2019.10.15 | コラム

胃カメラ検査は本当に辛いのか? 検査を受ける人が知っておくと良いこと

オエっとしにくくする工夫があります
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胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は食道や胃、十二指腸の病気を見つけるための非常に優れた検査です。この検査を受けるためには、内視鏡という小さなカメラの付いた細長い管を口または鼻の穴から挿入する必要があります。
胃カメラの挿入で一番つらいのが喉を通過するときです。内視鏡が喉の奥に触れると反射でオエッと吐き気がでます。吐き気に耐えられず内視鏡を自分で抜いてしまう人もいれば、なんとか検査を受けたものの二度とやりたくないと思ってしまう人もいます。一方で、これを全く苦痛と思わない人も少なからずいて、吐き気の感じ方は個人差が大きいものです。
人によって反射の大きさは異なりますが、辛さを和らげる工夫がいくつかあることを知っておくと、検査時のしんどさのみならず検査の前の不安も軽減することができます。

1. まずはリラックスが大切である

不安な気持ちがあまりに強いと、オエッと反射が出たときにパニックになってしまうことがあります。胃カメラ合併症の少ない安全性の高い検査です。オエッとなってもそれ以上の悪い事態が起こることはまずありません。まずは落ち着いて、胃カメラをするお医者さんを信頼して検査に臨むだけでも、不安や苦痛を感じにくくなることがあります。

また、内視鏡が入っている間はどうしても喉が詰まったような感じがあるため、呼吸ができなくなるのではないかと思い、焦ってしまう人がいます。しかし、胃カメラで呼吸ができなくなることはありません。空気の通る道(気道)を塞がれるわけではないので安心して検査を受けてください。

 

2. 鼻から入れる経鼻用内視鏡を選ぶ

鼻から挿入できるタイプの内視鏡(経鼻用内視鏡)があります。これは太さが5mm前後で、口から入れる10mm前後の太さの内視鏡(経口用内視鏡)に比べて細く、喉に触れる部分が少ないため、吐き気の反射が生じにくい特徴があります。喉の違和感や嘔吐の反射が強い人は、口から入れる内視鏡の代わりに鼻から入れる内視鏡を選ぶのも良い方法です。ただし、鼻血が出る可能性がある、経口用内視鏡に比べると画質が悪い、というデメリットがあることに注意が必要です。

 

口から入れる内視鏡(経口用内視鏡)のメリットは何?

経口用内視鏡は経鼻用内視鏡より吐き気の反射は出やすいですが、画質がよいのが大きなメリットです。拡大機能がついていてさらに詳細に観察できる内視鏡もあります。機種にもよりますが、拡大内視鏡は数十倍から百倍強ほど拡大することができて、早期のがんを発見するのに役立ちます

また、一部の医療機関では、径が5mm前後の細い内視鏡を口から入れることがあります。通常の10mm前後の経口用内視鏡よりは違和感が少なく楽に挿入でき、鼻血の心配もありません。ただし、鼻から入れるときと比べると、舌の奥に内視鏡が当たる分、やや吐き気が起こりやすいです。

 

3. 喉に麻酔をする

胃カメラの前には、喉に麻酔をかけます。ドロッとした液体の薬剤を喉にしばらく溜めておくか、喉に薬剤をスプレーする方法が主流です。これらにはリドカインという麻酔の薬が含まれていて、喉の表面の感覚を麻痺させる効果があります。この麻酔効果によって違和感や痛みが緩和され、吐き気を抑えてくれます。歯医者さんが使う麻酔薬と同じ成分であり、以前にアレルギー症状を起こしたことがなければ、ほとんどの人に使用される薬剤です。

吐き気の反射が強い人には喉の麻酔薬を多めにしてくれることがあるので、相談してみてください。

 

4. 眠くなる注射薬を使う

鎮静剤というタイプの薬剤を注射すると、ボーッとして眠ったような状態になり楽に胃カメラを受けることができます。胃カメラのときに使われる鎮静剤には、ベンゾジアゼピン系の薬剤(ミダゾラムフルニトラゼパムジアゼパム)やプロポフォールという薬があり、医療機関によって取り扱っている薬は異なります。

デメリットとして、麻酔が覚めるまで30-60分程度ベット上で安静にする必要があり検査に時間がかかることと、同日は車の運転はできないことがあります。また、ごくわずかではありますが、低酸素状態や低血圧などの偶発症が起こる可能性があります。

ちなみに、検査前にブチルスコポラミングルカゴンを注射する医療機関がありますが、これらは食道や胃・十二指腸の動きを抑える薬剤で、鮮明な画像を得やすくする目的で使われます。鎮静剤のように眠たくして楽に胃カメラをするための注射とは異なるものですので注意してください。

 

5. まとめ

胃カメラは、腫瘍潰瘍(かいよう)、ピロリ菌感染などの早期発見や治療に非常に優れた方法ですが、苦手意識から足が遠のいてしまう人がいます。このコラムによって、胃カメラの辛さを軽減するさまざまな工夫があることを知っていただき、必要なタイミングで安心して検査を受けられる人が増えることを願っています。

 

 

執筆者

清水 貴徳

参考文献

内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン. 日本消化器内視鏡学会雑誌. Vol. 55 (12), Dec. 2013  

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。