播種性血管内凝固(DIC)とは? 症状、原因、検査、治療など
播種性血管内凝固(DIC)は血管の中で「血を固める仕組み」と「血をサラサラにする仕組み」のバランスが崩れた状態です。血の固まりが身体のいたるところにできることで全身の内臓がダメージを受けるとともに、出血を起こしやすくもなります。DICは命を落とす危険性のある重篤な状態です。DICの原因となる病気の治療やヘパリン、トロンボモジュリンなどの薬を使った治療を行います。
目次
1. 播種性血管内凝固(DIC)とは何か?
播種性血管内凝固(はしゅせいけっかんないぎょうこ)は身体の中で血を固める作用と血をサラサラにする作用のバランスが崩れることで起こる病気です。英語の頭文字を取ってDIC(ディーアイシー)と呼ばれることが多いです。播種(はしゅ)には「ばらまかれる」という意味があり、全身の血管のあちこちに
2. 播種性血管内凝固(DIC)の症状:血栓症状、出血症状
DICの症状は血管の中で血が固まることで起こる「
出血症状では皮膚にあざが出来やすくなったり、頭の中で出血を起こし、意識がなくなってしまうこともあります。血栓症状も出血症状も命に関わる非常に危険な状態です。
3. 播種性血管内凝固(DIC)の原因:感染症、がん、白血病など
身体の中には凝固系と呼ばれる出血時に血を固める仕組みと、不必要になった血液の固まりを溶かす線溶系という仕組みがあります。DICは凝固系と線溶系のバランスが崩れることで、血の固まりが大量に血管内にできると同時に、出血が起きやすくなるということが起こります。この凝固系と線溶系のバランスの乱れは、単独で起こるというよりは、重症
4. 播種性血管内凝固(DIC)の検査:血液検査など
DICの検査としては
5. 播種性血管内凝固(DIC)の治療
播種性血管内凝固(DIC)の治療では、原因となっている病気そのものの治療をすることが重要です。これに加えて凝固系と線溶系のバランスの乱れを改善するため、以下の治療も行います。
こちらのページではそれぞれの治療薬について詳しく説明しています。
6. 病気の見通しはどれくらいか
播種性血管内凝固(DIC)は非常に見通しが悪い病気です。原因となってる病気によって病気の見通しは異なりますが、例えば感染症を原因としてDICを起こした場合の1ヶ月後の死亡率は30-40%程度であると報告されています。そのほか、「再発」や「妊娠時に起こる産科DIC」についてはこちらのページにて説明しています。
参考文献
日本血栓止血学会学術標準化委員会 DIC 部会, 科学的根拠に基づいた感染症に伴う DIC 治療のエキスパートコンセンサス. 血栓止血誌 20(1)77-113, 2009. (2020.6.12閲覧)