すいぞうがん

膵臓がん

膵臓にできるがんの総称。早期で発見するのが難しく、経過が最も悪いがんの一つ

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15人の医師がチェック 169回の改訂 最終更新: 2017.12.06

膵臓がんの基礎知識

POINT膵臓がんとは

膵臓がんは膵臓にできたがんです。膵臓がんは家族歴、喫煙、慢性膵炎、糖尿病、肥満と関係があると言われています。病気の初期には特に症状がないことが多いですが、進行すると腹痛・背部痛・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる変化)・食欲低下・体重減少などが出てきます。 症状や身体診察に加えて、血液検査・超音波検査・CT検査・内視鏡検査など行って診断します。治療法には手術・化学療法(抗がん剤治療)・放射線治療がありますので、病状や身体の状態を感が見えて適切な治療を行います。膵臓がんが心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。

膵臓がんについて

  • 膵臓にできるがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある
  • 膵液(消化液)を運ぶ膵管にがんができることが多い(約90%)
    • 以下の細胞から発生することもある
      インスリン膵臓から出る、血糖値を下げる方向に働くホルモン。インスリンの欠乏や作用不足が糖尿病の原因となるを作るランゲルハンス島(膵島)細胞
      ・膵液を作る細胞
  • 原因は明らかではないが、家族歴・喫煙・慢性膵炎糖尿病肥満と関係があると言われている
  • 膵臓がんと新たに診断される人数は、男性で1年間あたり約29人、女性では10万人あたり約25人
    • 60歳ごろから増え、高齢になるほど発生する人が多くなる
    • 男性にやや多い
    • 近年増加傾向にあり、毎年3万人以上が膵臓がんで亡くなっている
  • 早期発見が難しく、診断された時には既に進行がんであることが多い
    • 消化器の臓器にできるがんの中で、最も経過が悪いとされている

膵臓がんの症状

  • 早期の段階では「なんとなくみぞおちあたりの具合が悪い」程度の症状で目立たないため、自覚されないことが多い
  • 比較的自覚できる症状
    • 腹痛
    • 黄疸ビリルビンという物質が体内に溜まることで、皮膚や白眼などが黄色くなった状態。肝臓の異常で起こることが多いが、新生児に生じるものは異常ではない(おうだん):白目や皮膚が黄色くなる
    • 体重減少
    • 食欲不振
    • みぞおちや背中の痛み

膵臓がんの検査・診断

  • 早期発見につながる検査
    • 血液検査:膵臓機能を調べる
    • 腹部超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、腹部の状態を調べる検査腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるの有無を調べる
  • 腫瘍を詳しく調べるための検査
    • 腹部CT検査X線(放射線)を用いて腹部の状態を調べる検査。肝臓や腸などの内蔵から骨や筋肉まで、様々な組織の状態を確認することができるMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査(MRCP)
      ・腫瘍の大きさや位置を調べる
    • 超音波内視鏡検査上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)などに用いられる内視鏡の一種で、カメラの脇にエコー装置がついていて、超音波と直視の両方で病気を診断するための検査EUS上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)などに用いられる内視鏡の一種で、カメラの脇にエコー装置がついていて、超音波と直視の両方で病気を診断するための検査
      胃カメラ口もしくは鼻から小さいカメラを胃まで進めて、胃の中の状態を見る検査。「上部消化管内視鏡検査」とも呼ばれるの先端にエコー空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができるがある特殊な内視鏡自在に曲がる管の先にカメラがついていて、体の奥を覗くための機械。有名なのは胃カメラや大腸カメラだが、様々な太さや用途があるを用いて膵臓を調べる
    • 超音波内視鏡下穿刺体の外から体の中の血管や内臓に注射針を刺すこと。検査のために身体の中の組織を吸い取ったり、治療のために薬物を注入したりする際に行われる吸引法(EUS-FNA)
      ・超音波内視鏡検査時に腫瘍に針を刺して組織を吸引する
    • 内視鏡的逆行性胆管肝臓で作られた消化液を十二指腸まで運ぶ管。肝臓の内部にある肝内胆管と、肝臓の外にある肝外胆管に分けられる膵管造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすることERCP鼻もしくは口から小さいカメラを入れて、膵臓や胆管、胆のうの状態を調べる検査
      ・十二指腸乳頭から胆管や膵管を辿って、胆のうや膵臓の状況を調べる
      ・膵管にある膵液の中に悪性細胞が混じっていないかを調べる
    • PET検査放射線を発する物質(放射性物質)を体内に入れて、特定の臓器や腫瘍にそれが集まる性質を利用して病気の有無や位置を調べる検査
      膵がん転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いがないか全身(脳以外)を調べる

膵臓がんの治療法

  • 可能であれば手術(膵頭十二指腸切除術、膵体尾部切除など)
    • 発見されたときにはすでに進行していることが多く、手術で切除できるケースは多くない
    • 手術を行った場合も、一般的には手術の後に化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称を組み合わせる
  • 手術が難しい場合は化学療法を行う
    • 放射線治療主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法を組み合わせる場合もある
  • 手術を行った場合の5年生存率診断、治療開始から5年経過後に生存している患者の割合。命に関わるがんなどの病気で用いられることが多い数値の平均は10-20%程度
    • 早期で見つかったとしても5年生存率は40%と経過が良くない
  • がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある発見時にはすでに進行していることが多いため、好発年齢病気が発症しやすい年齢(60歳以上)を過ぎたら定期的に検診を受け、出来るだけ早期の発見を目指すことが勧められる

膵臓がんに関連する治療薬

代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)

  • DNAの構成成分に類似した化学構造をもち、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害して抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖に必要なDNAの成分にピリミジン塩基と呼ばれる物質がある
    • 本剤はピリミジン塩基と同じ様な構造をもち、DNA合成の過程でピリミジン塩基の代わりに取り込まれることなどにより抗腫瘍効果をあらわす
  • フルオロウラシルやシタラビンを元にして造られ体内で代謝を受けてこれらの薬剤へ変換される製剤(プロドラッグ製剤)がある
代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)についてもっと詳しく

レボホリナートカルシウム

  • 抗がん薬であるフルオロウラシルのDNA合成阻害作用を増強し、抗腫瘍効果を高める薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 消化器がんなどで使用されるフルオロウラシルはチミジル酸合成酵素(TS)という酵素と結合することでTSを阻害しDNA合成を阻害することで、抗腫瘍効果をあらわす
    • 本剤は体内でフルオロウラシルの代謝活性物質と一緒にTSと強固な複合体を形成し、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する
レボホリナートカルシウムについてもっと詳しく
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