの方
DICでは、全身の出血が止まりにくくなったり、逆に血液のかたまりが体内に生じて脳梗塞、心筋梗塞、腎梗塞、肺塞栓症などの原因となったりします。他の重症な病気があった上でそれに続発して生じるものですので、健康な方がご自宅で普段通り暮らしていたらDICの症状だけが出てきた、ということは基本的にありません。既に入院中の状況や、他の疾患の強い症状がある中で、症状の一部として発症するような疾患(状態)です。
したがって、DICについては診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にもバリエーションが少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気でしょう。点滴による治療を行いますが、DICに対する治療以上に重要なのは、DICに至った原因を治療することです。原因が改善しないかぎりDICは(治療を行っていても)進行し、命に関わる深刻な状態です。
治療を受ける診療科に関しては、原因となった疾患次第です。肺炎であれば呼吸器内科、白血病であれば血液内科、出産に伴う大量出血が原因であれば産婦人科と救急科などで連携しながら治療に当たることになるでしょう。