はしゅせいけっかんないぎょうこ(でぃーあいしー)
播種性血管内凝固(DIC)
感染症や癌、外傷など様々な重症疾患が原因となって、全身の血管に血栓ができたり、出血しやすくなったりする状態。
9人の医師がチェック 214回の改訂 最終更新: 2020.06.17

播種性血管内凝固(DIC)のよくある疑問点

播種性血管内凝固(DIC)は非常に重い状態で命に危険を及ぼします。DICを起こした場合の1ヶ月後の死亡率は30-40%程度であると報告されています。また、DICの中でも妊娠合併症に伴い起こる「産科DIC」は、お母さんや赤ちゃんの命に関わることもあるので、緊急で治療が行われます。

1. 病気の見通しはどれくらいか

播種性血管内凝固(DIC)は非常に見通しが悪い病気です。原因となってる病気によって病気の見通しは異なりますが、例えば感染症を原因としてDICを起こした場合の1ヶ月後の死亡率は30-40%程度であると報告されています。

参考文献:日本血栓止血学会学術標準化委員会 DIC 部会, 科学的根拠に基づいた感染症に伴う DIC 治療のエキスパートコンセンサス. 血栓止血誌 20(1)77-113, 2009. (2020.6.12閲覧)

2. どのような人に起こるか

DICは感染症、がん白血病に罹っている人に起こることが多いです。ただし、感染症といってもただの風邪で起こることはありませんし、早期のがんで起こることもほとんどありません。敗血症や進行がんなど、重篤な病気の人に起こることが多いです。他にも重度な外傷、急性膵炎、妊娠合併症(妊娠による大量出血、羊水塞栓など)などが原因で起こることもあります。

3. 再発することはあるか

DICが再発するかどうかは、原因となっている病気の状況により異なります。DICは感染症、がん、白血病などが重症化した際に、血が固まるのとサラサラにするバランスが崩れることで起こります。もし、DICの原因となった病気が改善し、このバランスが戻れば、DICも完治させることができます。これに対し、DICの原因となる重症な病気が再発した場合では、それをきっかけにDICを再び起こすことがあります。

4. 入院期間はどれくらいか

DICは非常に重症な病気なので、入院での治療が必要になります。入院の期間はDICの原因となっている病気の状況にもよりますが、数週間から1ヶ月近くの入院が必要になることも珍しくありません。

5. 妊娠中に起こるDICとは

妊娠中に起きた合併症(妊娠による大量出血、羊水塞栓など)をきっかけとしてDICが起こることがあります。これを産科DICと呼びます。感染症、がんによるDICと比べると数は少なく、心配しすぎる必要はありません。しかし、産科DICが起きた時にはお母さんの命に関わることがありますし、赤ちゃんに後遺症を残すこともあるため、妊娠中合併症が起きた時にはDICの出現に細心の注意が払われます。