播種性血管内凝固(DIC)の検査について
播種性血管内凝固(DIC)の検査としては
1. 問診
問診とは医師などの質問に答える形で身体の状態や生活背景を伝えることをいいます。播種性血管内凝固(DIC)の人は以下のようなポイントを聞かれます。
- どのような症状があるか
- 飲んでいる薬は何かあるか
- 治療中の病気・持病はあるか
- 妊娠はしているか
アレルギー があるか
どのような症状があるかはDICの重症度を判断するうえで重要です。DICは
2. 身体診察
身体診察ではDICによる症状の確認や、原因となっている病気の診断に役立てられます。例えば、皮膚に紫の斑点があれば、
3. 血液検査
血液検査はDICの診断で特に重要となる検査です。DICの診断において重要となる項目としては以下のものがあります。
- Dダイマー・FDP
- フィブリノーゲン
- APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
- PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)
血小板 数- アンチトロンビンIII
以下でそれぞれにつき説明していきます。
Dダイマー・FDP
DダイマーとFDPは
フィブリノーゲン
フィブリノーゲンは血液を固めるために必要な物質の一つです。フィブリノーゲンの正常値は150-400 mg/dLです。DICでは血栓の大量生成によって、フィブリノーゲンが枯渇した状態となります。言い換えると、フィブリノーゲンの値が下がります。フィブリノーゲンが低く出血の可能性が高い場合には、フィブリノーゲンの補充療法が必要になります。
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
APTTは血のサラサラ具合を調べる血液検査の一つです。APTTは「秒」が単位として使われ、正常値は30-40秒です。APTTの値は高ければ高いほど血がサラサラであることを意味します。DICで血がサラサラな状態になるとAPTTの値が高くなります。
PT-INR(プロトロンビン時間-国際標準化比)
PT-INRも血のサラサラ具合を調べる血液検査です。PT-INRの正常値は0.85-1.15です。DICで血がサラサラな状態になるとPT-INRの値が高くなります。PT-INRと前述のAPTTはどちらも血のサラサラな状態を調べる検査ですが、DIC以外で血がサラサラになる病気にはどちらか片方しか上がらない病気があります。つまり、PT-INRとAPTTの2つの上がり方のパターンを見ることで、異常の原因を絞り込むことができます。DICの場合には、PT-INRとAPTTが両方とも上昇します。
血小板数
血小板は血を固めるのに必要な血液細胞です。血小板数の正常値は15万-40万/μLです。DICでは血栓の大量生成によって、血小板の消費が起こり、血小板数の低下が起こります。血小板数の値が低く、出血の危険性がある場合には、血小板輸血が必要になります。
アンチトロンビンIII
アンチトロンビンIII(アンチトロンビンスリー)は過剰な血の固まりができるのを防ぐ体内物質です。アンチトロンビンIIIの正常値は79-121%です。DICでは、アンチトロンビンIIIの値が低くなります。アンチトロンビンIIIの値が70%以下の場合には、アンチトロンビンIII製剤による補充が検討されます。
4. DICの診断基準とは
DICは血が固まりやすい状態とサラサラになって出血しやすい状態とが全身のいたる所で同時に起こる非常に複雑な病気です。どれかひとつの症状や検査結果だけで単純に診断を決めることができない難しさがあります。そのため、どこの病院でも的確にDICの診断ができるよう、日本止血学会がDICの診断基準を公表しています。このDICの診断基準では、血小板数、FDP値、フィブリノーゲン値、PT-INR値などの値が使われています。
【DICの診断基準】