いがん
胃がん
胃の壁の粘膜にできたがんのこと。ピロリ菌への感染や喫煙、塩分の多い食事などでリスクが上がる
24人の医師がチェック 245回の改訂 最終更新: 2018.04.24

胃がんの基礎知識

POINT 胃がんとは

胃がんは胃壁の粘膜にがんができた病気です。胃がんの主な原因はピロリ菌感染・喫煙・塩分の多い食事などです。胃がんの初期には症状を自覚することはあまりありませんが、進行するに従って腹痛・みぞおちの辺りの不快感・食欲低下・倦怠感(だるさ)・体重減少などが起こります。 症状や身体診察に加えて、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)・血液検査・画像検査を用いて診断します。治療は手術・内視鏡治療・化学療法を基本として行いますが、全身状態やがんの進行度を鑑みて選択されます。また、痛みや息苦しさなどの苦痛を感じた場合はいつでも緩和治療を受けることができます。胃がんが心配な人や治療したい人は、消化器内科・消化器外科・内視鏡科を受診して下さい。

胃がんについて

  • 胃の壁の粘膜にできたがん
    • 胃の壁は何層にもなっていて、一番内側(食道を通過する食べ物に接する部分)が粘膜の層で外側に行くにつれて筋肉の層などがある
  • 胃がんが起こりやすくなる原因や要因には以下のものが考えられている
    • ヘリコバクター・ピロリ感染
    • 喫煙
    • 塩分の多い食事
  • がんが胃の壁の中でどのくらい広がっているかによって早期がんか進行がんかを判断する
    • 表面(粘膜下層まで)に留まっている:早期がん
    • 表面よりも深いところ(筋肉の層など)までがんが広がっている:進行がん
  • 頻度
    • 胃がんはがんの中で最も多く、年間10万人以上の患者さんが胃がんと診断されている
    • 死因としてはがんの中で3位(1位は肺がん)であり、毎年5万人近い人が胃がんが原因で死亡している
    • 近年では、がん検診やピロリ菌の除菌などが一般的に行われるようになったため、胃がんの死亡率が改善してきている
  • 胃にできる他の悪性腫瘍
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胃がんの症状

  • 主な症状
    • 早期胃がんでは症状が出にくい
      ・健診の胃カメラなどで偶然見つかる場合が多い
      ・胃がんによって潰瘍ができていると胃の痛み(特に空腹時の腹痛)などが起こることもある
    • 進行がんになると以下のような症状が出る
      ・体重減少
      貧血
      ・食欲が落ちる
    • 胃の入り口にがんができた場合
      ・飲み込みにくさ
      ・嘔吐
    • 胃の出口にがんができた場合
      ・食後の腹部膨満
      ・吐き気
    • 下痢は胃がんの症状ではない
症状の詳細

胃がんの検査・診断

  • 上部消化管造影検査
    • 造影剤(バリウム)を使って、胃の形や胃の動きなどを調べる
  • 上部消化管内視鏡検査胃カメラ
    • 食道から胃や十二指腸にかけて腫瘍があるかどうかなどを調べる
    • がんが疑わしい組織を採取してきて顕微鏡検査(病理検査)に出す
  • 超音波内視鏡検査
    • 内視鏡を用いた超音波検査、がんの深さを調べるのに適している
  • 血液検査:貧血の有無、腫瘍マーカーを調べる
  • 画像検査:胃がんの大きさや広がり、転移などを調べる
    • 腹部超音波検査
    • 腹部CT検査
  • 以下の3つの要素からがんの進行度(病期ステージ)を推定する
    • がんの深さ(深達度)
    • リンパ節転移の有無、広がり
    • 遠隔転移の有無(他の臓器への転移)
検査・診断の詳細

胃がんの治療法

  • 主な治療
    • 早期がんの治療
      ・がんの胃壁の深くまで及んでおらずリンパ節転移の可能性がない早期がんに対し、手術をしないで内視鏡でがんを取り除く(内視鏡治療)ことがある
       ・内視鏡治療は内視鏡を使いがんの部分を切り取る治療
       ・内視鏡治療は体への負担が少ないが、初期のがんに限って行うことができる
      胃カメラを行ってがんの大きさ・組織型(がん細胞の種類)・潰瘍ができているかなどを調べて、内視鏡治療が可能なのかどうかが検討される
      ・内視鏡による治療でがんが取りきれないことがある
       ・その場合には手術や化学療法などを行うことになる
    • 進行がんの治療の基本
      遠隔転移(他の臓器や領域リンパ節以外のリンパ節への転移)がなければ手術を行う
      ・遠隔転移があれば手術は原則行わず化学療法で治療する
    • 胃がんのある場所や大きさ、進行具合によって手術の方法が変わってくる
      ・幽門側胃切除、噴門側胃切除:胃の一部を切り取る
      ・胃全摘除術:胃の全てを取り除く
    • 抗がん剤による治療(化学療法)はいくつかの場面で用いられる
      ・手術の前(術前補助化学療法)
      ・手術の後(術後補助化学療法)
      ・遠隔転移(他の臓器や領域リンパ節以外のリンパ節への転移)がある場合
    • 化学療法による治療でがんを完全に治すことは難しい
      ・あくまでがんの進行を遅らせたり、一時的に腫瘍を小さくしたりする効果を期待して行われる
    • 胃がんに放射線療法は基本的に効果がない
  • あらゆる場面で苦痛を和らげるための治療(緩和治療)を行うことができる
    • 緩和治療は決して諦めた人の治療ではないので、全ての人が受けることができる
  • 想定される経過
    • 5年生存率は、早期がんに対して治療すれば95%以上と言われている
    • がんが進行すると進行度に従って生存率は下がってくる
治療法の詳細

胃がんに関連する治療薬

白金製剤(プラチナ製剤)

  • 細胞増殖に必要なDNAに結合することでDNA複製阻害やがん細胞の自滅を誘導し抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤はがん細胞のDNAと結合し、DNAの複製とがん細胞の自滅を誘導することで抗腫瘍効果をあらわす

  • 本剤は薬剤の構造中に白金(プラチナ:Pt)を含むため白金製剤と呼ばれる
白金製剤(プラチナ製剤)についてもっと詳しく

微小管阻害薬(タキサン系)

  • 細胞分裂で重要な役割を果たす微小管に作用し細胞分裂を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖は細胞が分裂することでおこるが、細胞分裂に重要な役割を果たす微小管という物質がある
    • 細胞分裂の後半では、束になっている微小管がばらばらになる(脱重合する)必要がある
    • 本剤は微小管の脱重合を阻害し細胞分裂を阻害する作用をあらわす

微小管阻害薬(タキサン系)についてもっと詳しく

代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)

  • DNAの構成成分に類似した化学構造をもち、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害して抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖に必要なDNAの成分にピリミジン塩基と呼ばれる物質がある
    • 本剤はピリミジン塩基と同じ様な構造をもち、DNA合成の過程でピリミジン塩基の代わりに取り込まれることなどにより抗腫瘍効果をあらわす

  • フルオロウラシルやシタラビンを元にして造られ体内で代謝を受けてこれらの薬剤へ変換される製剤(プロドラッグ製剤)がある
代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)についてもっと詳しく


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