[医師監修・作成]播種性血管内凝固(DIC)の検査について | MEDLEY(メドレー)
はしゅせいけっかんないぎょうこ(でぃーあいしー)
播種性血管内凝固(DIC)
感染症や癌、外傷など様々な重症疾患が原因となって、全身の血管に血栓ができたり、出血しやすくなったりする状態。
9人の医師がチェック 214回の改訂 最終更新: 2020.06.17

播種性血管内凝固(DIC)の検査について

播種性血管内凝固(DIC)の検査としては問診、身体診察、血液検査を行います。中でも血液検査が非常に重要な検査です。血液検査ではFDP、フィブリノーゲン、プロトロンビン時間などの値を確認することで、血の固まり具合とサラサラの程度を把握し、治療方針の決定に役立てられます。

1. 問診

問診とは医師などの質問に答える形で身体の状態や生活背景を伝えることをいいます。播種性血管内凝固(DIC)の人は以下のようなポイントを聞かれます。

  • どのような症状があるか
  • 飲んでいる薬は何かあるか
  • 治療中の病気・持病はあるか
  • 妊娠はしているか
  • アレルギーがあるか

どのような症状があるかはDICの重症度を判断するうえで重要です。DICは感染症がんが原因になるので、今かかっている病気の情報も欠かせません。また、DICの治療で用いられる薬に対して過去にアレルギーの経験があれば、その薬が使用できない可能性があるので、アレルギーの情報も極めて重要です。

2. 身体診察

身体診察ではDICによる症状の確認や、原因となっている病気の診断に役立てられます。例えば、皮膚に紫の斑点があれば、皮下出血のサインの可能性があります。また、心臓の音を聞いた時に雑音がすれば、DICの原因として心臓の感染症が起きているかもしれません。このように身体診察からは即座に多くの情報を得ることができます。そして、この身体診察の結果を元に、次の血液検査で調べる検査項目を決定していきます。

3. 血液検査

血液検査はDICの診断で特に重要となる検査です。DICの診断において重要となる項目としては以下のものがあります。

  • Dダイマー・FDP
  • フィブリノーゲン
  • APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
  • PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)
  • 血小板
  • アンチトロンビンIII

以下でそれぞれにつき説明していきます。

Dダイマー・FDP

DダイマーとFDPは血栓があるかを調べる血液検査です。Dダイマーの正常値は1.0 μg/mL以下、FDPの正常値は5 μg/mL以下です。血栓ができるとDダイマーとFDPの値は上昇します。DICでは大量に血栓ができるため、DダイマーとFDPの値が大きく上昇します。

フィブリノーゲン

フィブリノーゲンは血液を固めるために必要な物質の一つです。フィブリノーゲンの正常値は150-400 mg/dLです。DICでは血栓の大量生成によって、フィブリノーゲンが枯渇した状態となります。言い換えると、フィブリノーゲンの値が下がります。フィブリノーゲンが低く出血の可能性が高い場合には、フィブリノーゲンの補充療法が必要になります。

APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)

APTTは血のサラサラ具合を調べる血液検査の一つです。APTTは「秒」が単位として使われ、正常値は30-40秒です。APTTの値は高ければ高いほど血がサラサラであることを意味します。DICで血がサラサラな状態になるとAPTTの値が高くなります。

PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)

PT-INRも血のサラサラ具合を調べる血液検査です。PT-INRの正常値は0.85-1.15です。DICで血がサラサラな状態になるとPT-INRの値が高くなります。PT-INRと前述のAPTTはどちらも血のサラサラな状態を調べる検査ですが、DIC以外で血がサラサラになる病気にはどちらか片方しか上がらない病気があります。つまり、PT-INRとAPTTの2つの上がり方のパターンを見ることで、異常の原因を絞り込むことができます。DICの場合には、PT-INRとAPTTが両方とも上昇します。

血小板数

血小板は血を固めるのに必要な血液細胞です。血小板数の正常値は15万-40万/μLです。DICでは血栓の大量生成によって、血小板の消費が起こり、血小板数の低下が起こります。血小板数の値が低く、出血の危険性がある場合には、血小板輸血が必要になります。

アンチトロンビンIII

アンチトロンビンIII(アンチトロンビンスリー)は過剰な血の固まりができるのを防ぐ体内物質です。アンチトロンビンIIIの正常値は79-121%です。DICでは、アンチトロンビンIIIの値が低くなります。アンチトロンビンIIIの値が70%以下の場合には、アンチトロンビンIII製剤による補充が検討されます。

4. DICの診断基準とは

DICは血が固まりやすい状態とサラサラになって出血しやすい状態とが全身のいたる所で同時に起こる非常に複雑な病気です。どれかひとつの症状や検査結果だけで単純に診断を決めることができない難しさがあります。そのため、どこの病院でも的確にDICの診断ができるよう、日本止血学会がDICの診断基準を公表しています。このDICの診断基準では、血小板数、FDP値、フィブリノーゲン値、PT-INR値などの値が使われています。

【DICの診断基準】